炎症・物理療法

TENSー疼痛、TESー痙縮、FESー筋力強化

超音波0.5-2.5

 

電気刺激敷療法の目的は、 神経筋コントロール, 鎮痛、 創傷治癒である、脱神経筋に対する神経筋コントロールにおいては、 電気刺激により共同運動を起こさないように刺激をすることが必要となる、顔面にあるような小さな筋に対しては, 分離した刺激を与えることができないため、共同運動を誘発しやすく. 電気刺激療法は行うべきではない. 顔面神経麻痺には鏡や筋電計を用いたフィードバック療法が推奨される。

 

二次骨癒合は、仮骨形成を伴って骨折が修復されるものである。炎症期、修復期、リモデリング期に大別される。

1. 炎症期の初期には、破綻した骨髄や骨皮質などに存在する血管から出血が生じ、骨折部位は低酸素状態になる。これにより、骨折部位はアシドーシスに陥る
2. 炎症期後期には、壊死組織の吸収とともに、骨髄内や骨膜周辺の軟部組織からの毛細血管の新生が生じる
3. 修復期に入ると、骨折部周辺の骨膜が肥厚、増殖して膜性骨化を生じる。また、軟骨形成は、軟骨内骨化により徐々に骨に置換される。
4. 骨形成、軟骨形成が骨折部を橋渡しするように連続することで仮骨となる。初期の仮骨は、カ学的に脆弱な線維性骨だが、骨化が進むと硬性仮骨になる。
5. リモデリング期には、形成された線維性骨が、再造形によって層板骨に置換される。
松野丈夫,他(総編集): 標準整形外科学、第12版、医学書院、p. 44-47.岩田隆子(監修)、恒吉正澄他(編):わかりやすい病理学、改訂第6版、南江堂、p. 303

 

炎症にはいくつかのステップがあり、それぞれに特徴的な変化がみられる。各ステップが完結した後に次のステップへ進むのではなく、一連の生体防御反応として連鎖的に進むことになるが、その初期反応(急性炎症)においてはとりわけ

①血流の増加(毛細血管や細静脈の拡張)、

②血管透過性の亢進、

③好中球の遊走(好中球の遊走,浸潤)という3つの変化が重要である。

以下、急性反応の経時的変化を記載する。

生体に炎症を惹起する因子が加わって組織の細胞傷害が起こると、細静脈,毛細血管の拡張(うっ血)や細動脈の拡張(充血)が起こる。その後、血管内皮細胞間の隙間が増加し、血清蛋白質や水分が血管外へ漏出しやすくなる(血管透過性の亢進)。これにより血液の濃縮と血流の緩徐化が起こるが、血流が遅くなると好中球が血管内皮細胞近傍へと移動し、血管内皮細胞と持続的に接触しながら血管壁をコロコロと転がり始める(ローリング)。やがてこの好中球は血管内皮細胞に完全に接着した後、血管内皮細胞の間を通って血管外へと遊走し、細胞傷害部位に浸潤する(好中球による異物の貪食)。
memo 数日以内に快方へ向かわない急性炎症は慢性炎症へと移行するが、新生血管の増生慢性炎症においてみられる変化である。

 

炎症所見を認める外傷の急性期には、rest(安静), icing (冷却)、compression (圧迫)、elevation(挙上)、stabilization(固定)の RICE (S) 処置を基本とし、疼痛、浮腫の軽滅を優先する。
1、2、4:安静、圧迫、拳上、固定を寒冷療法と併用しながら実施することで患部の末梢血管に影響を及ぼし、血管収縮とともに血流が減少する。
3:足関節周囲の外傷では、患部を心臓より高く挙上することで静脈還流を促進させる必要があるため、腰掛け座位姿勢をとることは適切な対応とは言い難い。
5:コールドパックなどの寒冷療法は、浮腫形成の抑制に重要である。
memo
浮腫の抑制は、二次的外傷性損傷による炎症のさらなる増悪や遷延化を防ぐことにつながる。
細田多穂(監) : 物理療法学テキスト,改訂第2版,シンプル理学療法学シリーズ,南江堂,2013,
pp 157-164.②網本和,他(編): 物理療法学,第4版,標準理学療法学(専門分野),医学書院院, 2013, pp 63-66, pp 74-75. 3松澤正,他(監):物理療法学,改訂第2版,金原出版, 2012, pp 47-69.

 

1. 圧電効果(ピエゾ効果)とは、水晶、石英などの結晶に、一定の方向に圧縮,非圧縮を繰り返すと応力に比例して電気分極が生じ、電圧が発生する現象である。逆に、これらの結晶に電場を加えると、ひずみを生じて変形する。これを逆圧電効果(逆ビエゾ効果)という。電気的工ネルギーと機械的エネルギーとの変換に用いられ、超音波の発生にはこの振動による縦波を利用している。
2. ビーム不均等は空間平均強度に対する最大強度の比率である。5以下が望ましい。それ以上では一部組織に集中して組織の損傷を招く恐れがある。
3. 空間平均強度と空間最大強度の差は小さいことが望ましい。差が大きくなると、ビームのばらつきが大きくなるため、BNRは高くなる。空間最大強度は理学療法分野の場合3.0 W/cm2とされている。
4. 周波数が高い(3 MHz)と浅部組織、周波数が低い(1MHz)と深部組織の治療に適している。
5. 温熱効果を得る場合は1.1~2.0 W/cm2 の強度、非温熱効果を得る場合は0.5~1.0 W/cm2の強度とする


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①松澤 正 他(監修): 物理療法学、改訂第2
版、金原出版、p. 130-147.②細田多穗(監修)、木村貞治他(編):シンプル理学療法学シリーズ、物理療法学テキスト、南江堂、p. 127-149, 253-258.③千住秀明(訴修)、神田 実:物理療法、第2版、九州神陵文庫、p I120-131.
④Cameron MH: EBM物理療法、原著第3版、渡部一郎 (訳)医歯薬出版、p. 185-215.⑤細田多穗,他()):理学療法ハンドブック 第2巻、治療了プローチ、改訂第4版、協同医書出版社、p. 736-743

1.空気中での超音波の伝播率は水中と比較して低い。 そのため、直接法で実施する場合はカップリング剤を使用する、 もしくは水中で行われる。
2. 有効照射面積 (ERA)は導子の面積に対する照射面積の割合のことをいい、理学療法分野で使用される超音波治療装置では ERAが導子の面積よりも大きくなることはない。
3. 皮膚に塗布した薬剤を吸収させるために超音波を使用する治療方法をフォノフォレシスという。 通常は超音波ジェルに薬剤を混ぜる、あるいは薬剤を皮膚に塗布してその上から照射して実施する。
4. 超音波の深達性は周波数に反比例するため周波数が高くなるほど深達性は低下する。
5. 導子上の平均強度に対する最大強度の割合をビーム不均等率(BNR)という。 その割合が小さいものほど良好な超音波治療装置といえる。
Cameron MH: EBM物理療法、 原著第4版、渡部一郎(訳)、医歯薬出版、p. 187-213. 庄本康治(編):エビデンスから身につける物理療法、羊土社、p. 109-131、石川 朗(総編集)、日高正巳·他(責任編集):15 レクチャーシリーズ 理学療法テキスト 物理療法学 実習、 中山書店、p.83-94. 川口浩太郎:コンディショニング·ケアのための物理療法実践マニュアル、 文光堂、p.73-81.奈良勲:物理療法実践ガイド、医学書院、 p. 43-48

 

1:単極通電法では,関導子は不関導子よりも小さいものを用いる。また,関導子はモーターポイント上に置くので,前脛骨筋の関導子として適切なのはBとなる。一方,不関導子は対象筋から離れた他の部位に当てるが,対象筋の筋収縮の邪魔になる部位や,対象筋の拮抗筋の上に置いてはいけない.

 

46A42
物療 国試①(温熱療法ーホットパック、パラフィン、超音波、超短波、極超短波、レーザー)

温熱の効果でないのは?
1.鎮痛
2.鎮痙
3.浮腫抑制
4.組織代謝亢進
5.局所血流増加

1.筋緊張の緩和により、ペイン・スパズム・ペイン回路が遮断され、疼痛軽減につながる
2.γ繊維の活動低下→α繊維の発火抑制→痙性抑制
3.皮膚毛細血管の拡張により温熱領域の血流量は増加するが、浮腫の抑制にはならない
4.代謝機能が亢進することによりエネルギー消費が上昇し、換気量増加につながる
5.皮膚毛細血管の拡張により温熱領域の血流量が上昇し、発汗及び、脈拍数が増加する

よって、3


44−80
局所温熱療法の目的で正しいのはどれか。2つ選べ。

1.痙縮の抑制
2.浮腫の軽減
3.創傷治癒の促進
4.筋収縮速度の上昇
5.膠原繊維の粘弾性低下

1.γ運動神経繊維の活動低下により、痙縮を抑制する
2.炎症のない軽度の浮腫に対して、温浴や超音波を用いることがある
3.温めると炎症反応が遷延する(のびのびになること)ため、創傷治癒は遅れる
4.加温により筋収縮を行うα運動神経の作用を抑制する
5.加温により粘弾性が低下し、組織の伸張性が増加し、可動域改善!!

温熱療法とは
ホットパック
パラフィン
超短波
極超短波
超音波
である。

浮腫の適応は文献により曖昧で異なる為、愚問です。

 


45A41

エネルギー変換熱で正しいのはどれか

1.渦流浴
2.超音波
3.ホットパック
4.パラフィン
5.レーザー光線

まず、熱の伝わり方は4種類ありやす。
伝導熱ーーーーーー熱が直接移動する(ホットパック、パラフィン
放射熱(輻射熱)ーー赤外線のように熱源が気体を伝わって移動する
対流熱ーーーーーー流体の運動により伝わる(渦流浴、温水浴、サウナ)
エネルギー変換熱ー電磁波や音波のエネルギーが生体内で熱エネルギーに変換し暖まる(超音波、超短波、極超短波、レーザー光線)     

また、エネルギー変換熱は、深部まで到達すると云う。

 


44−79

電磁波でないのはどれか

1.低周波
2.超音波
3.赤外線
4.極超短波
5.レーザー光線

そもそも電磁波とはなんですか?って話です。
電磁波は光、放射線、電波と同義語なんです。

低周波ー振動数の少ない波。音波でもあり、電波でもある。
超音波ー超/音波。音波ですね。だから、違います。
赤外線は電磁波です
極超短波も電磁波
レーザーは光を増幅したものにすぎない、光。

 


38−89
紫外線の生体への作用として誤っているのはどれか

1.肉芽形成
2.血管拡張
3.殺菌
4.抗くる病
5.温熱

紫外線は光線療法のひとつ。
生体への作用一覧
1.紅斑
2.色素沈着
3.ビタミンD生成
4.殺菌

覚え方
紫外線は紅色のビタミンDを殺す

を踏まえて

肉芽形成ー促す
血管拡張ー紅斑作用で、ヒスタミンヒロトニンが放出され、毛細血管拡張する
殺菌ー細菌や真菌の DNAを破壊する
抗くる秒ーある
温熱ー温熱効果があるのは赤外線

因に、赤外線の生体への作用は

1.温熱
2.紅斑
3.色素沈着
4.鎮痛作用

覚え方
赤ちゃんは温厚で色々痛い

 

端座位での願雑帝引の場合、牽引方向は垂直一前上方である。
1. 中位頸椎には15~30前方向への幸引が適切である。
2. 上位胸椎には45~60前方向への牽引が適切である。
3. 15~30前方向への牽引は中位頸椎に対して行う場合である。
4.上位頸椎を牽引する場合、牽引角度は0(重直位)~15 (軽度前方)である。顎を突き出し、首を差し出す打首の姿勢とならないように注意する。
5. 下位頸椎には、30~45前方向への牽引が適切である。端座位での頸椎牽引の場合、牽引方向は垂直~前上方に行うため、図のような後上方(頸椎伸展方向)へ牽引することは無い。
上位頸椎: 0~ 15
中位頸椎: 15~ 30
下位頸椎: 30~ 45
上位胸椎: 45~ 60
石川 朗(給編集)、日高正已,他: 15 レクチャーシリーズ理学療法テキスト、物理療法学、第1版、p. 143-152.庄本康治: PT,OTビジュアルテキストエビデンスから身につける物理療法、第1版、羊十社、p. 270-282. Cameron MH: EBM物理療法、原著第4版、渡部一郎(訳)、エルゼビア ジャパン社、p.381-408.奈良 勲(シリーズ監修)、網本 和,他(編): 模準理学療法学専門分野 物理療法学、第4版、医学書院、p, 230-235.奈良敷:物理療法実践ガイド、第1版、医学書院、p.91-100