ACL再建術後、PCL保存療法、半月板損傷

 

1日、2週間、3ヶ月、8ヶ月


f:id:uta-huuta-maro-ojyou:20191219153754j:imagef:id:uta-huuta-maro-ojyou:20191219153803j:image

前方引きだしテスト

Nテスト

Lachman test(ラックマン)

pivot shift test(軸移動テスト)

jerkテスト

後方引き出しテスト=Posterior drawer(ポステリオアー ドロワー)

前十字教带損傷はスポーツによる受傷が高頻度にみられる。その受傷タイプは、大きく

接触型と

接触の2つに分けられ、

前者の場合は単独型損傷が多く、

後者の場合は内側側副靭帯損傷や半月板損傷を合併する複合型損傷が多い。前十字靭帯損傷の40~ 60% に半月板損傷を伴う。

 

ACL再建術後のリハビリテーションでは、初期では移植健にストレスが加わらないように保護しながら運動機能の改善を図る。

再建靭帯に対する過度な伸長ストレスをかけないことが重要

筋力強化などにおいては、力学的要素を考慮した上で進める。移行腱の再血行化、リモデリングには約3か月かかるため、術後3か月以降から運動強度を増加させる。

1. 術後1日よりCPMを開始する。

最初は15~60で開始し、術後1週の目標は0~90、1週以降は0~120、を目標とする。

運動療法基礎】

1. 筋力増強の効果はない。長期にわたるCPMの使用は、関節周囲筋の廃用性筋萎縮を招いてしまうことや、筋力の回復の遅延をきたすといったことが報告されている。
2. 筋電図学的分析による報告には、他動ROM 訓練、持続屈曲訓練とCPMの比較では、CPM使用時が最もリラクゼーション効果があるとしている。徒手よりCPM の方が患肢を保持する面積が広く安定感があり、運動のスピードや可動域を一定に保てることもリラクゼーション効果を得られやすい。
3. 疼痛軽減の効果がある。CPM使用中,使用後の徐痛効果の報告も多く、鎮痛剤の使用量の減少や患者の主観で「軽くなった感じがする」などの臨床報告がある。
4. 関節軟骨の修復を促進する効果がある。CPM による滑液の関節軟骨への浸透促進効果により、関節軟骨の低酸素状態を抑制し、不動に伴う退行性変化を抑制すると考えられている。
5. 使用期間については原則、術直後からが推奨されており、術直後から1週間以内を開始時期としたものが多い。終了時期についてはCPMの開始から1週間~ 3週間以上とする報告など様々である。
①奈良勲(シリーズ監修), 吉尾雅春(編) : 標準理学療法学專門分野 運動療法総論 第4版, 医学書院, p.156, 168-170. ②細田多穂, 他 : 理学療法ハンドブック 改訂第4版, 第2巻, 治療アプローチ, 協同医書出版社, p.645-648. ③柳澤健 :運動療法学, 金原出版, p. 12. 

1. ハムストリングの収縮は、 脛骨を後方へ制動するため早期から実施することができる。

2. 術後早期は前方剪断力による再建靭帯へのストレスは再断裂のリスクが大きいため、大腿四頭筋の単独収縮を積極的に行うことは避けるべきである。

具体的には、膝関節屈曲 0~30の範囲で大腿四頭筋を単独で収縮させる運動は、脛骨を大腿骨に対して前方に引き出し移植腱を伸張するため、術後8週程度までは制限される。

① 田邊芳惠, 他 : 膝靭帯損傷病期別理学療法ガイドラインー膝靭帯損傷のリハビリテーションの理論と実際-理学療法 19 : 174-183, 2002.

大腿四頭筋の単独収縮においてACLへのストレスが少ない60~90膝屈曲位での訓練は、ACL再建術後に頻発する膝蓋大腿関節痛を増強させる。CKCエクササイズによる大腿四頭筋ハムストリングスとの同時収縮は移植靭帯への伸張ストレスが少ない。

3. 膝屈曲 60°以内でのスクワットは術後2週頃
から開始する。

3. 上半身重心が後方に位置すると大腿四頭筋の筋活動が過剩となり、脛骨の前方引き出しを助長しやすくなる。このため、股関節を軽度屈曲位で行うことと、上半身重心が後方に位置しないように指導する。

2. 荷重移動の感覚を再学習することを目的として、 フォワードランジ、 サイドランジを膝屈曲 60°以内で行う。術後2週頃から開始する。

4. 前十字靭帯は膝外反位での受傷が多いことから、外反にならないように注意して荷重移動練習(ランジ)を行う。

4. 膝伸展位~軽度屈曲位での両脚立位バランス練習として術後2週頃から開始する。

4週

レッグカール

ハーフスクワット

バイクエクササイズ

大腿四頭筋セッティング

移植腱の再血行化およびリモデリングには術後約3か月かかるため

1. ジョギングなどの運動強度が高い運動は術後3か月以降から行う。

5. スポーツ復帰は術後8か月頃が目安である。復帰のための膝伸展筋力の目標値は、角速度60 deg/sec で患健比80~90%となれば、スポーツ復帰可能である。

①山寄勉(編) : 整形外科理学療法の理論と技術, メジカルビュー社, p. 84-114. ②内山英司,他(監修), 園部俊晴, 他 : スポーツ外傷, 障害に対する術後のリハビリテーション, 運動と医学の出版社, p. 116-193. ③相澤純也, 他(編) : ビジュアル実践リハ整形外科リハビリテーション, 羊土社, p. 263-280. ④島田洋! 他(編) : 整形外科術後理学療法プログラム, メジカルビュー社, p.176. 

①神野哲也(監修), 相浮純也·他(編) : ビジュアル実践リハ 整形外科リハビリテーション, 羊土社, p. 267-280. ②松野丈夫 (総編集), 馬場久敏·他(編) : 標準整形外科学, 第 12版, 医学書院, p.679-681. 

 


f:id:uta-huuta-maro-ojyou:20191224090710j:image 

sag sign

膝の後十字靭帯(posterior cruciate ligament; PCL)損傷は、ラグビーや柔道といったコン
タクトスポーツ、交通外傷によって生じる。

新鮮例で、他の靭帯損傷合併のない単独損傷であれば、 スポーツ復帰の予後は良好なので保存療法が選択され、2~3か月かけて膝関節の可動性の改善と膝周囲筋の強化を図り、スポーツ復帰を目指す。

受傷後4週であれば、炎症の軽減に伴い積極的な膝機能回復を図り、疼痛の許容範囲内で荷重を進めていく。
1,2:台からのジャンプ着地やランニングを行うのは、競技復帰を目指して動作トレーニングを開始する12週前後である。
3:膝下にタオルを挿入して脛骨後方移動を抑制しながら膝屈曲可動域の拡大を図っていくが、 この時期には膝屈曲角度は120°程度までにとどめるようにする。
4:大腿四頭筋の収縮による下腿の前方引き出し力は、膝の後方不安定性に対して制動的に作用するため積極的に強化するが、実施の際には脛骨後方移動を予防するために膝近位を支点とし、下腿遠位抵抗で行う。
memo チューブなどを用いる。 さらに下腿近位後面にはタオルなどを挿入して、脛骨後方移動を抑制する。
5:ハムストリングスの強化も行っていくが、 この時期は腹臥位·膝伸展位にて、脛骨の後方移動を抑制するために可能なかぎり下腿近位に抵抗をかけて行う。
memo損傷されたPCLの治癒を妨げないように、 60°以上の膝屈曲位での筋力強化は約3か月間控える。レッグカールは 12週以降から取り入れる。

①臨床スポーツ医学編集委員会(編 ) :スポーツ外傷, 障害の理学診断理学療法ガイド, 第2版,金原出版, 2015, pp. 331-338. ②山下敏彦, 他(編) : スポーツ傷害のリハビリテーション Science and Practice, 第2版, 金原出版, 2017, pp. 149-155. 

 

体重を負荷した状態で屈曲した膝関節に強い回旋力が加わると、半月の一部が脛骨と大腿骨の間に挟まり損傷を受ける。半月板の損傷が軽微の場合には保存的に加療するが、症状が残存し、日常生活に支障をきたしたり、 スポーツ活動が困難となる場合には手術療法を行う。 半月板部分切除術では可及的に荷重を開始するが、切除部に過度な荷重ストレスが加わると関節水腫や疼痛を生じやすいため、過重負荷を適切に管理する必要がある。
1. この時期の ROM は0~120°とし、深屈曲は避ける。疼痛のない範囲で慎重に行う。
2. 全荷重が可能となり荷重時痛を認めなくなれば、膝屈曲 60° までの両脚スクワットから開始する。体幹を前傾させたハーフスクワットは膝屈筋の筋活動が増大し、膝関節への負担が少ないトレーニングとされている。
3、4、5. 競技復帰に必要なスキルを習得するため、基本動作や特異動作を練習するが、ジョギングは荷後4週から、ツイスティング、ジャンプは術後8週から開始する。
①相純也·他(編) : ビジュアル実践リハ整形外科リハビリテーション, 羊土社, p. 278-287. ②松野丈夫(総編集) : 標準整形外科学 第12版, 医学書院, p.674-677.