アキレス腱断裂
5日、3週間、2ヶ月、5ヶ月
3. アキレス腱健断裂に対するテストである。検査台や椅子の上で膝立ち位とし、両足部を台や椅子の端から出させる。患者にリラックスするよう指示し、検者は腓腹筋を把持する。このときに足関節が底屈しなければ陽性で、アキレス腱の断裂を疑う。腹臥位で行うものをSimondsテストという。
術後4日までは、腹が位での自然下垂底屈角度でギプス固定ーこの間に術後の腫脹はかなり治まり、安静時痛もほぼ消失する。
足関節背屈・内反・外反筋の等尺性筋力訓練足しの筋力訓練、健側下肢、上半身の患部外トレーニング
特に、内反筋の強化は重要である。本疾患では、荷重動作時に、腱部や筋鍵移行部の内側部に塔痛を訴える症例は非常に多い。
その動作を観察すると、 健側と比較し後足部の外反を伴っていることが多い。これにより腱の内側が伸張され、 疼痛の原因になっていると考えられる。 このため、内反筋の筋力訓練はこの時期から積極的に行い、 術後3ヶ月は継続する。また、必要に応じて足底挿板やテーピングを施行し(図16)、後足部の動きを調整
すると疼痛を緩和することができる。1. ギプス固定は術後5日まで(内山法)
一般的な縫合方法
アキレス腱は腱鞘をもたず、 パラテノンが周辺軟部組織との癒着を防止し、活動性を維持している。癒着は損傷したパラテノンの術中の処理方法に依存する部分も多く, 2週までの固定では少ないが, 3週間定では癒着量も多いとされている。現在の縫合法では, ある程度の外固定期間を必要とするため、2週間程度は固定することが望ましいとされている。
①松本正知 : アキレスけ断裂逢合後の運動療法, 関節機能解部学に基づく整形外科運動療法ナビゲーション下肢, 体幹(整形外科リハビリテーション学会編). 174-177.メジカルビュー社, 2008.
とし、その後ヒール付きギプスに巻き替え、術後12日にはギプスを除去し、背屈制限付き歩行装具(内山式アキレス腱装具)を装着する。
2. ヒール付きギプスでの荷重は下腿三頭筋の収縮がほとんど起こらないため、疼痛や不安感がなければ術後5日から全荷重歩行が可能である。
3.下腿三頭筋の筋力強化は術後3週から行う。この時期はタオルやセラバンドなどを用いた非荷重位での抵抗運動から開始する。
エルゴメーター術後4週ー患側から跨がり健側から降りる
4. 縫合鍵の腫脹がなく、
腫脹がない=(T2強調画像高輝度陰影ー組織の変性,炎症で白く映る)
背屈可動域がほぼ獲得され、歩行時に疼痛がなく、片脚カーフレイズが可能であれば術後 10 週よりジョギングが可能である。
5. スポーツ復帰の目安は術後5か月である。この時期になると修復した鍵は成熟し、再断裂の可能性はきわめて低い。
①山寄 勉(編) : 整形外科理学療法の理論と技術, メジカルビュー社, p. 58. ②内山英司, 他(監修), 園部俊晴, 他 : スポーツ外傷, 障害に対する術後のリハビリテーション, 運動と医学の出版社、, p. 238-259.