発育性股関節脱臼・股OA・THA

 

発育性股関節形成不全のエックス線診断に関する設問である。発育性股関節形成不全の特徴として,

①開排制限,

②大腿内側皮膚溝の非対称,

③脱臼側の下肢短縮や大転子高位などがみられ、

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股関節の脱臼状態や臼蓋形成不全が画像にて確認される。

先天性股関節脱臼は、新生児、乳児期に股関節が先天性または後天性に

①脱臼、亜脱臼または

②不安定(脱臼と整復が繰り返される) となり

臼蓋の発育が不全(臼蓋形成不全)となる病態である。

1. 発生率は0.1~0.3%であり、男女比は1.5対9で女児に多い。治療としてリーメンビューゲル装具を用いて股関節屈曲、外転位をとらせる。

1. 大腿骨頭の外上方脱臼が多い。

1. 二次的な変形性股関節症になりやすい

代表的な計測方法としては,「臼藍角(臼蓋傾斜角)」「CE角」「OE角」が挙げられる、「臼蓋角」は、両側のY軟骨を結ぶ線であるWollenberg 線と寛骨臼蓋接線のなす角度であり,正常では20~25となる、f:id:uta-huuta-maro-ojyou:20200130153631j:image

「CE角」は骨願中心の垂線と臼蓋嘴を結ぶ線とのなす角度であり、正常では25~35となる。

「OE 角」は骨端核出現以前の計測方法であり、骨幹端近位の成長軟骨中央点の垂線と臼蓋嘴を結ぶ線とのなす角度である.

 

発育性股関節形成不全の乳児期治療に関する設問である.

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エックス線単純写真より, 右股関節の臼蓋角の増大がみられ, 臼蓋形成不全の所見を認める。 乳児期における股関節脱臼予防の原則は, 下肢伸展位を強制せず、股関節が最も安定する開排位を保持することである.

治療方法の順序としては,幼児期の治療として まずリーメンビューゲル法を行い

伸展の動きのみを制限し、下肢を伸展するカで脱臼を整復するものである。

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整復されない場合はオーバーヘッド牽引を行う。さらに整復されない場合には, 全身麻酔下, 関節造影下で徒手整復を行う。

保存的治療でも整復されない場合は,観血的整復を行う、ギプス固定については、成長に伴い骨頭変形をきたすことが示唆されており, 現在ではごく限られた症例のみにしか行われない. また, リーメンビューゲル装具装着後1~2週間で開排制限がとれ,脱臼が整復されることが多いとされる

 

1. 画像からは両股関節の関節裂隙幅が狭いことが確認できるが、消失はまだみられない。臼蓋形成不全変形性股関節症に移行すると、病期の進行とともに関節裂隙の狭小化が進み、次第に関節裂隙の消失がみられるようになる。
2. 角度cは頭体角を示している。成人では120-130が正常範囲である。140以上になると外反股で、115以下になると内反股である。文献によっては120以下を内反股とすることもある。
3. 角度aはSharp角を示している。Sharp角は左右涙痕下端の接線と、涙痕下端と臼蓋外側縁を結ぶ線とのなす角である。わが国の平均値は女性34~42男性35~39である。角度bはCE角を示している。CE角は骨頭中心の垂線と臼蓋外側縁とのなす角である。国の平均値は女性 27~34、男性 30-32である。
4. 角度cは頚体角であり、頭体角は股関節正面工ックス線像において、大腿骨骨幹部軸と大腿骨頸部軸のなす角である。膝関節の両顆部からみると、大腿骨頭部は前方にねじれている。この角を前捻角と呼んでいる。前捻角は水平面上での角度であるためエックス線画像でとらえることができない。MRIやCTの画像から評価を行う。
5. 骨頭の何%が臼蓋内にあるのかを表すAHI (acetabular head index)は、A÷H×100で求める。大腿骨頭内側縁から臼蓋外側縁までの距離を、大腿骨頭内側綠から大腿骨頭外側縁までの距離で除した値で、わが国の平均値は女性80~89%、男性82~88%である。

①中村利孝, 他(監修), 井桶栄二, 他(編) : 標準整形外科学, 第13版, 医学書院, p. 582-583, 589,
612-615. ②石川 朗(総編集), 河村廣幸(責任編集) : 15レクチャーシリーズ理学療法学テキスト 運動器障害理学療法学I, 中山書店, p. 74-77. 

 

1. 我が国では二次性股関節症が多くみられ、一次性股関節症は金体の15%前後と言われている。

1. ニ次性股関節症の原因は、亜脱臼性股関節症が多く、全股関節症の80%を占める。
2. 関節痛の原因は、摩耗した関節軟骨粉により生じた滑膜炎関節周囲筋によるもの、軟骨化層の破壊や硬化などがあげられる。滑膜炎による軟骨破壊とともに骨棘化も進行し、軟骨や骨の変性が進むと関節のスペースも狭まり、接触応力がますます高まるという悪循環が形成される。
3. この疾患では、Duchenne跛行、Trendelenburg 跛行、逃避性跛行などさまざまな破行がみられる。
4. 関節症初期の痛みは、長時間の歩行によるだるさや運動開始時の痛みとして現れる。
5. 症状の進行に伴い、股関節屈曲、外転、内旋、伸展の関節可動域制限が出現するが、強直に至ることは稀である。
①松野丈夫(総編集) : 標準整形外科学第 13版, 医学普院, p.612-615. ②石川朗 (総編集), 河村廣幸(責任編集) : 15 レクチャーシリーズ理学療法テキスト3動器強害 理学旅法学I, 第I版, 中山書店, p.74-77. 

 

人工骨頭置换術ではリスクとして脱臼があげられる.進入方によって禁忌肢位が定められており,

後方アプローチでは屈曲、内転、内旋

前方アプローチでは伸展、内転、外旋が

禁忌となる、そのため、日常生活動作で禁忌肢位をとりやすい、靴、靴下を履く,横座り,床へのしゃがみ込み、立ち座りなどに十分に注意した指導が必要である。

 

87 歳の女性。転倒による大腿骨近位部骨折に対する手術後。理学療法を行っているが、 筋力増強の効果が不十分で全身の持久性も低下している。 下肢の浮腫を認めたため主治医へ報告したところ、 栄養障害はあるが内科的な併存症はないといわれた。理学療法を行う上で、特に参考となる血液検査所見はアルブミンである。

浮腫は血しょう量の増加あるいは減少を問わず、細胞外液, 特に組織間液が異常に増加した状態と定義されている。栄養障害性浮腫は毛細血管の透過性充進と低アルブミン血症による膠質浸透圧の低下によって出現する。