sag sign(サグ・サイン)
【画像①】
sag sign(サグ・サイン)ってご存知ですか?
膝の後十字靭帯(PCL)損傷の際に見られる徴候です。
画像のように患者さんには背臥位となってもらい、軽く膝を曲げた状態で踵を台の上に置きます。
この時、下腿が床面と平行になるようにします。
着目すべき点は、膝蓋尖(膝蓋骨遠位)から脛骨粗面にかけて。
画像では、左膝(向かって手前)が右膝に比べて脛骨近位端前縁が下がっています。
実はこの患者さん、太郎の学校の学生Yuちゃんです。
sag signを認める学生がいるぞ!と言う噂を聞きつけて太郎は、学校附属の接骨院で彼女の膝を見せて頂きました。
19歳の女性。
PCL損傷の自覚はなく、いつ、どのようにして受傷したかも分からないうち、このようになっていたとか。
先天的にPCLがルース(loose=緩んでしまっている)なのでしょうか?(*1)
それなら反対側の膝にもsag signが認められるはずですから、先天的のものではなさそうです。
【画像②】
sag signを認める人は、【画像②】のように膝を軽く屈曲させただけでもそれが確認できます。
膝蓋骨の高さに対して脛骨(近位端前縁)が下に落ち込んでいるのが分かりますか?
【画像③】
さて、Yuちゃんには実験台になってもらうことにして、下腿近位端部を前方(大腿骨長軸方向)に引っ張ってみましょう。【画像③】
前十字靭帯(ACL)損傷の有無を検査する際の前方引き出してストですね。
脛骨近位端前縁が、先ほどの画像よりも前方に出てきたのが分かりますか?
【画像④】
もう少し、下腿を前方に引き出してみました。【画像④】
この画像で脛骨近位端前縁は、膝蓋骨に対してほぼ正常な高さにまで回復しています。
【画像⑤】
sag signはこのように、わざわざ踵を台の上に載せなくても、膝を軽く屈曲させただけで確認できます。
患者さんの膝を検査する際には、【画像⑤】のような肢位を取ってもらうことが多いですね。
ですから、膝の痛みを訴える患者さんにはこの肢位の時に、sag signの有無を確認するのです。
なお、確認は健側と比較して行うと、分かりやすいでしょうね。
【追記】
(*1)
臨床では「ルーズ・ショウルダー(loose shoulder)」など「ルーズ」と発音されますが、looseの正しい発音は「ルース」です。