外側縦アーチを考える

みなさん突然ですが外側縦アーチはとても重要なです!!!

 

足部には3つのアーチがあります。その機能として、立位および歩行時の体重支持、衝撃吸収、凹凸面に対して足部の形状を適合させること等が挙げられます。

 

なぜなら、外側縦アーチが重要なのかというと...

外側縦アーチが崩れると、内側縦アーチ・横アーチの機能も低下してしまうからです。

 

外側縦アーチが安定することで

  • 歩行の蹴り返し時に母趾へ体重をスムーズ移動させることが出来る¹⁾。
  • 踵骨棘、足底腱膜炎が生じにくい²⁾

 

初めて聞いた方も多いかと思いますが、文献を交えて説明したいと思います。

 

まずは解剖!!!

 

外側縦アーチは踵骨・立方骨・第五中足骨が構成されています。


f:id:uta-huuta-maro-ojyou:20190814235943j:image

図1 外側縦アーチの骨構造

 

そして筋肉と靭帯ですが

色々大切なものはありますが今回は小趾外転筋と長・短腓骨筋のみ紹介します!

 

実は小趾外転筋と短腓骨筋は外側縦アーチ(特に立方骨と考えられますが)を安定化させるとても大切な筋です!


f:id:uta-huuta-maro-ojyou:20190815000017j:image

図2 小趾外転筋と短腓骨筋の合成ベクトル

 

短腓骨筋と小趾外転筋が働くことで外側縦アーチが安定化し、立方骨が固定されやすいと考えられます。

 

立方骨の固定?もう一つ重要なことが出てきました!!!

 

立方骨が固定されることで、中足根関節(リスフラン関節)の過度な動きを阻止する、骨性のロック機構です。

 

機構としては簡単です。立方骨の背側が踵骨の踵骨突起に衝突するまで回内するという概念です。


f:id:uta-huuta-maro-ojyou:20190815000029j:image

図3 立方骨の回転

 

 この立方骨の固定に作用するもう一つ重要な筋が長腓骨筋である!!

 

長腓骨筋は第1中底骨底、内側楔状骨から立方骨の下を通り、立方骨を固定する作用があります。


f:id:uta-huuta-maro-ojyou:20190815000035j:image

図4 長腓骨筋の立方骨固定作用

 

このように小趾外転筋や長・短腓骨筋が働くことで外側縦アーチ、リスフラン関節の安定性が増大し、前足部の安定化も増大することで歩行の蹴り返し時に母趾へ体重をスムーズ移動させることが出来る。

 

このことを「ハイギアプッシュオフ¹⁾」と呼んでいる文献がある。

 

 

話は変わり、この記事の始めに踵骨棘、足底腱膜炎が生じにくいと記載した。私は足底腱膜炎や踵骨棘は偏平足や内側縦アーチに負荷が生じたときに発生しやすいものと考えている。

 

面白い報告がある「小趾外転筋の萎縮がMRIで認められた場合、足底腱膜炎と踵骨棘の形成に関係があった²⁾」というものである。

 

ここからは私の推論であるが、小趾外転筋は外側縦アーチを支持することで内側縦アーチの機能も支持していると考えることが出来る。

 

では外側縦アーチの評価をどのようにするのかという問題であるが、

現在、外側縦アーチを客観的に評価する方法はない。

 

私は立方骨に下に丸めたタオルを入れてスクワット、もしくはランジ動作を行わせて、背屈可動域が改善する、つま先立ちが行いやすくなる感覚がある場合は積極的に外側縦アーチに介入している。もちろん、超音波を用いて左右の小趾外転筋の筋厚・筋断面積を比較して介入しても良いと考える

 


f:id:uta-huuta-maro-ojyou:20190815000107j:image

図5 私の外側縦アーチの評価方法

 

まとめ

・外側縦アーチの安定化は蹴り出し時に母趾への荷重を行いやすくする

・外側縦アーチの安定化は内側縦アーチを間接的支持する可能性がある

 

参考文献

1)Thomas C.Michaud 著 加倉井 周一 訳:臨床足装具学 生体工学的アプローチ、医歯薬出版、2018

2)Usha Chundru & Amy Liebeskind et al:Plantar fasciitis and calcaneal spur formation are associated with abductor digiti minimi atrophy on MRI of the foot.Skeletal Radiol (2008) 37:505–510