骨盤について実践的な「骨盤帯」から診る姿勢評価と臨床推論
前回は、「実践的な脊柱弯曲から診る姿勢評価と臨床推論」をテーマに、お伝えさせていただきました。
まだ、見られていない方は、ぜひ読んでみて下さい。
今回は、「実践的な骨盤帯から診る姿勢評価と推論」をテーマにお伝えしていきます。
骨盤帯は身体の土台と表現されているように非常に重要な部位です。
体幹と下肢をつなぐ役割はもちろん、
コアスタビリティにも非常に影響を及ぼします。
本日は、骨盤帯アライメント変化による様々な影響を考えながら、評価方法をお伝えしていきます。
Contents(目次) [show]
骨盤帯とは?
骨盤帯はご存じのように、いくつかの骨が組み合わさって形成されています。
● 寛骨(腸骨・恥骨・坐骨)
● 仙骨 ● 尾骨
関節面は、「仙腸関節」と「恥骨結合」であり、これらの動きによってアライメントが形成されます。
骨盤帯のアライメント
まずは、どのような影響でアライメントが変化するのでしょうか?
そのために、骨盤帯の構造の特徴についてお伝えしていきます。
テンセグリティ構造
みなさんは、「テンセグリティ構造」という言葉を聞いたことがありますか?
主に建築業界で使われている言葉です。
これが、身体と何の関係があるの?
そう思った方もいらっしゃると思います。
実は僕たちの身体も、このテンセグリティ構造を有してると言われています。
骨盤帯はもちろん全身アライメントは、
「骨」と「筋・筋膜・結合組織のテンションバランス」によって、
決められているという考え方です。
鉄骨構造のような硬い結合で形が規定されていないことにより、
柔軟な動きができるため、多様な動作へとつながっていきます。
しかし、全体の調和によって成り立っている関係性のために、
どこか一部分にトラブルが起きると、全身に影響が及ぶのが欠点です。
● 組織の構造的異常:癒着、瘢痕化、短縮 など
● 組織の機能的異常:緊張、弛緩 など
骨盤帯に関与する筋・筋膜では、どのような組織が骨盤帯に影響を与えるのしょうか?
まずは、部位別に考えていきます。
【骨盤交叉症候群】
【逆骨盤交叉症候群】
おおまかにこのような分類に分けることができます。
そのための評価としては、
● 骨盤前傾 + 腰椎前弯 Type
● 骨盤後傾 + 腰椎後弯 Type
に分けることを、おすすめしています。
骨盤アライメントの評価方法
では、具体的な骨盤アライメントの評価方方法です。
今回は、「前傾と「後傾」についてお伝えします。
このような関係性になっているので、しっかりと触診をして確認をしていきます。
触診をする際の注意点として、
● ASIS・PSISの「どの部分」を指標にするのか決める
⇒ 両者ともに割と大きいので、毎回同じ部分を指標にしていく
● 骨指標なので、「強く押す」と「痛み」を誘発する
● PSISは、腸骨稜から仙骨へ向かって手を進めていく
● 恥骨結節は、陰部に近いため、あらかじめ「声がけ」をする
⇒ 評価に意識が向き過ぎて、相手への配慮が欠けないように注意!
● 恥骨結節は、腹側から触れるように行うが、強く押圧しないようにする
⇒ 骨指標であり痛むことがある、上部に「膀胱」、女性では「子宮」がある
● 恥骨結節は、必要に応じて「相手の指」で位置を示してもらう
● 恥骨結節を直接触れられることに気が引ける方には、「相手の手の上」から触れるなどに配慮して行っていきます。
今回は、「前傾」と「後傾」を中心にお伝えしましたが、
次回は、「インフレア」や「アウトフレア」、「仙骨」、「恥骨結合」についてもお伝えしていきます。
まとめ
① 身体はテンセグリティ構造を有しているため、筋・筋膜などの影響を強く受ける
② 特異的なアライメントパターンをベースに、評価・推論を進めていく
③ 前傾・後傾の評価を行うことで、全身への影響度を考える
おわりに
いかがでしたか?
骨盤帯は身体の土台となる部位であり、評価する上では重要な場所です。
体幹・下肢の筋緊張変化による影響によって変化するだけでなく、
各々の影響を一方へと波及していくことにもつながります。
そのため、骨盤帯を中心に全身の身体機能を推察することも可能となっていきます。