心理・精神・臨床心理学
パブロフー古典的条件付け(レスポンデント)
行動療法
道具的条件付け(オペラント)ースキナー
系統的脱感作法ーウォルピ
暴露法(エクスポーチャー)
トークンエコノミー
バイオフィードバック
自律訓練法ーシュルツ
来談者中心法ーロジャース
プラット
箱庭療法ーローンフェルト
認知行動療法ーベック
学習者自身の直接的な経験に基づく学習法の過程で用いられるものとして、 オペラント(道具的)条件付けやレスポンデント(古典的)条件付けがある。レスポンデント条件付けでは生物が本来もっている反応(不随意運動)が引き起こされるのに対し、オペラント条件付けでは先に「行動」を起こし、 その後に何らか
の「行動を起こした原因」が生じるような随意運動が引き起こされる。
1:連合説とは、レスポンデント条件付けの理論による学習の説明である。 連合とは刺激
(stimulus)と反応 (response)のつながりのことをいう(S-R 理論)。
2、5:パブロフの犬とは、 I. Pavlovが行ったレスポンデント行動の研究として知られる実
験のことである。この実験では、もともと唾液を分泌する働きをもっていなかったベルの音 (中性刺激)を、エサ(無条件刺激)と一緒に提示する実験を繰り返すことで、音(条件刺激)に対しても犬の唾液(条件反応)が生じるようになる条件付け、すなわちレスポンデント
条件付けが成立すると説明された。
4:スキナー箱とは、B. Skinnerがネズミを用いたオペラント行動 (環境に対して自らが働きかける行動)の研究で使用した実験装置である。この実験ではネズミはエサという報酬を得るための道具(手段)として、 レバーを押すというオペラント行動の出現頻度が増加した。このようにある反応(レバー押し)が出現したとき、強化を随伴させること(エサを与える行為)によって、オペラント行動の自発頻度を変化させることをオペラント条件付けという。
3:三項随伴性はオペラント条件付けを基礎にした理論である。この理論は、人間の行動は 【A: 刺激、B: 刺激によって生じる行動、C:その行動の結果】 という3要素の随伴性によって生じると考えるものである(ABC分析)。
ギャング·エイジは、学童期にみられる心理で、 仲間意識が強くなり、 排他的な同性の仲良し集団をつくることである。
スチューデント·アパシーは、 大学生などの青年期後期以降に生じやすい。意欲減退傾向が現れやすく、 長期留年などに結びつきやすい。
自己中心性は、自他の視点の区別をすることが困難で、他者の視点に立って対象を客観的にとらえることができず、自己の視点に中心化してしまうものである。幼児期にみられやすい。
第一反抗期は、自分一人で様々なことをしようと試み、親が手助けしょうとすると怒るようになるものである。幼児期にみられやすい。
空の巣症候群は、子供が独立した後に精神的苦痛や抑うつ状態が現れるもので、 40~50歳代の女性にみられやすい。
参考文献 二宮克美·他: ベーシック心理学、第2版、医歯薬出版、p. 105-106, 119.上杉雅之(監修)、 浅野大喜他:イラストでわかる人間発達学、医歯薬出版、p. 216-217)
青年期は心身の変動が大きいことや、心理的
発達課題をなしとげるのに強い不安と葛藤を体験する発達段階なので、心理的な問題が生じやすい。
1:不登校は児童期にもみられるが、青年期になって増加する。
2:特に青年期の女性では拒食、異常が生じやすい。過食などの食行動の
3:喪失体験は青年期の行動異常のきっかけになることもあるが、一般的には高齢者の異常心理を引き起こすきっかけとして重要である。
4:青年期は自我同一性と社会的役割意識の確立のため、社会的義務や責任が一時的に免除される猶予(モラトリアム)期間でもある。
5:青年期は自我同一性確立の努力カがなされる時期であり、このとき、自我同一性の確立に失敗すると様々な問題行動を生じやすい。
memoこれを青年期危機と呼び、自殺、自傷、非行などを生じる。
①長田久雄(編) :看護学生のための心理学,第2版,医学書院,2016,pp 78-99.
②二宮克美(編著):ベーシック心理学,第2版,医歯薬出版,2016, pp 112-124.
③上島国利,他(編):精神医学テキストー精神障害の理解と治療のために,改訂第4版,南江堂, 2017,pp 24-27.
E. Erikson は、人間の一生を人生周期と呼び、8つの時期(段階)に分けた。人生周期の各段階は、その段階で解決しなければならない段階特異的な発達課題によって特徴づけられる。対極的な言葉で表されるこの一連の葛藤を「心理,社会的危機」と呼び、次のステップに進むときに解決を余儀なくされる分岐的な状態を表している。
発達課題
乳児期ー基本的信頼対不信
幼児(前)期ー自律性対恥,疑惑
遊戯期(幼児後期)ー積極性対罪悪感
学童期ー勤勉性対劣等感
青年期ー同一性対拡散性
成人初期ー親密性対孤立
成人期ー生殖性対停滞
老年期ー統合性対絶望
①竹下研三:人間発達学一ヒトはどう育つのか、中央法規出版,2009,pp 122-123.
②牧正興,他(編著): 臨床心理学の理論と実践,ミネルヴァ書房, 1990,pp 207-212.
③長田久雄(編):看護学生のための心理学,第2版,医学書院,2016,p 81.
④名嘉幸一 (編) : 臨床心理学,コメデイカルのための専門基礎分野テキスト,中外医学社, 2006, pp 116-125.
1:心的飽和とは同じ作業を繰り返していると、やがて作業に飽きてその作業を続けることができない現象をいう。これは動機づけに関連する用語である。
2:コンフリクトとは、例えば「この病院にも就職したいし、あの病院にも就職したい(接近一接近コンフリクト)」、「勉強も嫌だけど、試験に落ちるのも嫌だ(回避-回避壁コンフリクト)」、「給料はいいけど、残業が多いのは嫌だ(接近-回避コンフリクト)」というように、2つ以上の欲求が同等の強さで存在し、選択できずに迷っている状態をいう。
3:自己呈示理論は米国の心理学者Learyらによって提唱された、対人不安の発生を説明する理論である。この理論では「自分をよく見せたい欲求が強く、自分をよく見せる自信がないほど社会不安は強くなるため、欲求を弱め、自信を高めるような介入が効果的である」と考えられている。
4:光背効果〈ハロー効果〉とは、 相手のほんの一部分でもよい(悪い)印象を受けると、他のすべての特性も“よい(悪い)"と判断し、欠点 (美点)がみえなくなってしまう傾向のことである。その人のすべてがよい(欠点がみえない)と思い込んでしまったがために、結婚詐欺師に騙されるのはこの一例である。
5:包装効果(論理的過誤)とは、ある特性とある特性との結びつきから他者の人格を推論する傾向のことである。ふくよかな体型の人から優しくしてもらったから、ふくよかな体型の人はみんな優しい”と考えてしまうのはこの一例である。
箱庭療法は、箱に種々の玩具を用意し、患者に自由に作品を作らせることにより、治療を行うものである。
森田療法は、患者が自己の症状をあるがままに受け入れることができるように訓練する方法である。
現存在分析は、患者の症状から明らかにされる現存在の変容を、治療者が患者とともに明らかにしていく過程が治療につながるとされる。
支持的精神療法は、患者の長所を支持しながら、患者が直面する現実の諸問題を解決することを目的とした治療法である。
参考文献 奈良 勲.他(シリーズ監修)、上野武治(編):標準理学療法学,作業療法学專門基礎分野、精神医学、第4版、医学書院、p. 242-245.大熊輝雄:現代臨床精神医学、改訂第11版、金原出版、p. 500-501)
認知行動療法は、 行動療法と認知療法の双方の長所を取り入れ、数多くの実証的な研究を踏まえた上で確立した。認知行動療法では、 様々な問題や症状の背景にある認知の歪みの修正が目指される。
認知行動療法は、考え方の偏りを矯正することで症状を改善しようとする方法である。
2:認知行動療法では、自動思考の検討·修正を図る。
memo自動思考とは、 ある出来事や状況の発生に伴って、意図せず自動的に頭に浮かぶ思考やイメージで、 本人にとっては習慣化しているものである。これが非常に否定的なもの(否定的自動思考)である場合、うつ症状を生み出すとされている。
1:内観療法では、 浄土真宗分派の1つにおける修行であった「身調べ」を発展させた方法を用いる。
3:コラージュ法は、 雑誌から切り抜いた写真や絵などを画用紙に自由に貼って作品にするもので、芸術療法における一手法である。
memo 芸術療法は音楽、 絵画、 文学など様々な芸術のもつ治療的な作用を心理療法に応用する。
4:フェルトセンスはE. Gendlin によって創始されたフォーカシングで用いられる概念である。
5. フォーカシングは、Rogers の共同研究者であったGendlin によって開発され、 問題や気になることについて浮かんでくる自分の感じ(フェルトセンス) を十分に確かめるものである。 フォーカシングの技法は、来談者中心療法の理論から生まれた。
memo 漠然として言葉にならないような、身体で感じられている意味感覚のことであり、
これを言語化することによって、まだ明らかになっていない意味の側面が明らかになっていくとしている(体験過程の推進)。
5:受動的注意集中は、自律訓練法における重要な心理的態度である。
memo 練習課題を達成しようと努力するのではなく、その状態をあるがままに受け止めることを重要とする考えである。
①島井哲志·他 (編著) : 心理学·臨床心理学入門ゼミナー北大路書房, 2006, pp 146-149, pp 162-166, pp 183-186.
②名嘉幸ー(編) : 臨床心理学, コメディカルのための専門基礎分野テキスト,中外医学社,
2006,pp 67-68, pp 72-73, pp 75-77, pp 81-83.
1. 回想法は、 認知症高齢者などが対象となる。懐かしい場面や楽しかった経験の回想を通し、症状の改善を図る。
2. グリーフワークは、家族介護者が対象となる。 死別によって生じた悲嘆や喪失と向かい合い、自分の中で受容し、新しい世界に適応していこうとするための作業である。
3. ピア,サポートは、 障害者などが対象となる。障害をもつ者同士がお互いに励まし合い、共感し (ピア·カウンセリング)、 心の負担を軽減して自立を目指す。
4. コンタクト·パーソンは、高齢者や障害者が対象となる。マンツーマンで友人と援助者という両方の立場で援助を行う人や活動である。
5. ペアレント·トレーニングは、行動上の問題がある児が対象となる。子供の行動上の問題に対し、親が適切な関わりを学ぶためのグループトレーニングである。
①二宮克美·他:ベーシック心理学、第2版、
医歯薬出版、p. 192-193. ②下山山春彦(編):よくわかる臨床心理学、改訂新版、ミネルヴァア書房、 p. 115