神経・筋疾患

 

筋力低下

遠位、神経の病気

【ALS(四肢遠位)、ギランバレー、シャルコーマリートゥース、筋強直性ジストロフィー】

近位、筋が名前につく

筋ジストロフィー、重症筋無力症、ランバートイートン、多発性(皮膚)筋炎(四肢近位)】

 

2.周期性四肢麻林痺は、血清カリウムの異常によって筋力低下を生じる疾患である。低カリウム性周期性四肢麻痺は、10~20歳代に好発し、発作は1時間から数日で軽快する。

 

Charcot-Marie-Tooth病は、下腿に始まる四肢遠位筋の萎縮と筋力低下を主訴とする変性性末梢神経障害である。典型的な症状として、下肢優位の感覚障害もみられる。I型(脱髄型)は全ての型の中で最も頻度が高い。

 

多発性筋炎(polymyositis : PM) は、四肢近位筋の筋力低下, 筋肉痛を主症状とする自己免変疾患である。主に体幹や四肢近位筋の筋力低下により立ち上がりや移動、姿勢保持が障害されるだけでなく、嚥下筋の障害により誤嚥や窒息のリスクが高まる。

2:血清CK 値は高値を示す。

4. 筋電図では筋原性変化を認める

4. 安静時には被刺激性の亢進が著明で、自発放電が多量に認められる。随意収縮は低振幅のいわゆる筋原性変化が主体である。

1. 5歳から9歳、女性に多い。

1:関節痛の合併もあるが、関節炎に至ることはまれである。
memo 明確な滑膜炎はなく、他覚所見も乏しい。

2. ヘリオトロープは、上眼臉の浮腫性の紫紅色の紅斑で、皮膚筋炎に特徴的にみられる。

2. ゴットロン徴候ー関節の炎症、腫脹

3. レイノー現象

3. 胃腸障害を合併する。

1. 老年者では半数に悪性腫瘍(肺、前立腺、卵巣、子宮、乳腺、大腸)の合併がある。呼吸機能の低下などもあり、筋力低下だけでなく、他の症状に対しても対応が必要となる。

1:PMにおける呼吸機能の低下は、呼吸筋の筋力低下や間質性肺炎に起因するため、約30~60%に間質性肺炎がみられる。拘束性の換気障害を呈しやすい。

間質性肺炎

②悪性腫場

の2つが、生命予後を決める合併症として最も重要である。

筋力低下は対称性にかつ近位筋優位で生じる。
memo 近位筋のほか、頸部屈筋の筋力低下やまた嚥下障害早期の症状としてみられる。

1. 急性期から亜急性期の症状が安定しない時期は、関節可動域運動による拘縮予防をはかる。

場合によっては呼吸理学療法が必要な場合もある。

3. 四肢関節の可動域や体幹·胸郭の柔軟性の維持を図るために関節可動域運動を行う際は、悪性腫瘍の合併や皮膚症状などの禁忌を確認したうえで、 ホットパックなどを用いた温熱療法が効果的である。 

1. 近年、早期運動療法の効果についての報告がなされ、発症早期からの運動療法が少しずつ推奨されてきている。

5:血液所見では、CK値などの筋逸脱酵素値、CRP (C反応性蛋白》などの炎症性所見で高値を示す。したがって、これらの値を介入前後で経時的に評価することが運動負荷量を決定する際に重要となる。

1.筋痛を認めることが多い。歩行訓練や筋力強化は、この筋痛が軽快してから行う

2:急性期には近位筋優位の筋力低下や筋萎縮を認める。早期から階段昇降、椅子座位からの起立、しゃがみ立ちに影響を及ぼすため、急性期早い時期から特に四肢、体幹大関節をまたぐ筋群の拘縮予防に努める。

3:四肢近位筋をはじめ、頸部筋、咽頭筋の筋力低下を主症状とするため、背臥位から抗重力方向となる頚部,体幹屈曲方向への起き上がりは困難となる。したがって症状の進行に伴い背臥位から側臥位を経由した起き上がり練習を実施する。

1. 筋疲労感を確認しながら実施し、 運動後の筋原酵素の上昇がなく、筋力低下が起こらず、 翌日に疲労を残さない範囲で行う。

筋力増強運動はCK値が基準値よりも高値であっても安定してきていれば、 徐々に低負荷から開始する。

5. 治療には、副腎皮質ホルモン製剤の投与が行われる。

4:ステロイド療法の開始により症状の改善を認めている時期であれば、廃用性筋萎縮を防ぐためにも筋力増強トレーニングは積極的に行う方がよい。ただし負荷量は翌日に疲労,疼痛を残さない程度に設定する。

2.ステロイドが減量される時期は、炎症の再燃然が生じやすいため、ステロイドの減量予定とそれに伴う筋原酵素値の変化を確認しながら理学療法を進める必要がある。CK 値は臨床経過と筋炎の活動性と最も良く相関する。

また、筋炎の再燃に際しても、筋力が低下する前より異常が現れるとも言われている。 従って、CK値の変化には十分な注意が必要である。

5. ステロイド長期投与による大腿骨頭無腐性壊死の発症が危倶されるため、 有酸素運動には

自転車エルゴメータや

水中トレーニングなど

大腿骨頭への負担が最小限となるものを選択することが望ましい

トレッドミル歩行❌
①丸山仁司(編) : 系統理学療法学 神経障害系理学療法学, 医歯薬出版, p.123-124. ②内山 靖他 (編) : 神経系理学療法実践マニュアル, 文光堂, p.420-422. ①川平和美(編) : 神経内科学, 第5版, 標準理学療法学, 作業療法学(専門基礎分野), 医学書院, 2019, p297, p299. ②水野美邦(編) : 神経内科ハンドブックー鑑別診断と治療, 第5版, 医学書院, 2016, pp. 1197-1199. ③水野美邦(監) : 標準神経病学, 第2版, 医学書院, 2012, pp 64-68. ④前田眞治, 他 : 内科学, 第3版, 標準理学療法学,作業療法学(專門基礎分野), 医学書院,2014, pp. 312-313. ①村川裕二(監) : 神経内科学の講義がそのまま本になりました, 医学教育出版社, 2017, pp 252-253. ②小森哲夫(監) : 神経難病領域のリハビリテーション実践アプローチ, 改訂第2版,メジカルビュー社, 2019, pp. 311-318. ①奈良 勲, 他(シリーズ監修), 川平和美. 他(編) : 標準理学療法学, 作業療法学 専門基礎分野, 神経内科学, 第4版, 医学書院, p. 284. ②田崎義明 他 : ベッドサイドの神経の診かた, 改訂18版, 南山堂, p.436. 

 

2:多発性硬化症の総合的な身体活動能力の評価には、EDSS (expanded disability status scale ; 総合障害度評価尺度)が用いられる。

症状や障害は多岐にわたり、再発と寛解を繰り返しながら機能障害や活動制限が進行することが多いため、定期的な評価が必要である。

2. EDSS (Expanded Disability Status Scale)のスコア1.0 「能力障害はないが1つの機能系で軽微な所見がある」である。9.0は「ほぼ寝たきりだが意思疎通と経口摂取は可能」、9.5 は「まったく寝たきりで、意思疎通、経口摂取不可能」、10は「死亡」となる。

本症例は再発寛解型であると考えられる。また、現在は炎症症状が沈静化しているため回復期であると考えられる。
EDSS (Expanded Disability Status Scale) において、4.0とは神経障害が比較的高度であるが、日常生活は自身で可能であることを意味する。
4. EDSS が6.0以上は座位時間が長くなるため座位保持練習や定期的な除圧が必要となるが、この患者はEDSS が4.0であり、装具なしに歩行可能で、1日 12時間以上活動できる段階である。このため座位時の定期的な除圧は不要である。

多発性硬化症(MS) は、中枢神経系に時間的、空間的に多発する病変を呈する原因不明の炎症性脱髄性疾患である

症状は多彩であり、病変の局在によって状況は大きく変動し、個人差を認める。

我が国においては、視力低下運動麻痺、四肢,頸部,体幹しびれを訴えることが多い。

5:多発性硬化症の有病率は人種差が大きく,欧米白人では人口10万人当たり50~100人程度であるのに対し,東アジア人では1~10人程度である.男女比は1:2~4で女性に多く,発症年齢は平均約30歳と比較的若年に多い.
1. 視神経炎はMSの代表的症状であり、視力低下、視野異常、中心暗点を認める。

2. 膀胱機能の低下は80%の患者で生じるとされる。過活動膀胱となり、最大膀胱容量が減少し、頻尿や切追失禁となる。
3. MSでは各種の発作症状を認める場合がある、突発性の構音障害、失調症、四肢,体幹などのしびれやかゆみ、閃光のようなまぶしさ、有痛性強直性痙攣が出現する。
4. MSでは、小脳が障害されることで、⭕非回転性めまいや企図振戦、四肢の強調運動障害、頭部,体幹の動揺を認める。

2. 錐体路の障害などでと反射は亢進し、Babinski 反射陽性など病的反射が出現することもある。

3:Lhermitte 徵候とは、頭部を屈曲したときに、感電あるいは刺すような痛みが背中から下肢などに放散する症状であり、多発性硬化症の特徴である。
3:多発性硬化症患者はUhthoff徵候にみられるように、高温環境下で症状が悪化する可能性があるため、痙縮に対し41~42℃のハバード浴を利用するのは適切でない

memo 体温上昇によってカリウムチャネルが開き、神経伝導が障害されている脱髄部位の刺激伝導効率がさらに低下することによる。
memo 理学療法を行う場所の温度(一般に25度以下)や湿度環境には十分注意する必要がある。

3:下肢の痙縮があり,はさみ足歩行を呈してい
るので,股関節内転筋群や下腿底屈筋群のストレッチを行う,

2:下肢の痙縮があり,はさみ足歩行を呈している場合,歩行を安定化して歩行時のエネルギー消費を少なくするために短下肢装具の装着を検討する。

青木茂樹, 他(編) : よくわかる脳MRI, 第3版, 学研メディカル秀潤社, p.486-487. ②内山 靖.(編) : 神経症候障害学病態とエビデンスに基づく治療と理学療法, 文光堂, p.218-237. ②加倉井周一 他(編) : 神経, 筋疾患のマネージメント 難病患者のリハビリテーション, 医学書院, p.75-83. 

3. 治療法としてはステロイドパルス療法血漿浄化療法、インターフェ口ンベータの筋肉注射などがある。急性増悪期にはステロイドパルス療法寛解期にはステロイド維持量の長期投与を行う。

多発性硬化症の急性期は、ステロイドパルス療法(点滴によりステロイド剤を通常3日程度大量投与する治療法)が第1選択で、それにより効果がみられれば全身調整運動を開始していく。

1. 呼吸理学療法は急性期に行うべき内容である。
1、2. この時期に筋力増強訓練を実施するのは過負荷であるため避ける。
3. 現時点では、良肢位保持、関節可動域訓練やストレッチングなどを実施する。
4. 多発性硬化症患者は易疲労性があるため、持久力訓練❌は適さない。
5. 立位訓練も徐々に開始していく必要はあるが、下肢筋はMMT2であり現段階では過負荷となるため適さない。
①石川朗(総編集) : 15 レクチャーシリーズ理学療法テキスト, 神経障害理学療法学I, 中山書店, p. 111-120. ②小森哲夫(監修), 田中勇次郎,他(編) : 神経難病領域のリハビリテーション実践アプローチ, 第2版, メジカルビュー社, p. 264-289. ③潮見泰藏(編著) : ビジュアルレクチャー神経理学療法学, 医歯薬出版. p.212-223. 
5. 前回の症状寛解時の状態が最大の状態であるということを認識し、目安としてプログラムを立てることが必要となる。

2. 労作は比較的涼しい午前中に実施して、体温の上昇を防ぐ。体温上昇によって発作的な神経症状(Uhthoff 現象)を認める可能性がある。

3. 運動療法二次的,廃用的に低下した筋力を回復させることはできるが、過負荷による筋疲労や体温上昇により、症状悪化の原因になることがある。低負荷で疲労を確認しながらプログラムを進める。

多発性硬化症では疲労他症状よりも強くみられることがあり、過用性筋力低下,筋損傷をきたすことがあるため、高負荷かつ長時間にわたる運動は避けるようにする。

1:減薬時には症状が増悪することがあるため、運動負荷量は増やさず維持程度にとどめる。

4:筋力増強運動はやや重く感じる程度の負荷強度から始め、翌日に疲れが残らない程度に負荷強度やセット数を徐々に増やしていくため、最大筋力の85%以上の負荷量は強すぎると考えられる。
5:Borg 指数 15は主観的に「きつい」強度の負荷となり、多発性硬化症患者には負荷が強いため適切でない。
memo 持久力運動はBorg指数で11(楽である)~13(ややきつい)を目安にし、13を超えるようであれは負荷強度を減らすか運動を終了する。

潮見泰藏 (編): PT.OT ビジュアルテキスト、神経障害理学療法学、羊土社、p.200-223.田中勇次朗チ、メジカルビュー社、p.260-284

①石川朗(総編) : 神経障害理学療法学I, 15 レクチャーシリーズ理学療法テキスト, 中山書店, 2012,pp 111-129. ②小森哲夫(監) : 神経難病領域のリハビリテーション実践アプローチ,改訂第2版, メジカルビュー社, 2019, pp 264-289. ③市橋則明(編) : 運動療法学一隊害別アプローチの理論と実際, 第2版, 文光堂, 2014, pp 224-227, p460.

 

2:封入体筋炎は50歳以降の男性に好発する,

1)水野美邦(監修):標準神経病学 第2版, pp17-27.277-278, 294-296, 360-367, p68,医学書院, 2012. 2)水野美邦(編):神経内科八ンドブック 第2版, pp652-770,学書院,1993.

 

橈骨遠位端骨折ー正中神経麻痺

1:腕神経叢麻痺の上位型はC5、C6、(C7)の
損傷であり、肩甲带下制、肩関節内転,内旋位、肘関節伸展位、前腕回内位、手関節掌屈位といった典型的な肢位をとり、この肢位と逆方向の運動の可動域が制限される。そのため、肩関節外転,外旋運動、肩すくめ運動などによって関節可動域の改善を図るのは適切
である。ウェイターチップ肢位

4:胸郭出口症候群は絞扼性神経障害である。前斜角筋と中斜角筋の間、鎖骨と肋骨の間(肋鎖間隙)、小胸筋の下層を走行する腕神経叢が
これらの隙間で圧迫されて生じる。

2:後骨間神経は純枠な運動神経であるため、
後骨間神経麻痺では手背機側の知覚再教育は必要とならない。

1. 手根管症候群は、手根管で正中神経が圧追されることで生じる。母指球筋の萎縮や対立障害、つまみ動作の障害などを生じるーPhalen(ファーレン)テスト

2. 肘部管症候群は、尺側肘部管で尺骨神経が圧迫されることで生じる。鷲手やFromet 徵候陽性となる。

3. 円回内筋症候群、前骨間神経障害は、正中神経が円回内筋を穿通する部位で圧迫されることで生じる。母指、示指間のつまみ運動が障害されるー涙のしずくサイン(パーフェクトO)

母指の腱鞘炎ーフィンケルシュタインテスト

                           アイヒホッフ(親指を包み込む)

4. 梨状筋症候群は、梨状筋と上双子筋との間で坐骨神経が圧迫されることで生じる。坐骨神経支配領域の疼痛や知覚異常が生じる。

freiberg test、pece test、FAIR肢位

5:Hunter管症候群は絞扼性神経障害である。伏在神経がHunter管(内転筋管とも呼ばれ、大腿下部内側から後部にかけて形成される管状構造物)で圧迫されて生じる。

5. 足根管症候群は、足根管内で脛骨神経が圧迫されることで生じる。足底部から足趾にかけての放散痛、足根管部痛、Tinel微候陽性などがみられる。

2:Morton病は主に第3.4足趾間に生じる絞扼性神経障害である。足しに向かう神経が、中足骨間を連結する靭帯と骨頭,地面との間で圧迫されて生じる。
①奈良 勲 他(シリーズ監修)、川平和美.他(編):標準理学療法作業療法学 專門基礎分野、神経内科学、第4版、医学書院、p. 262-267.②奈良勲,他(シリーズ監修)、立野勝彥(編) : 標準理学療法作業療法学専門基礎分野、整形外科学、第4版、医学書院、p. 149

ガレージ(ガレアッジ)は車庫(尺骨)だ(脱臼)

門(モンテジア)は戸(橈骨)だ(脱臼)

Neurapraxia は末梢神経の軽微な挫傷または圧迫であり,軸索は保持された状態を指す、神経損傷部から末梢へ進行する軸索変性と髄鞘の崩壊を示すWaller変性は起こらず,ほとんどの症例において機能の完全回復が得られる。

Axonotmesis は,軸索の崩壊および遠位のWaller変性を伴う重大な損傷を指す。しかし,Schwann 細胞および神経内膜管は損傷がないため,その連続性は維持されており,良好な自然回復が期待できる。

Neurotmesis は,神経の完全な解剖学的切断,もしくは広範囲な裂離または圧迫挫傷を伴う重度の損傷を指す,軸索およひびSchwann 細胞や神経内膜管は完全に断裂され,神経回復は望めない,神経根引き抜き損傷は,神経根が根本から引き抜かれた損傷で,節前損傷は非回復性,節後損傷は回復性である。しかし,通常は節前損傷を引き抜き損傷として扱う。

 

1. 痙縮は、錐体路障害でみられる。

 

3:Huntington 病は、病理学的に尾状核の萎縮が顕著であり、経過とともに前頭葉,側頭葉にも萎縮が出現する。

4. 常染色体優性遺伝


企図振戦は、運動失調症状である。

 

Parkinson 病は錐体外路系を構成する黒質-線条体ドーパミン作動性ニューロンの選択的な死滅によって引き起こされる進行性の疾患である。

Parkinson 病の原因は、中脳黒質ドパミン性神経細胞の変性脱落である。これらのドパミン性神経細胞からのシナプスを受ける線条体ドパミンが減少し、Parkinson 病を発症する。

発症は55~65歳(中年期以降が多く),日本では人口10万人当たり100~150 人の患者がいると推定されており,国内に10万人以上の患者がいる。神経難病の中では,Alzheimer病に次いで多い病気である孤発性Parkinson 病は90~95%,家族性Parkinson 病は5~ 10%といわれている。

Hoehn & Yahrの重症度分類

ステージⅠ : 一側性で機能的障害はないか、 あっても軽微である。

ステージⅡ : 両側の障害があるが姿勢保持の障害はない。

ステージⅢ : 立ち直り反射に障害がみられ,活動は制限されるが、 自力での生活が可能。

ステージⅣ : 重解な機能障害を有し、自カのみでの生活は困難となるが、支えられずに歩くことはどうにか可能.

ステージV : 立つことは不可能となり、介護無しではベッド·車椅子の生活が余儀なくされる。

Parkinson 病評価スケール(UPDRS)は、42項目を5段階に分けてParkinson 病を総合的に評すする基準として用いられる。

Iは精神機能,行動,および気分に関する項目

Ⅱは活動性や日常生活動作に関する項目をon 時とof 時に分けて考える

Ⅲは運動能力検査に関する項目を on 時に検査する

Ⅳは治療による随伴症状に関する項目である。

Parkinson 病では精神症状もみられ、抑うつや不安焦燥のほか、幻覚やせん妄を認めることもある。

パーキンソン病では動作の開始や変換が困難となることが多く. 体幹機能の障害、特に体軸内回旋が困難となるため, 寝返り起き上がりが早期から困難Ⅱとなる。

着衣歩行中のすくみはⅡに含まれるためon時と off時に分けて考える。

安静時振戦はⅢに含まれるため on 時に検査する、点数が低いほど、活動性が高いことを示している.

抗Parkinson病薬の長期投与によって高血圧は生じない, on-off 現象,精神症状の発現, wearing-off 現象, 不随意運動の増強は,長期投与で出現する症状である.

on-off 現象とは,L-Dopa の血中濃度とは無関係にパーキンソン症状が変化することをいう.

wearing-of 現象とは,L-Dopaの薬効時間が短縮し,L-Dopa の血中濃度の変動に伴い症状の日内変動が起こる現象をさす,

不随意運動は増強し,身体各部位に出現する。精神症状の出現としては,幻覚や妄想,與奮や錯乱が起こることがある.

Parkinson病では、安静時振戦、小刻み歩行、突進現象がみられる。歯車様現象は、固縮により生じる。

1. アカシジア(足ムズムズ)、悪性症候群、運動障害の発現前から嗅覚障害がみられる

Parkinson 病において、安静時振戦、固縮、無動、姿勢反射障害が4大症状とされているが、それらに分類される病態や兆候は多岐にわたる。
1. 安静時振戦は4~6 Hz の規則的なリズムで出現する不随意振戦で、代表的なものは指をすり合わせる丸薬丸め運動がある。

5. 固縮では筋固縮、鉛管現象、歯車現象、チックなどがみられる。

チックは習慣性攣縮とも呼ばれ、小児に多く、まばたきを繰り返したり、 顔をしかめたり、口唇をなめたりする。 Parkinson 病においてもチックを生じる場合もあるが、それは筋固縮に分類される。

2. 無動には、動作開始の遅延、動作緩慢、すくみ足小刻み歩行が含まれる。

3. 前傾姿勢は固縮の影響や姿勢反射障害による症状である。

3. 姿勢反射障害は、バランスを維持する際の姿勢調整が障害される。歩き出すと歩行速度、歩幅の制御が困難となり突進現象がみられる。

Parkinson 病の症状, 徴候としてみられるものに, Myerson(マイヤーソン)徴候がある。これは, 眉間を繰り返し叩打すると,健常人では瞬目反射が数回で停止するが, Parkinson病患者では長時間持続するものである。

Hochn& Yahr の重症度分類ステージⅢは、歩行障害に加え、姿勢反射障害が認められるようになる。日常生活に支障が出るが、介助なしに過ごせ、 職種によっては仕事を続けられる時期である。 現時点では、 ADL や運動機能の維持改善を目的とした介入を行う。
1. ステージI~Ⅲの患者に対して、トレッドミルはリズムが一定で、歩幅や歩行速度が一定に保たれるため、歩行改善や持久性に効果があるとされる。転倒防止のため部分免荷装置つきトレッドミルがより適している
2. ステージIでは活動がある程度制限されるものの、 転倒の増加により車椅子生活ということではなく、環境設定も含めて歩行の安定を目指していくべきである。
3. Parkinson 病では、前傾姿勢や胸郭の筋固縮などにより拘束性の換気障害となり、%肺活量が低下する。ハッフィングは咳嚇よりも体力消耗の少ない姿の排出方法である。この忠者は、%肺活量がやや低いものの、1秒率とも正常範囲にあり、現時点ではハッフィングの練習よりも胸郭のストレッチなどのほうが適当である。
4. バランス練習は必要であるが、片脚立位は難易度が高く適さない。両脚でバランスマット上での保持や、 外乱、閉眼、二重課題遂行、 ステッピングなどが適している。

4. すくみ足現象がみられる場合,下肢を振り出しやすくする練習が必要である。

その方法としては、

①床などに目印をつけた視覚刺激や

②リズムなどの音刺激による開始法がある。

歩行練習では

③手掌から押したり引いたりする刺激を与えたり、

④横歩きをさせたりすることにより重心移動域の拡大を促したり、

⑤踵を補高することで前方荷重を促したりすることが有効である。

⑥歩きはじめには、いったん足を後ろに引いてから踏み出させることで、 歩行のリズムが形成されやすくなる。

⑦また、全身的なリラクゼーションも効果的である。

歩行障害が軽度な場合は方向転換やスラローム歩行、階段昇降などの応用歩行を取り入れる。

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歩隔を狭めた歩行❌はバランスを崩しやすく。下肢を振り出しにくくさせ、不適切である.

両腕を大きく振る

一本の線の上を歩く❌

5. 疼痛緩和に温熱療法を用いることはあるが、この患者の場合疼痛の訴えが強いわけではなく、積極的に遂行する理学療法ではない。
①小森哲夫 (監修), 田中勇次郎·他(編) : 神経難病領域のリハビリテーション実践アプローチ, 第2版, メジカルビュー社, p.154-191. ②神朝見泰職 (編著) : ビジュアルレクチャー神経理学療法学, 医歯薬出版, p.94 125. ③石川 朗 (総編集) : 15 レクチャーシリーズ 理学療法テキスト 神経障害書理学療法学IⅡ, 中山書店, p.31-60. 

 

脳出血は、頭痛、嘔吐、回転性めまいの三徴候と失調症状が代表的な症状であるが、めまいと嘔吐が主症状で、四肢の失調が目立たない病型も存在する。一般的な小脳症状として、滑らかな動きができない、立位や歩行時にふらつく、四肢の協調運動障害、眼振、構音障害などがある。

前庭小脳が障害されると平衡感覚と眼球運動障害が生じ、運動失調、体幹失調、眼振などが起こる。

脊髄小脳の障害では、虫部の障害で体幹や上下肢近位、中間部の障害で上下肢遠位筋に障害が生じ、いずれも企図振戦、筋緊張低下、測定異常などを認める。

大脳小脳の障害では、運動開始の遅延、運動速度低下、運動失調、反跳現象などが起こる。

 

(孤発性)性差なし

オリーブ橋小脳変性症ー小脳症状初発30-60

線条体黒質変性症ーパーキンソニズム50-70

シャイドレガー症候群ー自律神経症状初発40-60

(遺伝性)常染色体劣性

フリードライヒ型失調症

腱反射消失

バビンスキー反射陽性

ロンベルク徴候陽性

(遺伝性)常染色体優性

脊髄小脳変性症

脊髄小脳変性症は、運動失調を主体とする進行性の疾患の総称である。さまざまな病型があり、病変が小脳、脊髄、脳幹、大脳基底核、末梢神経と多岐にわたるため、運動失調以外にも種々の症状を認める脊髄小脳変性症の障害進行度の概要を把握する手段として重症度分類は適している。厚生労働省(運動失調調在研究班) の重症度分類は下肢機能、上肢機能、会話の各障害について、I度(微度)からV度(極度または最重度)までの5段階で示している。f:id:uta-huuta-maro-ojyou:20200128182157j:image

脊髓小脳変性症の重症度分類(下肢機能)

I度(微度)「独立歩行」:独り歩きは可能。補助具や他人の介助は必要としない。
II度(軽度)「随時補助,介助歩行」:独り歩きはできるが、立ち上がり、方向転換、階段の昇降などの要所要所で、壁や手摺りなどの支持補助具または他人の介助を必要とする。
Ⅲ度(中等度)「常時補助,介助歩行-伝い歩行」:歩行できるが、ほとんど常に歩行器などの補助具、または他人の介助を必要とし、それらがないときは伝い歩きが主体をなす。
IV度(重度)「起立不能車いす移動」:起立していられるが、他人に介助されてもほとんど歩行できない。移動は車いすによるか四つ這い、または、いざりで行う。
V度(極度)支えられても起立不能で臥床したままの状態であり、日常生活はすべて他人に依存する。
(厚生労働省「運動失調研究班」による、1992)

①丸山仁司(編):系統理学療法学 神経障害
理学療法学,医歯薬出版,p. 93-109,潮見泰藏(編著):ビジュアルレクチャー神経理学療法学、医南薬出版、p. 128-143, 内山靖(責任編集)、石川期,他(編):理学療法フィールドノート1脳血管障害,神経疾患、南江堂,p. 190-201

脊髄小脳変性症は運動失調を主体とする進行性の疾患の総称である。遺伝性と弧発性(非遺伝性)のさまざまな病型を認めるが、本邦では弧発性の病型が7割を占める

1. オリーブ橋小脳萎縮症(OPCA)は、中年以降に発症する孤発性の脊髓小脳変性症(SCD)である。小脳症状を初発症状とする。進行するにつれて、パーキンソ二ズムや自律神経症状、錐体路徵候も出現するため、腱反射は亢進する。

3. 線条体黒質変性症は、孤発性 SCD のひとつっである。被殼や黒質に高度な変性がみられ無動 固縮などのParkinson症状が強く出現する。

5. Shy-Drager症候群は、孤発性 SCDのひとつである。自律神経症状が初発症状で、特に起立性低血圧が著明である。進行するにつれ、小脳症状、パーキンソニズム、錐体路徵候なども出現する。腱反射、筋緊張とも亢進する。

3. シャイ、ドレガー症候群は自律神経症状を初発症状とし Horner 症候群などの自律神経症状を呈する。 Horner症候群は「眼瞼下垂」「縮瞳」「眼球陥没」を主症状とする自律神経の障害である。

2. フリードライヒ型失調症は、常染色体劣性遺伝性 SCDのひとつで、20歳以下での発病(若年発症型)が多い

脊髄後索の変性で運動失調をきたす。脊髄後索の病変により深部感覚障害が生じ、下半身の感覚性失調症(感覚障害性(脊髄性)運動失調)が主な症状で、錐体路障害のためBabinski徵候は陽性だが、合併する末梢神経障害のために腱反射は消失することが多い。脊柱側弯、拡張型心筋症

1. フリードライヒ失調症では、脊髄後索の病変により深部感覚障害を認める。初発症状は主に失調性歩行(踵打ち歩行)である。

3. 知能障害(認知症)は高率でみられる。

4. Machado-Joseph 病は優性遺伝であり、発症の平均年齢は、およそ40歳である。

5. 日本において最も多い遺伝性脊髄小脳変性症である。

6. 初発症状ー姿勢反射障害、上方視制限が特徴である。

4. 主な症状は運動失調、錐体路徵候、錐体外路徴候、外眼筋麻痺、ジストニアを伴う

4. 顔面や舌の繊維束攣縮様運動、びっくり眼等がより特異性の高い症候として臨床診断に重要な場合もある。
①奈良勲(シリーズ監修)、川平和美(編): 標
理学療法学,作業療法学 專門基礎分野、神経内科学、第2版、医学書院、 p. 216-218, 228-229. ②田崎義昭、 他:ベッドサイドの診かた、改訂18版、南江堂、p. 184-185,241-242①潮見泰藏(編著): ビジュアルレクチャ ー神経理学療法学、医歯薬出版、p, 128-143.②奈良勲(シリーズ監修)、吉尾雅春,他(編):標準理学療法学專門分野、神経理学療法学、医学書院、p. 341-352.

多系統萎縮症は進行が早く、発症後3年程度で介助歩行、5年で車イスレベル、約8年で寝たきりとなる。

進行性疾患はその病期に応じた指導や訓練が求められる。

Ⅰ度では,身体機能は発病前よりわずかに障害が生じた状態であり、特に問題なく日常生活を送ることができる.この時期での主なリハビリテーションの内容は,全般的な体力の維持、向上を目的としたトレーニングの実施生活指導である。
Ⅱ度では,日常生活の移動に何らかの介助が必要となる。理学療法では,運動失調の改善のためのトレーニンや立ち上がり.歩行および階段昇降練習などの基本動作練習を開始するとともに,日常生活での安全な移動方法を確保するために,適切な歩行。補助具の選定や階段や浴槽へのてすりの設置を行う.また、転倒不安感により活動量が減少する傾向に陥りやすいため,廃用性筋力低下の予防を目的とした筋力トレーニングを行うことが重要になってくる。
Ⅲ度では、立ち上がりや歩行において常に介助が必要な状態であり,転倒を繰り返すようになる、また、上肢機能の低下による食事動作や書字の困難や構音障害や誤嚥を認めるようになるために、作業療法上や言語聴覚士との連携が不可欠となる。理学療法では,公的サービス導人を検討するとともに自宅環境の整備を行い,生活環境に合わせた移動方法の獲得やADLの自立を促すためのアプローチが主体となる,また、可能な範囲で筋力や関節可動域の維持を目的としたトレーニングを行っていく必要がある、
Ⅳ度では,実用的な移動手段は車椅子となり,書字困難や構音障害によりコミュニケーションが因難となる、また,嚥下障害も顕著に認めるようになり,誤嚥性肺炎のリスクが高まる時期である,理学療法では,起き上がりの練習や車椅子への移乗辣習を行うことなど、できる基本動作やADL.を確保し、残存機能の維持を図る。また,呼吸障害も高度になるため咳がい練習あるいは家族に対する吸引方法などの指導が必要となる。

V度では、ほぼ臥床状態であり ADL は全介助となる時期である。 理学療法では、 褥瘡, 関節こうしゅく, 無気肺・肺炎を予防するためのアプローチが必要なり、 体位変換や良肢位保持のためのポジショニングの指導を家族に対して実施していくことが重要となる。
筋素縮性側素硬化症。筋ジストロフィーなども同様だが、疾患の進行に伴って次第に機能低下も進行し、これに対する一般的な筋力増強トレーニングなどの効果は現在のところ実証されていない。むしろ、 残存機能をできるだけ利用しながら必要に応じて自助具 補装具を使用して, ADL やコミュニケーション機能を確保していけるようにリハビリテーションプログラムを立案していく、やがては全面介助となることは避けられないが、 在宅サービスを上手に活用して、 患者本人だけでなく家族もそろってQOLを保持できることが肝要である。

1. 設間の症例は独歩も可能(Ⅰ度)で、通動も自立し、職業継続中である、この時期はバランス運動応用歩行など歩行機能,能力の維持を目的とする運動療法を実施する。立位での下肢筋力増強(外乱刺激)は、足底に荷重がかかった状態で、支持基底面内での重心移動も伴うバランス能力、歩行能力ともに向上が見込める運動である。

2. 支持補助具または他人の介助を必要とする(Ⅱ度)

2. 設間の症例は 転倒経験もあり、歩行器での歩行をしているレベル(Ⅲ度)なので、立位での外乱刺激はこのケースでは適さない。座位でのリーチや、重心移動からバランスの向上を目指す。

1. T-caneを使用した応用歩行

1.四つ這い位の保持、四つ這いバランス練習、プランクなどの体幹強化がバランス保持に有効である。
3. ブリッジでは大殿筋やハムストリングス、腹筋群の同時収縮を促し、骨盤周囲の安定を図る
4. 脊髄小脳変性症では筋力増強練習に伴う過用性筋力低下の問題は生じにくいため、抵抗運動も必要に応じて実施する。筋萎縮性側索硬化症などの神経.筋疾患では、筋力増強を考える場合、過用性筋力低下が問題となる。
5. 四肢近位部に緊縛帯を装着することが多く、肩関節、骨盤、股関節、膝関節に使用する。一方砂囊は遠位部に取り付ける。砂囊の重さは上肢に対しては 200~400 g、下肢は300~800g程度が適切である。

1. 運動失調において閉鎖的運動は双方向に支持基底面が存在するため,運動が離散的になる要素が少なく動作が安定する。体幹失調が顕著なほど支持部は高い方がよく,前腕部で支持することにより支持基底面が広がり体幹の安定性が増す。また歩行器は重い方が安定し、左右の低い位置に重鍾を装着することによ
り前後方向への不安定さが改善する。
①潮見泰藏(編著) : ビジュアルレクチャー神経理学療法学, 医歯薬出版, p. 144151. ②石川朗(総湖集)15レクチャーシリーズ 理学療法テキスト, 神経障害理学療法学Ⅱ, 中山書店, p,71-80. ③小森哲大(監修), 田中男次郎, 他(編) : 神経難病領域のリハビリテーション実践アプローチ, メジカルビュ一社, 第2版, p. 192-232. ④中山恭秀(編) : Crosslink 理学療法学テキスト神経障害理学療法学Ⅱ, メジカルビュー社, p.42-61. 

 

Guillain-Barre症候群では,臨床情報から機能予後を予測する方法として,年齢(40 歲以下,41~
60 歳未满,60歲以上), 下痢の先行の有無,エントリー後2週間のGBS障害スコアの3項目から計算できる EGOS (Erasmus GBS Outcome
Scale)が用いられることがある。これにより,6か月後に歩行不可能となる確率を1~ 83%の範囲で算出できる

f:id:uta-huuta-maro-ojyou:20200130154946j:image

障害スコア

5点ー人工呼吸管理

①潮見泰藏 (編) : PT.OT ビジュアルテキスト, 
神経障害理学療法学, 羊土社 p. 288-306. ②奈良 勲(シリーズ監修), 吉尾雅春, 他(編) : 標準理学療法学専門分野, 神経理学療法学, 第2版, 医学書院, p. 368-378. 

Guillain- Barre症候群の重症度基準

グレード0|無症状
グレード1|軽度のニューロパチー症候がある。手作業可能
グレード2|歩行器,杖なしで5mの歩行可能,手作業困難
グレード3|歩行器,杖があれば5mの歩行可能
グレード4|歩行器,杖でも歩行困難,車椅子あるいはベッド上に限定
グレード5 |呼吸筋麻痺,補助換気が必要(重症)
グレード6 |死亡

Guillain-Barre症候群(GBS)は、急性の運動麻痺を主徵とする多発性末梢神経障害で、

感染による抗糖脂質体が出現し、一部が末梢神経を構成する糖脂質と特異的に結合して障害を引き起こす。四肢の弛緩性運動麻痺や深部腱反射の消失をはじめ、呼吸筋にまで麻痺がおよぶ場合がある。感冒様症状または胃腸炎といった先行症状の後、典型例では下肢の筋力低下から始まり、次第に上肢に拡大する。症状が急速である場合は数日でピークに達するが、進行が緩徐な場合でも数週間以内にピークに達する。ピークを過ぎると回復が始まり、単相性の経過をたどるが、重症度や合併症により回復期間は様々である。

Fisher症候群や急性外眼筋麻痺などの亜種が存在する。

感染源ー生鶏肉が多い(台所で洗う)

Guillain-Barre症候群は,最も頻度の高い後天性炎症性神経障害である。原因は完全にはわかっていないが,自己免によるものと考えられている。

いくつかの亜型が存在し,

脱髄が優勢な症例もあるが,

②軸索が侵されるものもある、

発症数日から4週間ぐらいまで症状が悪化し,その後数日から数週間かけて快方に向かい、6か月くらいまでには回復する例が多いが、40%程度に後遺症がみられる、再発率は1~10%で、約70%の患者は完全回復にいたるといわれている。

1. 概ね予後良好だが、後遺症を残す例もみられ、環境設定を考慮する必要がある。

Guillain-Barre 症候群の予後を予測することは治療計画を立てる上で必要な知識となる。

年齢、呼吸筋麻痺の有無(肺活量低下の有無)、筋力低下の程度、M波の振幅、発症から治療開始までの期間、先行する下痢の有無、免疫グロブリン静注療法開始後2週間でのIgG上昇の程度などが挙げられる。

3.GBSでは、髄液の蛋白細胞解離を認める。臨床症候に伴って変化し、発症10~20 日後にピークに達する。

1. 高齢者であることが予後不良因子とされている。

4:発症年齢が高齢になるに伴い、機能予後不良と報告されている。

3. 呼吸筋麻痺を認め人工呼吸器を使用する重症型は予後不良とされている。

4. 筋電図で軸索障害を疑わせる所見のある方は予後不良とされている。

3. 誘発筋電図では、振幅低下がみられる。

2. GBSでは、経過中に末梢神経伝導速度の遅延(脱髄型)をきたす。

2. 末梢神経の連続刺激では,振幅の漸滅が生じる.

2. 発症から治療開始まで7~ 14日以上経過していることが予後不良因子とされている。

5. 不整脈などの自律神経障害がみられるは予後不良とされている。

4. 運動障害ほど重度ではないが、感覚障害(異常感覚)を呈する症例も多い。予後不良の因子とはならない。

5. 深部腱反射の低下または消失はほとんどの症例でみられる。予後不良因子とはならない。

1. Guillain-Barre症候群では約70%が先行感染を呈するが、そのうち症状として多いのは上気道感染(約6割)で、消化器感染症状は少ない(約2割)。

2. 前駆症状として、咽頭発赤、扁桃炎、急性結膜炎、冒腸障害、微熱などの感冒様症状が1/3~ 1/2 の症例に先行する。

3:症状の進行は急速で、数日でピークに達し、緩やかな場合でも4週以内にはピークに達する。
1. GBSでは、四肢や体幹左右対称の運動障害をきたす。

2:典型例では、筋力低下は下肢から始まり、上行して上肢や顔面、呼吸筋にも及ぶ
4. GBSの感覚障害は比較的軽度にとどまる。
5. GBSでは、深部腱反射は減弱ないし消失する。

5. GBSは、起立性低血圧や不整脈、血圧変動などの自律神経障害を伴うこともある

1. 本疾患は過負荷にならないことが治療原則のため,装具は過剰にならないことと軽量であることが要求される. よって, 下垂足に対しては軽量の短下肢装具を処方する。

5:治療効果が期待されないため、副腎皮質ステロイド治療は単独❌では行われない

5.治療には、血漿交換療法や免疫グロブリン投与が行われる。

免疫グロブリン大最療法は運動療法の禁忌にはならない

①川平和美(編) : 神経内科学, 第5版, 標準理学療法学.作業療法学(専門基礎分野), 医学書院, 2019, p 282. ②吉尾雅春, 他(編) : 運動療法学各論, 第4版, 標準理学療法学(専門分野), 医学書院, 2017, pp 270-273. ①奈良勲(シリーズ監修), 吉尾雅春. 他 (編) : 標準理学療法学専門分野, 神経理学療法学, 医学書院, p.377-384. ②内山 靖(責任編集), 石川朗, 他(編) : 理学療法フィールドノート1脳血管障害,神経疾患, 南江p. 115-117. ①奈良 勲 他(シリーズ監修), 川平和美, 他(編) : 標準理学療法作業療法学 専門基礎分野, 神径内科学, 第4版, 医学書院, p. 269. ②田崎義明, 他 : ベッドサイドの神経の診かた, 改訂18版, 南山堂, p. 164-165. 

脳神経麻痺(顔面神経麻痺、外眼筋麻痺、嚥下・構音障害)

 

筋萎縮性側素硬化症(ALS)の原因は不明であるが、グルタミン酸代謝異常説、フリーラジカル説、紀伊半島やグアムの環境説など諸説ある。日本におけるALSの有病率は10万人あたり7~11 人である。陰性4徵候は感覚障害、眼球運動障害、膀胱直腸障害、褥瘡であるが、人工呼吸器などで長期生存の場合、徴候を認める場合がある。通常は発症から3~5年で呼吸器管理となる。

4.仙髄前角細胞のオヌフ核は保たれるので、外肛門括約筋、外尿道括約筋の機能が維持され膀胱直腸障害は起こらない

筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral

sclerosis ; ALS)は、上位および下位進動ニューロンの変性・脱落により起こる原因不明の進行性疾患である。ALSに対する理学療法では、 機能予後を予測しながら、適切な時期に適切な方法を選択·実施していくことが重要である。

5:診断における電気生理学的検査としては、針筋電図と神経伝導検査が必須となる。針筋電図では神経原性変化が認められる

5. 針筋電図は高振幅電位、多相性電位を示す

6. 神経伝導検査では脱髄基準を満たすような伝導速度の低下,伝導ブロックは認められない。f:id:uta-huuta-maro-ojyou:20200126231646j:image

したがって診断上、脱髄性二ューロパチーを除外することが重要(神経伝導速度は正常)となる。f:id:uta-huuta-maro-ojyou:20200130165347j:image

f:id:uta-huuta-maro-ojyou:20200130165101j:image

測定されたM波について、振幅は正常範囲であるが、神経伝導速度175 mm/(10.9 ms-5.9 ms)=35 m/s であり.伝導遅延が認められる。よって髄鞘障害が推測される。

軸索障害では神経伝導速度は正常範囲であるが、,活動電位の減衰がみられるため振幅が低下する。

神経筋接合部の機能評価は反復刺激法で行う。

 

運動療法基礎】

神経の伝導とは、神経細胞体で発生した活動電位が、軸索から末梢の方向へと伝わり、放出された神経伝達物質を二ューロンが受け取り、興でが伝わることによって命令が伝わる。ニューロンは回路網を形成し連結しあっている。
1.伝導速度は温度の影響を受ける。皮膚温が低下すれば神経伝導速度も低下する。
2. 太い直径の神経線維ほど伝導速度が速く、興奮の閾値が低いという特徴がある。
3、4.活動電位伝導は3つの特性(3原則)がある。

①不減衰伝導:神経線維の直径が同じ場合、活動電位の大きさは一定で減衰することがない。
②絶縁性伝導: 1本の神経線維を活動電位が伝導する場合、近隣の他の神経線維に伝わることはない。
③両方向性伝導:神経線維の途中に刺激が入った場合、活動電位は両方向へ伝導する。通常は途中で刺激が入ることはなく、細胞体で発生した電位が一方向にのみ伝導する(順行性伝導)。

5. ランヴィエ絞輪をジャンプするように伝導することを跳躍伝導という。
中越郎:イラストで学ぶ生理学、第2版、医学書院、p.174-177.奈良 ,他(シリーズ監修)、岡田隆夫,他:標準理学療法学,作業療法学、生理学、第4版、医学書院,p. 13-29. 北村 論,他(シリーズ監修)、 黒澤美枝子,他(編) : コメディカルのための専門基礎分野テキスト生理学、3版、中外医学社、p. 1-10, 17

筋萎縮性側索硬化症の重症度分類(厚生労働省神経変性疾患調査研究班)

1度|1つの体肢の運動障害または球麻痺による構音障害がみられるが、日常生活、就労には支障はない(ADL 自立期)f:id:uta-huuta-maro-ojyou:20200128195153j:image

2度|体の筋肉(4部位)、 体幹の筋肉 (1部位)、舌·顔面·口蓋·咽頭部(1部位)の6部位の筋肉のいずれか 1つまたは2つの明らかな運動障害のため、日常生活上の不自由があるが、日常生活は独力で可能(ADL 可能期)

3度|上記6部位の筋肉のうち3つ以上の部位の筋力低下のために、家事や職業などの社会的活動を継続できず、日常生活に介助を要する(ADL介助期)

4度|呼吸、嚥下、 または座位保持のうちいずれかが不可能となり、日常生活すべての面で常に介助を要する(ADL介助期)

5度|寝たきりで、全面的な生命維持装置操作が必要(ADL全介助期)

4:筋装縮性側索硬化症(ALS)の男女比は2:1で男性に多い

3. ALS 機能評価スケール (ALS functional rating scale :ALSFRS-R)

言語、唾液分泌、嚥下、書字、食事、着衣、寝床、歩行、階段、呼吸困難、起座呼吸、呼吸不全の12項目からなる。

ALS患者の日常生活活動をみるもので、総合的な重症度、病態進行の評価、理学療法介入の効果判定として定期的に評価する。

3:ALSでは、"細かい作業がしにくい"、"何も
ないところでつまずく"などのように、四肢遠位筋優位の筋萎縮によって日常動作が難しくなることで発症に気づく。

2:発症初期~中期の筋萎縮や筋力低下は一側上肢で始まり、他側上肢、両下肢へと進行することが多いが、その間に球麻痺、呼吸筋麻痺が加わりやすい。

memoALS では脳神経運動核(舌咽、迷走、舌下、三叉)の末梢神経障害により、咀嚼筋の麻痺、舌の麻痺、萎縮、構音、嚥下障害などの球麻痺症状がみられる。

4. ベッドマットは最適なものを選定する。動ける時期は硬め、全介助期からはエアマットが適しているとされる。ベッドマットと身体間の圧力測定をする簡易装置の利用で適切なマットレスを選定できる。褥瘡は陰性徵候とされるが同一肢位をとり続けるとては生じ
る。除圧以外にも夏は通気性の良いタイプを選定する。

1:痙性や弛緩性麻痺時の廃用により関節可動域が低下するため、少なくとも ADL上で問題にならない範囲での可動域の維持に努めるようにする。(Ⅱ度)

1. ALS 患者に対するトレーニングは疲労のない程度で実施することが望ましい。

この患者の筋力は下肢筋がMMT3 であるため抵抗運動は実施すべきでない

2. 過剰な筋力増強は、過用性の筋力低下を増強させる。予後を予測しながら過負荷にならない運動を行う

5. 呼吸療法は発症早期から開始する。ALSの進行過程で重要となるのが呼吸機能管理である。運動ニューロンの障害により呼吸機能低下が生じ、呼吸困難コミュニケーション能力低下筋力低下などの二次障害が出現する。できるだけ早期に呼吸療法を開始する。

2:ALSでは呼吸筋機能の低下により、拘束性換気障害が生じるため、胸郭の可動性維持を目的に胸郭モビライゼーション、 胸郭·体幹ストレッチ、 呼吸補助筋ストレッチ、喀痰法の指導などを行う。(Ⅲ、Ⅳ度)

3. タッピングは以前、排痰に用いられる手技であったが、痰の移動に効果が少ないことや不整脈の誘発などがあるため現在はほとんど実施しない

3. 四肢体幹の筋力低下により徐々に座位保持が困難(Ⅳ度)となるため、早期から座位姿勢への介入が必要である。

1. 本人へ安楽な動作指導、家族への介助指導(Ⅲ、Ⅳ度)
memo病期の進行に伴い安静時にも呼吸困難を訴えるようになり、最終的には呼吸筋の完全麻痺により人工呼吸器が必要となる。(Ⅴ度)障害度にあわせて、 筋力·可動性維持、合併症予防に努める。

2. ポストリフトは、気管切開下陽圧人工呼吸(TPPV)などにて、様々な体位が取れない場合や、 仰臥位時などに背側の肺に対し行う。この患者は NPPVを行っているため体位変換もしやすく、 また座位保持も可能であることから様々な排痰体位が可能と考えられる。現時点でポストリフトの必要性は低い。
3. 頚部体幹筋は MMT3 であり、夜間に NPPVを装着しているため、 今後、呼吸関連の障害が予想される。 上肢挙上などの自動介助運動により胸郭を広げることは重要である。

3:嚥下障害に対しては食物形態や調理法の工夫が必要だが、理学療法士は嚥下を行いやすい姿勢やポジショニングを考慮し、必要に応じて座位保持装置の利用や頭部位置の調整など適切な肢位の調整を行う。(Ⅳ度)

5. 移動手段として車椅子の導入(Ⅲ度)は検討すべきである。現時点で座位保持可能だが、頚部,体幹筋はMMT3であることを考慮すると座位保持能力が急速に減退していくことが予測されるため、標準型ではなくリクライニング式車椅子を処方(Ⅳ度)するほうがよい。

4:日常生活全介助期(Ⅴ度)は、車椅子やティルトテーブルなどを用いて座位.立位保持時間を確保し、廃用症候群の予防に努めるべきであり、積極的な安静時間の確保は適切でない。
5:入院すると、今までの日常生活で行っていた活動が外泊時や退院後に困難と感じやすいため、日常生活や活動状況を把握して、在宅生活と入院生活の運動量の乖離を減らすようにする。
①石川朗(総編) : 神経障害理学療法学I, 15レクチャーシリーズ理学療法テキスト, 中山書店, 2012, pp 132-150. ②小森哲夫(監) : 神経難病領域のリハビリテーション実践アプローチ, 改訂第2版, メジカルビュー社, 2019, pp 233-262. ③潮見泰藏(編著) : ビジュアルレクチャー神経
理学療法学, 医歯薬出版, p. 194-205. ④石川朗(総編集) :15 レクチャーシリーズ理学療法テキスト学療法学 I, 中山書店, p. 131-159. ⑤中山恭秀, 他(編) : Crosslink 理学療法学テキスト神経障害理学療法学I, メジカルビュー社, p.84-100. ⑥細田多穗, 他(編) : 理学療法ハンドブック, 第3巻疾患別, 理学療法基本プログラム, 改訂第4版, 協同医書出版社, p.629-637. 

筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis ALS)の多くは、発症原因が不明で、運動二ューロンが進行的に変性し、運動機能が障害される疾患である。運動二ューロンの脱落は、大脳皮質、脳幹、脊髄で生じる。自律神経や感覚神経は残存しているため、感覚障害や膀胱直腸障害、眼球運動障害、褥瘡が起こりにくい。上位運動ニューロンのみが障害される原発性側索硬化症(PLS)、下位運動ニューロンのみが障害される脊髄性進行性筋萎縮症(SPMA)、球症状を生じる進行性球麻痺(PBP)、上位と下位の双方のニューロンが障害されるALS に分類される。
1. 深部腱反射の亢進は上位運動二ューロン障害にみられる症状であり、下位運動二ューロン障害の場合は深部腱反射の減弱または消失を認める。
2. 痙性麻痺も上位運動二ュ一ロン障害にみられる症状である。下位運動二ューロン障害では、弛緩性運動麻痺または髄節性分布を示す筋力低下を認める。
3. 病的反射の陽性は上位運動二ューロン障害でみられる。
4. ALSは下位運動ニューロン障害による球麻痺が代表的だが、上位運動二ューロン障害による偽性球麻痺もみられることがある。
5. 線維束攣縮は筋線維の自発的収縮で、不規則に反復され皮膚表面に確認される。下位運動二ュ一ロン障害の代表的な症状である。
細田多穗 (監修),植松光俊,他(編):シンズ
理学療法学シリーズ中枢神経障害理学療法学テキスト,南江堂,p.360 366.②奈真煎(シリーズ監修)、青港雅春,他(編):標準理学療法学專門分野,神释理宇添法学、医学書院,p.353-362. 

 

重症筋無力症は、神経筋接合部において、ニコチン性アセチルコリン受容体に対する自己抗体が存在するために神経筋伝達障害が生じる自己免変疾患である。(アレルギーⅡ型)

2. テンシロン試験は、塩化エドロホニウムを静脈注射し、眼や全身の症状が改善されるかどうかをみるものである。重症筋無力症の診断に用いられる。

1. 重症筋無力症は,胸腺腫の合併としてみられることもあり,その他甲状腺異常や自己免疫疾患を伴うことも多い。

1. 重症筋無力症では顔面筋、眼瞼拳筋、外眼筋の障害により眼險下垂や複視を認める。

2. 四肢の筋力低下を初発症状として認める場合もあるが、最も多いのは眼筋症状(眼臉下垂や複視)である。また少数ではあるが、球症状や顏面筋力低下、呼吸困難を呈する場合もある。

針筋電図ー重症筋無力症ーウィニング

                    ライバーイートンーワクシング

1:筋力低下が眼筋のみにとどまる型(眼筋型)もあるが、多くは全身型であり、重症例では呼吸筋麻痺がみられるため呼吸機能を確認しておく必要がある。

3. 小児期発症の重症筋無力症は、眼筋型、潜在性全身型、全身型に分類され、そのうち眼筋型が多く、成人発症に比べ眼筋症状のみの例が多い。
4. 成人期発症の重症筋無力症では完全寛解は期待できない。治療が長期となる可能性が高い。
5. 筋無力症状が急激に増加するクリーゼは、感染や過労、ストレスなどが誘因となる。

5. クリーゼとは重症筋無力症において、感染 (主に気道感染).過用性症候群,ステロイドの急激な減量などの誘因により急性増悪が生じ,球麻痺症状や呼吸症状が急激に悪化する状態のことである. 発症率は 15~20%とするものや、 26.8%とするものもある。 クリーゼでは呼吸筋麻痺に起因する拘束性換気障害が生じ,肺胞低換気となる. 球麻痺症状と関連した嚥下障害、 頚部体幹筋力の著明な低下による咳機能の低下を生じる。

2:症状には日内変動があり、朝は症状が軽く、タ方から夜にかけて症状が増悪する傾向にあるため、運動療法は症状が比較的軽い午前中に行う。
4:顔面筋、眼瞼挙筋、四肢近位筋などの筋力低下や脱力は、運動や過労によって増悪するため、低負荷の運動を維持的に行う。

眼筋、咽頭筋に次いで四肢の近位筋と呼吸筋に症状が出やすく、手筋などの遠位筋は症状が出にくいため、手指巧徽性改善を目的とした課題を中心に行う必要性は低い。

薬物療法ー軽症例ーコリンエステラーゼ阻害薬、長期例ー経口ステロイド免疫抑制剤

その他ー血液浄化療法、免疫グロブリン大量投与

①医療情報科学研究所(編) : 脳 神経, 第2版, 病気がみえるvol.7,メディックメディア, 2017,pp 390-395. ②水野美邦(編) : 神経内科ハンドブックー鑑別診断と治療, 第5版, 医学書院, 2016, pp 1169-1194. ③石橋賢 : 神経疾患, 医学書院, 2013, pp 186-187. ④村川裕二(監) : 神経内科学の講義

 

ポリオは急性脊髄前灰白質炎(poliomylitis Anterior Acuta)とよばれ、前角はダメージを受けるが、 後角は受けていないため知覚は正常に保たれている

ポリオ後症候群はポリオの再発ではなく、二次障害とされている。

四肢の筋のみならず、嚥下呼吸機能にも影響を及ぼす例もある。

1. ポリオ患者は左右同じ筋力ではなく、この患者の場合は左下肢に障害を呈しているため右下肢よりも低い負荷とする。
2. 今まで階段昇降ができていたとしても、階段は負荷が大きく過用となりやすいため積極的に練習するものではなく、減らしていくべきである。

4. 鶏歩は垂れ足になっているときにはこれを代償するように足を異常に高く持ち上げ、つま先から投げ出すようにして歩く。急性灰白髓炎(ポリオ)、腓骨神経麻痺などでみられる。

3. ポリオ患者の膝関節の変形は下肢麻痺の程度に影響を受けるとされる。脚長差に対する靴装具だけで対応するのではなく、歩容と歩行効率を改善し過用などを防ぐことができる装具およびインソールの新調を検討する。
4. 疲労軽減や転倒予防、また急速に運動障害が悪化していく場合もあるため、杖の使用を促す。車椅子も考慮する必要がある。
5. 呼吸機能に障害を及ぼし、呼吸理学療法が必要となることもあるため、呼吸機能の評価は適切である。
①Halstead LS. 他 : ポリオ後症候群一その基礎と臨床, 蜂須賀研二, 他(監訳), 医歯薬出版, p.1-165. ②奈良 勲(シリーズ監修), 川平和美(編), 標準理学療法学, 作業療法学 専門基礎分野, 神経内科学, 第4版, 医学書院, p. 293-294.