関節リウマチ

 

DAS28ー関節炎の程度(疾患活動性)

Larsen(ラーセン)のgrade分類ーX線上写真とスタンダードフィルムを比較した関節破壊の程度

改定ARC分類(アメリカリウマチ学会)ー日常生活における重症度(class)

身の回りのこと○    ○    ○    ❌

仕事                    ○    ○    ❌   ❌

余暇、趣味        ○    ❌   ❌   ❌

ステインブロッカーの分類(stage)ーX線上における関節破壊・変形の程度

軟骨下骨の破壊あるかないか1or②

関節の変形があるかないか2or③

骨性強直があるかないか3or④f:id:uta-huuta-maro-ojyou:20200206081315j:image

骨粗鬆症はどの病期にあっても⭕

関節リウマチ(RA) は診断法と薬物治療の進歩によって、発症早期から積極的治療による疾患コントロールが可能になった。

2002年のACRガイドラインでは、RAの治療目標を

関節破壊の阻止もしくはコントロール

機能障害の阻止、

疼痛の緩和と設定している。

4:リウマトイド因子は、70~90%のリウマチ患者で陽性になる。(全例ではない)
memo リウマトイド因子は、関節リウマチの新分類基準における診断項目にも含まれている。

4. 抗CCP抗体(抗環状シトルリン化ペプチド抗体)は、リウマトイド因子が陽性にならない早期の関節リウマチでも血中より検出されるため、 関節リウマチの有用な血清マーカーとして用いられる。また、 関節リウマチ以外の疾患で陽性となることも少ない。

5. 関節リウマチの場合、関節穿刺で得られる関節液の色調は、混濁した黄色であることが多い。黄色透明の場合は、変形性関節症の可能性が高い。

5:関節リウマチ患者を早期に診断して速やかにメトトレキサート(MTX)(副作用ー拘束性肺疾患) の使用を開始すること、必要な患者には生物学的製剤を早期から使用することが推奨されている。

強力な免疫抑制作用を持つため、免疫抑制下でリスクが高まる疾病であるニューモシスティス肺炎や細菌性肺炎を完全に避けることは難しい。

生物学的製剤は、他の従来の抗リウマチ薬にあるような臓器障害(血球減少、肝障害、腎障害など)はほとんどなくその点ではむしろ安全ともいえます

5. 従来のRAの薬物療法には、副作用として肝機能異常を呈する治療薬も存在する。

3:modified Sharp score は、手指および手関節、足趾における関節裂隙狭小化とびらんのスコアを算出し、関節破壊の程度を評価する。治療薬の効果判定などに用いられる
①千住秀明 (監修), 中山彰一 (編) : 理学療法テキストI 運動器疾患の理学療法, 神陵文庫, p. 309-326. ②中村利孝, 他(監修), 井植栄二, 他(編) : 標準整形外科学, 第13版, 医学書院, p. 241-258. ①奈良 勲·他(シリーズ監修), 立野勝彦(編) : 標準理学療法学·作業療法学 専門基礎分野, 整形外科学, 第4版, 医学書院、, p. 61-63. ②高橋邦泰·他(編) : 整形外科学テキスト, 改訂第4版, 南江堂, p. 249-254. 

 

関節リウマチは、多発性の関節炎を主症状とする原因不明の全身性疾患である。20~50歳代に好発するが、高齢発症する場合もある。

1:関節外症候として、貧血、腎障害、間質性肺炎リンパ浮腫骨粗鬆症などがあげられるが、糖尿病は合併症ではない。

1. 関節リウマチでは、関節所見のみでなく、間質性肺炎や血管炎、リウマトイド結節、心膜炎アミロイドーシスなど、関節外症状もみられる。

memo リウマトイド結節は関節リウマチ患者の2~3人に1人くらいの割合でみられる。

2. Sjogren 症候群は、涙腺や唾液腺の分泌障害を主症状とする自己免疫疾患である。

2. Sjogren 症候群は、男女比1:9程度と、男性よりも女性に多い好発年齢は40~50歳代である。
4. Sjogren 症候群は、膠原病原発性胆汁性胆管炎、慢性甲状腺炎などを合併することが多い
5. Sjogren症候群における臨床検査所見では、赤沈の亢進や、グロブリン血症を認めることが多い。

4:Sjogren 症候群は乾燥性角結膜炎、慢性睡液腺炎を特徴とする。眼球乾燥症状は“目がゴロゴロする”“まぶしい"などとして表現されることが多い。

2. Sjogren 症侯群の主症状は、眼乾燥症と口腔乾燥症、鼻腔乾燥症である。

memo 目が乾く、唾液がでない(虫歯ができやすい)

①奈良勲, 他(シリーズ監修), 前田員治, 他 : 標準理学療法学.作業療法学專門基礎分野, 内科学, 第3版, 医学書院, p. 14, 316. ②井村裕夫(編) : わかりやすい内科学, 第3版, 文光堂, p. 417-420. 

1. 関節リウマチによる羅患関節は、両側性左右対称性に炎症が現れやすい。

1. 初発の罹患部位は手指のPIP 関節、MP関節、手関節、足趾、膝関節に多く、指のDIP関節に初発することはまれである。

1. 関節リウマチは、多発性,対称性の関節痛や変形以外に筋萎縮,骨性硬直,リウマチ結節など多様な症状を示す。

1. 母指のZ変形とはMP関節屈曲、IP 関節過伸展の変形で、さらに母指の亜脱臼を呈する。

1. 槌指変形は,PIP 関節伸展,DIP関節屈曲となる.

突き指などで終伸腱が断裂したときに起こる

2、3. スワンネック変形である。 MP 関節屈曲,  PIP 関節過伸展, DIP 関節屈曲を呈する。(俺ができるやつ)

スワンネック変形は,手内在筋の拘縮,過緊張,MP関節屈曲拘縮,PIP 関節の不安定などで起こる

4. ボタン穴変形である。MP関節過伸展, PIP関節屈曲, DIP関節過伸展を呈する。

ボタンホール変形は中央索の伸張,断裂によっておこる. 治療はPIP関節の伸展位固定または中央索を再建する。

5. ムチランス変形オペラグラス変形とも言われ、手指は支持性を失い、他動的に伸縮する。変形は、指の1指にのみ生じることは少なく、手指全体にムチランス変形を呈する。

1. 手関節では伸筋腱周囲の腱鞘滑膜炎に遠位橈尺関節の不安定性が加わり,特に環指,小指の伸筋腱の皮下断裂を生じることがある。

1.手関節は亜脱臼し尺側偏位や軽度屈曲拘縮を起こしやすい。

2. 股関節は中心性脱臼や屈曲、外転、外旋または屈曲、内転、内旋拘縮を起こしやすい。

3. 膝関節は外反変形や届曲拘縮を起こすことが多い。

4. 踵骨は外反変形を呈し、扁平足となりやすい。

5. 中足し節間関節は背側脱臼を起こしやすい。

4. 横アーチ低下ー開張足ーメタタルアーチサポート

1. 図では槌趾,外反母趾,内反小趾が特徴的に認
られる。
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5. 足趾に生じる変形では,中足骨頭の突出による足底の有痛性肼胝(=メタタルザルバー)を認める。

①内田淳正(監修), 中村利孝, 他(編) : 標準整形外科学, 第11版, 医学書院, p. 232-237. ②百島祐貴 : PT.OTのための画像診断マニュアル, 医学教育出版社, p. 194-195. ③高橋邦泰 他(編) : 整形外科学テキスト, 改訂第4版, 南江堂, p. 249-263. 

抗原提示細胞によりヘルパーT細胞が活性化され、Th1細胞に分化する。 Th1細胞が産生するサイトカイン類などによりキラーT細胞やマクロファージの細胞障害性細胞が活性化される。

その結果、細胞性免疫の機能が低下し羅患しやすくなるとされている。 関節リウマチにおいて炎症を起こす原因はいまだ不明な点が多く、免疫異常を生じる原因としてある種の細菌やウイルス、遺伝的要因も関与すると考えられている。

関節リウマチは、多発する関節炎と進行性の関節破壊が特徴の全身性炎症疾患である。理学療法では

①疼痛や筋スパズムの軽減、

②リラクセーションなどを目的に、

物理療法や装具などを併用しながら運動療法を行う。

1. 運動療法の実施にあたり、指標になるのが患者の病態像の把握であり、関節リウマチの活動性、急性期炎症反応を評価する生化学データ(赤沈値、 CRP)も確認する。

1:炎症期積極的な運動療法は避けるべきである。

1:急性期における積極的な関節可動域運動は炎症を助長するため、回避すべきである。

1:関節の炎症反応が強い初期には,痛みを持続させない程度の軽い自動運動生活指導,腹式呼吸呼吸法の指導が勧められる。

1:基本的に筋力強化は関節運動を伴わない等尺性収縮を原則とし、かつ疼痛の出現する可動域では積極的な筋力強化は控えるようにする。

3:関節リウマチでは環軸関節前方亜脱臼が生じる場合があるため、関節運動はなるべく避け等尺性運動を実施する。

2:荷重によって関節内圧が変動し関節破壊を助長するため、閉鎖性運動連鎖(Closed kinetic chain : CKC)を選択する。

memo 関節リウマチによる筋力低下は、疼痛や廃用性筋萎縮、薬物の副作用、骨,関節破壊,筋のアライメント異常による筋機能の低下などが主原因となる。

4. グリップ運動❌は尺側偏位を助長するためさけるべきである。

1:変形した手指ーパラフィン浴⭕

5. 関節保護の観点から、関節に負担の少ない自転車工ルゴメーターやプール歩行選択する。

関節の保護には大関節の使用、道具による代償、姿勢動作指導の3点が重要である。

1:床面の冷たさによる関節への刺激は歩行時の苦痛を招く。冬季の苦痛を軽減するため床暖房の設定を提案することも理学療法士として行うべきである。

1. 環軸関節亜脱臼がある場合は,脊髄症の危険性があるため頚椎装具を使用し頚椎の過屈曲や頚椎前屈姿勢を子防する。

1. スワンネックー指用ナックルベンダー

1. ボタン穴変形ー指用逆ナックルベンダー

2:関節リウマチ患者では、前腕部で荷重できるプラットフォーム杖を利用することで手部への負荷を減らし、バランスが安定しやすくなる。

memo プラットフォーム杖=エルボークラッチ=前腕支持クラッチ=リウマチ杖

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1. 膝関節屈曲拘縮ー夜間装具

1. 膝関節外反変形に対しては関節破壊と疼痛の程度に応じて支柱付サポーター,硬性装具などの膝装具が使用される.

1. 足の外反母指に対しては内側アーチサポートや中足パッドなどの足底装具。

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5. 足趾に生じる変形では,中足骨頭の突出による足底の有痛性肼胝(=メタタルザルバー)を認める。

1. 鉤形握り❌(母指以外の指で握り込む)では買い物袋の重さによりMP関節を離開するストレスが加わるため避ける必要がある。指先で握って持ち運ぶよりも、前腕に掛けたりリュックを利用したりすることが望ましい。

4:手指関節保護のため、スプーンは柄の太いものを使用する.

2. 和ばさみ⭕は母指球と小指球を使用するため MP関節や手指関節への負担を回避できる。洋ばさみ

3. ビンの蓋を開ける際は手掌をのせ手根部も利用し手全体で開けなければ中手骨と指節骨間への圧が増大する。ボトルオープナーなどを利用することが望ましい。

4. 水道の蛇口はハンドル式よりもレバー式を使用する。

5.両手鍋の把持は手指でつかむのではなく、両手掌全体で把持する。

5:やかんや急須を持つときは,手指関節保護のため取っ手を手掌面で受けて支える

3:雑巾がけの際は左右方向に拭くと尺側偏位をきたしやすくなるので前後方向に拭く.

4:静的肢位は筋を疲労させ、長時間の同一肢位❌はこわばりを助長するため、避けるよう指導する。

5:下肢の反動を利用した起き上がり❌では頸椎の速い屈曲運動が生じやすく、特に環軸関節の亜脱臼がある患者では痛みや不安定性が増悪する可能性があるため、避けるようにする。

merno 体幹を回旋し、肘や前腕でベッドを支えながら行う起き上がり方法を指導する。

2:立ち上がり時のプッシュアップは握り拳❌ではなく, 手指関節保護のため手掌で椅子の座面を押す座面を高くする
①律野哲也(監) : ビジュアル実践リハ整形外科リハビリテーションーカラー写真でわかるリハの根拠と手技のコツ, 羊土社, 2012, pp 464-486. ②伊藤利之, 他(編) : ADLとその周辺一評価, 指導, 介護の実際, 第3版, 医学書院, 2016. pp. 145-150, pp 152-153.

①西林保朗 (監修), 八木範彦, 他(編) : リハ実践テクニック 関節リウマチ, メジカルビュー社, p. 42-49. ②細田多穗, 他(編) : 理学療法ハンドブック, 第3巻 疾患別, 理学療法基本プログラム, 改訂第4版, 協同医書出版社, p. 157-181. ③奈良勲(シリーズ監修), 鶴見隆正, 他(編) : 標準理学療法学 専門分野, 日常生活活動学, 生活環境学, 第5版, 医学書院, p.151-160. ④伊藤利之, 他(編) : 新版日常生活活動(ADL)-評価と支援の実施-, 医歯薬出版, p. 218-223. ⑤伊藤利之, 他(監修), 水落和也, 他(編) : ADLとその周辺評価, 指導, 介護の実際, 第3版, 医学書院, p.145-165.