大腿骨寛骨臼インピンジメント症候群(Femoroacetabular Impingement Syndrome)

鼠径部、股関節周囲の痛みの原因の一つでもあります。
鼠径部痛の分類にて、股関節関連鼠径部痛に分けられるやつです。(Weir A et al. BJSM. 2015)

 

アスリートですと、バスケットボール、サッカー、ホッケーなどのハードに股関節を使う男性に多い傾向にあります。(Nepple J et al.AJSM.2015)

 

大腿骨寛骨臼インピンジメントとは以下のように定義されています。(Griffin et al. BJSM. 2016)

  1.  股関節の動きに関連する障害
  2. 症状と臨床所見と画像所見の3つを伴う
  3. 大腿骨と寛骨臼の早期衝突を生じ,痛みなどの症状がある


下の図は2016年に出されたinternational consensus statement (Warwick agreement)(Griffin et al. BJSM. 2016)に載っていた図を一部改変して日本語訳したものです。
この図をみると現在のFAISの診断から治療まで概観を捉えることができます。


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Patrickテスト(Faberテスト)

股関節を屈曲・外転・外旋し疼痛誘発の有無を調べます。股OAでは陽性のことが多く、腰椎疾患との鑑別に有用ですが、仙腸関節由来の疼痛でも陽性となることがあるため注意が必要です。


インピンジメント・テスト(FADIRテスト)股関節を屈曲・内転・内旋させた際に、疼痛が股関節前方に誘発される場合は陽性であり、femoroacetabular impingement(FAI)が疑われます。

 

 

 

このあたりをふまえて、過去5年間のリハビリテーション理学療法に関わる論文をレビューしました!

FAISのリハビリに関してはまだまだ研究の質の高い論文は少なく、予備的な検討が多いのが現状です。

 

筋力向上や痛みの改善などある一定の効果はあるとの報告がありますが、まだまだこれから更に検討が必要ですね。

股関節に対する治療だけではなく、骨盤、腰椎、体幹を含めたトレーニングが検討されているのが印象的でした。

 

大腿骨の骨形態の異常(Cam変形)が痛みや可動範囲の制限に直結しないという報告(Tak et al. AJSM, 2016)(Mosler A et al. AJSM. 2018)もふまえると、全身的に動きを分析して、股関節に負担をかけてしまう要素を改善していくことが必要なのかと思われます。

このことは、どの疾患のリハビリでも共通することでもありますね。