傾眠傾向のある高齢患者の睡眠への援助を学びたい

質問したキッカケ
外科に勤務する新人看護師です。私の所属する病棟には高齢の患者さんが多く入院しています。その中で、昼夜が逆転している方や、傾眠傾向にある患者さんが目につきます。受け持ちにつく日は、できる限り患者さんを起こそうと車いすに乗ってもらったり、頻回に声掛けを行ったりしていますが、私の行っている援助が正しいのか、また他にどのような援助が行えるのか学びたいと思いました。

 

質問したいこと
傾眠傾向のある高齢の患者さんの睡眠への援助について知りたいです。


ひとこと回答
傾眠傾向などの睡眠障害に対する援助では、睡眠の生理状態を理解し、患者さんの持つさまざまな原因となる因子を取り除くことが大切です。

 

詳しく説明すると
日々の業務お疲れさまです。睡眠の障害は疲労につながり、疲労は疾病の回復の妨げとなり、全身にさまざまな影響を与えてしまいます。質問者さまが行っている睡眠に対しての援助も間違ってはいませんし、患者さんによって援助の方法も違うので難しいですね。患者さんの睡眠リズムを整え、十分な休養を得ることで回復も早くなります。今回は、傾眠傾向のある患者さんの援助について一緒に学んでいきましょう。

成人の睡眠時間は7~8時間、高齢者では5~7時間が一般的です。しかし、個人の習慣や生活リズムなどによって睡眠必要時間数にはそれぞれ違いがあります。また、1日を通しての総睡眠時間数は変わりませんが、高齢者の場合、成人期と比較して睡眠パターンが多層化し、熟睡感を得るとされるレム睡眠と、脳疲労の回復に関わるとされているノンレム睡眠の時間も減っていくと言われています。そのため、高齢者では不眠の訴えが多く、睡眠に対する何らかの障害を感じている患者さんが多いのです。

高齢者の睡眠に対するアセスメントの注意点としては、高齢だからといって不眠は当たり前という考え方はせず、何によって起きている不眠症状なのかをアセスメントすることが大切です。また、患者さんからの不眠の訴えに対して軽率に扱わず、本人が感じている症状の周りに潜むさまざまな原因を考え、援助していくことも重要になります。

具体的な観察項目は以下のとおりです。

1、睡眠パターン
・活動や生活パターンの把握
・睡眠時間と睡眠状況
・就寝時間と起床時間
中途覚醒の有無
眠剤の使用の有無

2、活動量
・昼寝の有無と時間
・臥床時間の程度
・日中の活動状況
・運動量

3、患者さんからの訴え
・睡眠への満足度
・起床時の疲労感や爽快感の有無と程度
・睡眠の考え方や希望する睡眠時間

4、影響する疾患や症状
・呼吸器や循環器系の疾患の有無
精神疾患の有無
意識障害の有無
・疼痛や掻痒感の有無
・熱発や悪寒、悪心の有無
・頻尿や失禁の有無

5、影響する薬剤
・睡眠剤
精神安定剤

その他にも、心理的ストレスの有無や、日ごろの習慣の関与、入院などの環境の変化、集団生活へのストレスなど、さまざまな環境要因も関わってきます。上記のように、あらゆる視点からの観察項目を把握し、患者さんの状態をアセスメントしていきましょう。

傾眠傾向である高齢の患者さんということでしたが、その原因がたとえば入院による活動性の低下であるとします。患者さんの入院前の活動量や生活リズム、現在の状況を比較・アセスメントし、患者さんの活動性を高める援助を行うことが望ましいと思います。

患者さんの活動レベルを医師へ確認し、制限がないのであれば、全身状態に合わせて軽い疲労感を得られるような運動や作業を進めたりするのも対策の1つです。特に高齢であると入院中は臥床がちになるため、1日の生活リズムを整えることが大切です。日中はなるべく離床し、会話や活動を行うことができる環境作りを行うのも効果的でしょう。患者さん自身が1日の生活スケジュールを整えることができるようになれば、自ずと睡眠もコントロールできるようになります。