胸郭の機能解剖③~肋骨と脊柱アライメントの関係~

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今回は脊柱のアライメントと肋骨の関係についてお話します。

前回の内容から、今回に関わる部分だけを簡単に復習しましょう。

 

肋椎関節の「締まりの位置」と「緩みの位置」

・肋骨外旋位(後方回旋して開いている状態)=締まりの位置

・肋骨内旋位(前方回旋して閉じている状態)=緩みの位置


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関節の締まりの位置では関節の適合性が良くなるので安定性が高まりますが、可動性は低下します。緩みの位置はその逆です。

   
そして、肋椎関節は「肋骨」と「胸椎」が構成する関節ですので、当然ながら胸椎のアライメントの影響を受けます。

今日は脊柱のアライメントとの関係についてお話をしていきたいと思います。

Contents [hide]

脊柱の生理的弯曲
肋骨と脊柱の関係
脊柱可動性の評価

 

脊柱の生理的弯曲

ご存知のとおり、脊柱には弯曲があります。

頚椎は前弯、胸椎は後弯、腰椎は前弯ですね。

それぞれのカーブの頂点は第4頚椎、第7~8胸椎、第3腰椎になります。

これを生理的弯曲といい、脊柱全体で負荷を分散するうえで重要な構造的な特徴です。

加齢とともに椎間板の変性や椎間関節の変形が進行し、生理的弯曲が崩れていくのは自然なことですが、若い世代の方でも生理的弯曲が崩れている方が多くいます。

特に多い崩れ方が、胸椎後弯の頂点が通常の第7~8胸椎よりも上方になっているケースです。

いわゆるスウェイバック姿勢になり、骨盤が前方に偏位して上半身を後ろに倒すような形で姿勢を維持している方は、胸椎後弯のバランスが崩れやすくなります。

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スウェイバック姿勢
 

肋骨と脊柱の関係

肋骨は胸椎に付着します。

胸椎が伸展位になると肋骨も前方回旋し、いわゆる肋骨外旋位になります。

肋骨外旋位は、肋椎関節締まりの位置になりますので、胸椎の可動性は低下します。

そのため、胸椎本来の後弯を取り戻すことは脊柱全体の機能としても大切です。

 

さてさて、ここで思い出して頂きたいのが、肋骨外旋位だと横隔膜のZOAも低下するということです。

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   さぁ皆さん、これまでの胸郭の機能解剖①~③が繋がってきましたね!?

 

胸郭の機能解剖のおさらい

・横隔膜のZOAが大切

・肋骨外旋位だとZOAは低下する

・正常な胸椎の後弯がなくなると肋骨外旋位になりやすくなる

・肋骨外旋位は胸椎の可動性低下も招く

様々なエクササイズをするうえで、呼吸や脊柱の可動性は大切になります。

 

脊柱可動性の評価

脊柱可動性の評価方法の一例をご紹介します。

脊柱の評価においてのポイントというよりかは、どの部位の評価においても共通しますが、「抗重力or従重力」「自動運動or他動運動」「関与する関節の数」を変数として評価していくことが大切です。

脊柱で考えても、立位・四つ這い・臥位に近い肢位、によって「重力方向」や「関与する関節の数」が異なりますので、評価する対象も異なります。

 

立位

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屈曲
~チェックポイント~

①つま先を触れるか

②脊柱の曲線が均一か

③骨盤が後方へ移動しているか


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伸展
~チェックポイント~

①ASISがつま先を超えているか

②脊柱の曲線が均一か

③肩関節の屈曲角度が170°を維持できているか


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回旋
~チェックポイント~

①回旋側の肩が見えるか(写真だと右肩)

②胸郭と骨盤が同じくらい動いているか

③過度に膝関節を屈曲していないか

※屈曲・伸展・回旋ともに過剰な労力を要さないようにする

 

四つ這い

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屈曲


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伸展~屈曲・伸展のチェックポイント~

①脊柱の曲線が均一か

②肩甲帯は安定しているか(翼状肩甲、シュラッグの有無など)

 

上位胸椎の可動性

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1stポジションでの回旋
~チェックポイント~

①45度~50度回旋しているか

②側屈で代償していないか

 

下位胸椎の可動性

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パピーでの回旋
~チェックポイント

①30度回旋しているか

②側屈で代償していないか


上記のような評価を用いて、脊柱の可動性の制限因子を推測していくことも可能です。

例えば、

立位で屈曲に制限がある→四つ這いではどうか?

四つ這いならOKであれば、立位の姿勢制御に何か問題があるのか?

立位で回旋に制限がある→パピーではどうか?

パピーでOKであれば、上位胸椎や股関節に問題があるのか?


などなど、評価の一部をご紹介しましたが、変数を用いて制限因子の鑑別をしていく感じです。

 

加えて他動・自動で評価していくことで、構造的な問題なのかモーターコントロールの問題かを鑑別していけますね!

 

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