猫に本気で学びたい!「どこでも眠れる」技術 世界を旅する犬猫写真家が見つけた極意は?


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こんな場所で大胆に眠ることを、よくも思いついたものだ。猫の眠りのヒミツを探ってみたい(撮影:新美敬子


みなさま、こんにちは。犬猫写真家の新美敬子です。世界を旅して街角で出会った犬や猫と人との暮らしを撮り続けて、25年以上たちます。


犬も猫も大好きですが、どちらかというと猫の写真を撮ることが多く、自宅でも5匹の猫を飼っています。


私たち現代人は時間や仕事に追われ、とてもあわただしく生きていますが、猫の生活は真逆です。の~んびりして好きなことしかしない。まわりなどほとんど気にせず、とことんマイペース。猫の姿を見ていると「ああ、こういう生き方をしたいなぁ」と学ぶことがたくさんあります。


このシリーズでは私が25年の経験で、猫から学んだ人生のワザや楽しみ方をみなさまにお伝えしていきたいと思います。


第1回目は「猫に本気で学びたい!どこでも寝る技術~入眠編」。


寝不足や不眠に悩んでいる人は、とても多いですよね。そういう人こそ、「眠りの達人」である猫に学んで、快眠を手に入れましょう!


猫に「眠る極意」を学び、不眠を解消した私

一説によると猫の1日の睡眠時間は12~14時間といわれます。子猫や高齢猫はもっと長時間眠り、「ネコ」の語源は昼間よく寝るから「寝子(ねこ)」という説もあるほど。猫はいつでもどこでも寝られるのです。「暇だから」という理由で寝る猫もいます。

 

私はいつも猫に話しかけながら撮影をするのですが、先日もオスの猫を「男前だね~」とほめながら撮っていました。

 

猫も自分がほめられていることがわかるんですね。まんざらでもない表情になってきて、そのうち「俺ってこんなポーズもできるんだぜ」みたいな感じで、いろんなポーズをとってくるようになったのです。

 

「こんなんどうだい?」「これはちょっと難しいぜ、普通の猫にはできないぜ」といろいろ披露してくれたのはいいのですが……、彼、ポーズをとったままの格好で寝落ちしてしまったのです(笑)。私は彼を起こさないよう、笑い声をかみ殺すのに必死でした。

 

「どこでも眠る」世界中の猫たちf:id:uta-huuta-maro-ojyou:20190817012030j:image
世界遺産ヴァレッタの街並の中で、駐車車両の上で寝る (マルタ・マルタ島にて。撮影:新美敬子

 

どうして猫は、そんなに寝るのが得意なのでしょう。

 

猫を観察し、時には猫の気持ちになって一緒にお昼寝などするうち、私はとうとう「ネコの眠りの極意」を見つけました。それを2回に分けてお話していきたいと思います。

 

1回目は「上手に寝付く極意」です。

 

私の観察によれば、猫が「眠り上手」な理由は、「4つの極意」に集約されます。順番に紹介しましょう。

 

私自身、かつてお勤めをしていたときは、本当に寝つきが悪くて悩んでいました。お酒を飲まないと眠れないのです。

 

ところが、いまはあれほど悩んだ昔がウソのように、ベッドに入るなりバタンキューです。お酒の助けも必要なし。猫に学び、「猫の眠り方」をマネしたら、自分でもビックリするほど快適に眠れるようになったのです。

 

 心地よい「場所」と「寝具」の大切さ

上手に寝付く極意1:自分にとっての「コンフォートゾーン」(安心できる、居心地がいい場所)を見つけ、確保する


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世界遺産に登録されたマルタ共和国ヴァレッタの街並み」。ベランダの手すりで眠る猫は、気持ちよさそうだけれど、危なっかしい。猫が多いことでも知られるマルタ。中世が息づく街で、猫たちから何かを学べるかもしれない。(撮影:新美敬子


猫は時としてとんでもないところで寝ています。道の真ん中とか、2階のベランダの手すりとか、お店の棚の下とか。でもそれはちゃんと理由があって、「自分なりに気持ちのいい場所=コンフォートゾーン」を探し求めた結果なんです。「風通しがいい」とか「日当たりがよくて暖かい」とか。

 

猫は自分が落ち着ける場所、気持ちのいい場所をとことん探します。それも1カ所に決めてしまわないで、常に「もっといい場所はないか」と追求を忘れません。居心地のいい場所を本能で探します。

 

人間だって動物ですから、自分にとっての「コンフォートゾーン」、すなわち「居心地のいい場所」「安心できる場所」を探す能力が本来備わっているはず。それは寝室もそうだし、仕事の合間の居眠りする場所もそう。

 

まずは自分にとって、居心地のいい、安心できる「コンフォートゾーン」を見つけ、確保するのが、猫に学ぶ「上手に寝付く極意」のひとつめです。

 

上手に寝付く極意2:「新しくて清潔な寝具」で寝るf:id:uta-huuta-maro-ojyou:20190817012924j:image

イタリア半島東側のアドリア海に面したモンテネグロにある小さな古都ヘルツェグノヴィ。散歩の途中で、カフェのきれいなクッション見つけた猫。すぐさま陣取り、客たちの会話や雑踏を聞き流しながら、心地よい昼下がりの惰眠を貪っていた。(撮影:新美敬子


猫はおろしたてや洗濯したてのシーツが大好きです。うちはベッドのシーツを新しく取り換えると、猫たちが我先にと乗ってきます。

ソファーのクッションなんかも、新しいものは大人気。でも他の猫が一度でも座ったものは一気に人気下降(笑)。カバーを洗濯するか、固く絞った雑巾で拭いて、日に干すと、たちまち人気復活。猫にはわかるんですね。

極意1「自分にとっての『コンフォートゾーン』を見つけ、確保する」にも通ずることですが、「寝る場所の環境づくり」はとても大事なこと。

 

一流ホテルの寝具はパリッと糊が効いて清潔で、とても気持ちがいいですよね。家庭で同じことをするのはなかなか難しいけれど、頻繁に洗濯をして清潔に保つことは可能です。何日も洗っていない、グチャッとした寝具では、いい眠りは確保できません。猫も逃げます(笑)。

 

猫だって「新しくて清潔な寝具」が大好き。猫が喜んで集まってくるような「新しくて清潔な寝具」を整えてみてはどうでしょう。

 

上手に寝付く極意3:昼寝のときは「日向ぼっこ」を活用するf:id:uta-huuta-maro-ojyou:20190817013021j:image

地中海の向こうから太陽が輝きはじめた。ここは、フランス、コート・ダ・ジュール。日向ぼっこは猫にとっていわば充電のようなもの。体はポカポカ。頭の中はパラダイス。(撮影:新美敬子


猫は日向ぼっこが大好き。季節にかかわらず、「コンフォートゾーン」を見つけては日向ぼっこをしています。

 

猫にとって日向ぼっこというのは、ちゃんとした意味があること。それは「ひとりになって自分を見つめ直す時間」なんです。ただぼーっとしているわけではなく、大切な時間です。

 

聞くところによると、日光に当たるということは、うつ病不眠症の症状にとてもいい効果を及ぼすそうです。

 

オフィスワークの方はなかなか日光に当たるチャンスがないかもしれませんが、ランチのあとに近くの公園のベンチで、あるいは電車での移動中など、ぜひ昼寝をするときは「日向ぼっこ」を活用してみてください。

 

そこで5分でも10分でも自分との対話をしたり、あるいは居眠りなんかもすれば、午後のエネルギーもしっかりチャージされるのではないでしょうか。

 

嫌なことがあったら、とにかく寝る

上手に寝付く極意4:何も考えない、心配しない

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チュニジアの首都チュニスも、猫の都と言っていい。正体をなくして眠る猫が、幸せのお裾分けをしてくれる。 植木鉢は少し冷たくて、暑い国の猫たちには人気のスポットだ。(撮影:新美敬子


実はこれこそが、私が猫から学んだ「上手に寝付く極意」ナンバー1です。

寝つけなくて悩んでいるとき、私の布団に入ってきた猫が、丸まるなり寝落ちしたのを見て「さすがだなぁ」と感心するやらあきれるやら。なぜこんなにすぐ眠れるのかと言ったら、「何も考えていない」「何の心配もしていない」からなんですね。

かつて私は、人間関係のちょっとしたことや、翌日の仕事の段取りなんかにあれこれ思いをめぐらし、それで寝つけないことがよくありました。

でも、あまりにノー天気な猫の様子を見ているうちに、悩んでいる自分がなんだかバカバカしくなってしまったんです。考えてみれば、布団に入って悩んだって別に何もいいことはないし、いいアイデアが浮かぶはずもないんです。

 

「だったら私も、考えるのやーめた!」と開き直った瞬間、すーっと眠りにつくことができました。嫌なことがあっても深く考えない、心配せずにとにかく眠る。その大切さを、私は猫から学びました。

わが家には私に「実演指導」をしてくれる猫たちがいますが、飼っていない方は寝る前に猫の写真を眺めてみるのもいいかもしれません。

明日は明日の風が吹く。今日のところは猫に学んで、何も考えずにぐっすり寝ちゃいましょう。