長生きの秘訣は筋トレにある

 

 加齢とともに、私たちの筋肉は減少し、脂肪は増加していきます。

 

 40歳から80歳までに筋肉は男性で10.8%、女性で6.4%減少し、それに対して内臓脂肪は男性で42.9%、女性で65.3%も増えることが報告されています(Yamada M, 2014)。


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Fig.1:Yamada M, 2014より筆者作成

 

 加齢にともなう筋肉の減少と脂肪の増加、これは何を意味するのでしょうか?

 

 それは「死」です。

 

 子孫を残し、役目を終えた私たちは、遺伝子のプログラムによって、加齢とともに筋肉を減少させ、脂肪を増加させながら生命の終焉を迎えるのです。しかし現代の医学は、これに抗うかのように長生きするための最適戦略を見つけつつあります。

 

 今回は、長生きするための最適戦略について、今年8月に報告された知見をご紹介しましょう。

 

Table of contents

◆ 筋肉が少なく、脂肪が多いともっとも死亡率が高くなる
◆ 長生きの最適戦略が筋トレである理由
◆ 読んでおきたい記事
◆ 参考論文
 

 

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◆ 筋肉が少なく、脂肪が多いともっとも死亡率が高くなる
 

 2015年、雑誌Lancetで14万人を対象にした握力と死亡率との調査結果が報告されました。握力は全身の筋肉量を反映する指標になります。調査の結果、握力が5kg低下するごとに死亡率が14%増加することが示されました(Leong DP, 2015)。

 

 また、2016年には雑誌Lancetで約400万人を対象としたBMI(体格指数)と死亡率の大規模調査の結果が報告されました。14年間の追跡調査の結果、肥満度の上昇とともに死亡率の増加を認め、過度の肥満では、死亡率が171%増加することがわかりました(Global BMI Mortality Collaboration. 2016)。

 

 これらの結果から、加齢による筋肉の減少と脂肪の増加は、明らかに死の可能性を高めるのです。

 

 そして筋肉の減少と脂肪の増加が合わさると、残念なことに死亡率はさらに増大します。

 

 加齢にともなう筋肉の減少はサルコペニアと言い、これに脂肪の増加が加わると「サルコペニア肥満」と呼ばれます。


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 ロンドン大学のAtkinsらは、サルコペニア肥満と死亡率の関係性を調査した結果、死亡率は筋肉の減少で41%、脂肪の増加で21%増加するのに対して、サルコペニア肥満では72%増加することを報告しています(Atkins JL, 2014)。


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Fig.2:Atkins JL, 2014より筆者作成

 

 また、台湾・国立健康研究所のChuangらは、アジア人を対象としたサルコペニア肥満と死亡率について10年間の追跡調査を行いました。その結果、単独の筋肉の減少、脂肪の増加と比べてサルコペニア肥満は3.2〜6.8倍の死亡率の増加を認めました(Chuang SY, 2016)。


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Fig.3:Chuang SY, 2016より筆者作成

 

 これらの結果、筋肉が少なく、脂肪の多いサルコペニア肥満がもっとも死亡率が高く(赤)、反対に筋肉が多く、脂肪が少ないもの(青)がもっとも死亡率が低くなることが示唆されているのです。


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 このような背景から、死亡率を下げる戦略として、脂肪の量を減少させるダイエットと筋肉の量を増加させる筋トレが推奨されてきました。


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 しかし、言うは易く行うは難しというように、ダイエットと筋トレを並行して行うことは高齢者だけでなく、私たちにとっても辛いことです。

 

 このような中、2017年8月に報告された研究結果が新たな最適戦略をもたらしてくれたのです。

 

 

 

 


 

 イギリス・UKバイオバンクは50万人の成人を対象に健康状態、家族歴、生活状況などのデータを収集している世界最大のデータベースセンターです。2017年8月、ケンブリッジ大学のKimらは、UKバイオバンクのデータを用いて、サルコペニア肥満と死亡率との調査結果を報告しました。

 

 その目的は、下記のマトリクスの「?」の部分の死亡率の程度を明らかにすることでした。


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 Kimらは、調査条件に合う約40万人を対象に、握力とBMI(体格指数)による死亡率への影響を調査しました。その結果、筋肉の低下、脂肪の増加はともに死亡率を高める因子であるとともに、サルコペニア肥満はもっとも死亡率を増加(男性:81%、女性69%)させることが示されました。

 

 そして興味深い事実が明らかになったのです。

 

 筋肉が多く、脂肪の多い被験者は、筋肉が少なく、脂肪も少ない被験者よりも死亡率が低かったのです。

 

 つまり、もっとも死亡率の高い組み合わせは「筋肉が少なく、脂肪の多い」状態であるサルコペニア肥満です。次に高いのが「筋肉も少なく、脂肪も少ない」状態で、これに比べて「筋肉も多く、脂肪も多い」状態は死亡率が低くなることが明らかになったのです。

 

 この結果により、マトリクスの「?」を埋めることができます。


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 この結果からわかることは、脂肪が多くても、筋肉を増やすことができれば死亡率を低下させることができるということです。そして脂肪を減らしても筋肉が増えなければ死亡率は高いままであるということです。

 

 このことから、Kimらは、サルコペニア肥満を改善させるポイントは「筋肉を増やすこと」だと結論づけています。

 

 サルコペニア肥満の改善には、ダイエットと筋トレが推奨されてきました。これに対して、Kimらは、両方を行うのではなく、まず、筋トレをして死亡率の低い「筋肉が多く、脂肪も多い」状態を目指すべきだと述べています。ダイエットをして脂肪を減らしても、筋肉が増えていない状態では死亡率の大きな改善が見込めないからです。筋肉を増やした後、ダイエットに取り組めば良いとしています。


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 ヒトは誰でも歳をとります。加齢により筋肉は衰え、脂肪は蓄えられ、死に向かっていくのです。この遺伝子のプログラムに逆らうことはできないでしょう

 

 しかし、現代の医学はこれに抗うように最適戦略を示してくれています。

 

 長生きするためには、まずは筋トレをするべきである。

 

 幸い、筋トレにより効果的に筋肉を増やすための多くの知見が報告されています。私たちは生きるために筋トレをしなければならないのです。

 

 

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◆ 読んでおきたい記事
シリーズ①:筋肉を増やすための栄養摂取のメカニズムを理解しよう

シリーズ②:筋トレの効果を最大にするタンパク質の摂取量を知っておこう

シリーズ③:筋トレの効果を最大にするタンパク質の摂取タイミングを知っておこう

シリーズ④:筋トレの効果を最大にするタンパク質の摂取パターンを知っておこう

シリーズ⑤:筋トレの効果を最大にする就寝前のプロテイン摂取を知っておこう

シリーズ⑥:筋トレの効果を最大にする就寝前のプロテイン摂取の方法論 

シリーズ⑦:筋トレの効果を最大にする運動強度(負荷)について知っておこう

シリーズ⑧:筋トレの効果を最大にする運動強度(負荷)の実践論

シリーズ⑨:筋トレの効果を最大にするセット数について知っておこう 

シリーズ⑩:筋トレの効果を最大にするセット間の休憩時間について知っておこう

シリーズ⑪:筋トレの効果を最大にするトレーニングの頻度について知っておこう

シリーズ⑫:筋トレの効果を最大にするタンパク質の品質について知っておこう

シリーズ⑬:筋トレの効果を最大にするロイシンについて知っておこう

シリーズ⑭:筋トレの効果を最大にするタンパク質の摂取方法まとめ

シリーズ⑮:筋トレの効果を最大にするベータアラニンについて知っておこう

シリーズ⑯:いつまでも若々しい筋肉を維持するためには筋トレだけじゃ不十分?

シリーズ⑰:筋トレの効果を最大にするセット数について知っておこう(2017年7月版) 

シリーズ⑱:筋トレとアルコール摂取の残酷な真実

シリーズ⑲:筋トレの効果を最大にするタンパク質の摂取量を知っておこう(2017年7月版)

シリーズ⑳:長生きの秘訣は筋トレにある

シリーズ㉑:筋トレの最適な負荷量を知っておこう(2017年8月版)

シリーズ㉒:筋トレが不安を解消するエビデンス

シリーズ㉓:筋肉量を維持しながらダイエットする方法論

シリーズ㉔:プロテインの摂取はトレーニング前と後のどちらが効果的?

シリーズ㉕:筋トレの前にストレッチングをしてはいけない理由

シリーズ㉖:筋トレの効果を最大にするウォームアップの方法を知っておこう

シリーズ㉗:筋トレの効果を最大にするセット間の休憩時間を知っておこう(2017年9月版)

シリーズ㉘:BCAAが筋肉痛を回復させるエビデンス

シリーズ㉙:筋トレの効果を最大にするタマゴの正しい食べ方

シリーズ㉚:筋トレが睡眠の質を高める〜世界初のエビデンスが明らかに

シリーズ㉛:筋肉の大きさから筋トレをデザインしよう

シリーズ㉜:HMBが筋トレの効果を高める理由~国際スポーツ栄養学会のガイドラインから最新のエビデンスまで

シリーズ㉝:筋トレの効果を高める最新の3つの考え方〜Schoenfeld氏のインタビューより

シリーズ㉞:筋トレによって脳が変わる〜最新のメカニズムが明らかに

シリーズ㉟:ホエイプロテインは食欲を抑える〜最新のエビデンスを知っておこう

シリーズ㊱:筋トレが病気による死亡率を減少させる幸福な真実

シリーズ㊲:プロテインは腎臓にダメージを与える?〜現代の科学が示すひとつの答え

シリーズ㊳:筋トレとアルコールの残酷な真実(続編)

シリーズ㊴:筋トレの効果を最大にする「関節を動かす範囲」について知っておこう

シリーズ㊵:筋トレが続かない理由〜ハーバード大学が明らかにした答えとは?

シリーズ㊶:筋トレと遺伝の本当の真実〜筋トレの効果は遺伝で決まる?

シリーズ㊷:エビデンスにもとづく筋肥大を最大化するための筋トレ・ガイドライン

シリーズ㊸:筋トレしてすぐの筋肥大は浮腫(むくみ)であるという残念な真実

シリーズ㊹:時間がないときにやるべき筋トレメニューとは〜その科学的根拠があきらかに

シリーズ㊺:筋トレの効果を最大にする新しいトレーニングプログラムの考え方を知っておこう

シリーズ㊻:筋トレは心臓も強くする〜最新のエビデンスが明らか筋トレ後のアルコール摂取が筋力の回復を妨げる?〜最新の研究結果を知っておこう

シリーズ㊼:プロテインは骨をもろくする?〜最新の研究結果を知っておこう

シリーズ㊽:コーヒーが筋トレのパフォーマンスを高める〜その科学的根拠を知っておこう

シリーズ㊾:睡眠不足は筋トレの効果を低下させる~その科学的根拠を知っておこう

シリーズ㊿:イメージトレーニングが筋トレの効果を高める〜その科学的根拠を知っておこう

シリーズ51:筋トレ後のアルコール摂取が筋力の回復を妨げる?〜最新の研究結果を知っておこう

シリーズ52:筋トレ後のタンパク質の摂取は「24時間」を意識するべき理由

シリーズ53:筋トレが高血圧を改善させる〜その科学的根拠を知っていこう

シリーズ54:ケガなどで筋トレできないときほどタンパク質を摂取するべきか?

シリーズ55:筋トレは脳卒中の発症リスクを高めるのか?〜筋トレによるリスクを知っておこう

シリーズ56:筋トレを続ける技術〜意志力をマネジメントしよう

シリーズ57:筋トレ後にプロテインを飲んですぐに仰向けに寝てはいけない理由

シリーズ58:筋トレは朝やるべきか、夕方やるべきか問題

シリーズ59:筋トレの効果を最大にする食品やプロテインの選ぶポイントを知っておこう

シリーズ60:ベンチプレスをするなら大胸筋損傷について知っておこう

シリーズ61:筋トレの効果を最大にするタンパク質の摂取パターンを知っておこう(2018年4月版)

シリーズ62:筋トレ後のタンパク質摂取に炭水化物(糖質)は必要ない?

シリーズ63:ホエイ・プロテインと筋トレ、ダイエット、健康についての最新のエビデンスまとめ

シリーズ64:筋トレの効果を最大にする「牛乳」の選び方を知っておこう

シリーズ65:そもそもプロテインの摂取は筋トレの効果を高めるのか?

シリーズ66:筋力を簡単にアップさせる方法~筋力と神経の関係を知っておこう

シリーズ67:筋力増強と筋肥大の効果を最大にするトレーニング強度の最新エビデンス

シリーズ68:筋トレは疲労困憊まで追い込むべきか?〜最新のエビデンスを知っていこう

シリーズ69:筋トレで疲労困憊まで追い込んではいけない理由(筋力増強編)

シリーズ70:筋トレで筋肥大の効果を最大にする「運動のスピード」を知っておこう

シリーズ71:筋トレで筋力増強の効果を最大にする「運動のスピード」を知っておこう

シリーズ72:ネガティブトレーニングは筋肥大に効果的なのか?〜最新エビデンスを知っておこう

シリーズ73:筋トレを続ける技術〜お金をもらえれば筋トレは継続できる?

シリーズ74:プロテインは腎臓にダメージを与える?〜ハーバード大学の見解と最新エビデンス

シリーズ75:筋トレによる筋肥大の効果は強度、回数、セット数を合わせた総負荷量によって決まる

シリーズ76:筋トレの効果を最大にするタンパク質の摂取方法まとめ(2018年8月版)

シリーズ77:筋トレとHMBの最新エビデンス(2018年8月版) 

シリーズ78:筋トレによる筋肉痛にもっとも効果的なアフターケアの最新エビデンス

シリーズ79:筋肥大のメカニズムから筋トレをデザインしよう

シリーズ80:筋トレの効果を最大にする週の頻度(週に何回?)の最新エビデンス

シリーズ81:筋トレ後のクールダウンに効果なし?〜最新のレビュー結果を知っておこう

シリーズ82:筋トレの総負荷量と疲労の関係からトレーニングをデザインしよう

シリーズ83:筋トレのパフォーマンスを最大にするクレアチンの最新エビデンス

シリーズ84:筋トレのあとは風邪をひきやすくなる?〜最新エビデンスと対処法

シリーズ85:筋トレのパフォーマンスを最大にするカフェインの最新エビデンス

シリーズ86:筋トレとグルタミンの最新エビデンス

シリーズ87:筋トレとアルギニンの最新エビデンス

シリーズ88:筋トレとシトルリンの最新エビデンス

シリーズ89:筋トレするなら知っておきたいサプリメントの最新エビデンスまとめ

シリーズ90:筋トレをするとモテる本当の理由

シリーズ91:高タンパク質は腎臓にダメージを与えない〜最新エビデンスが明らかに

シリーズ92:筋トレするなら知っておきたい食事のキホン〜ハーバード流の食事プレート

シリーズ93:筋トレを続ける技術〜マシュマロ・テストを攻略しよう

シリーズ94:スクワットのフォームの基本を知っておこう【スクワットの科学】 

シリーズ95:スクワットのフォームによって筋肉の活動が異なる理由

シリーズ96:スクワットの効果を最大にするスタンス幅と足部の向きを知っておこう

シリーズ97:ベンチプレスのフォームの基本を知っておこう【ベンチプレスの科学】

シリーズ98:ヒトはベンチプレスをするために進化してきた【ベンチプレスの科学】

シリーズ99:デッドリフトのフォームの基本を知っておこう【デッドリフトの科学】

シリーズ100:デッドリフトのリフティングの基本を知っておこう【デッドリフトの科学】

シリーズ101:筋トレを続ける技術~脳をハックしよう!

シリーズ102:腕立て伏せの回数と握力から心臓病のリスクを知ろう!

シリーズ103:筋トレは朝やるべきか、夕方やるべきか?〜最新エビデンスを知っておこう

シリーズ104:筋トレによる筋肥大の効果は「週のトレーニング量」で決まる!【最新エビデンス

 

 

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◆ 参考論文
Yamada M, et al. Age-dependent changes in skeletal muscle mass and visceral fat area in Japanese adults from 40 to 79 years-of-age. Geriatr Gerontol Int. 2014 Feb;14 Suppl 1:8-14.

Global BMI Mortality Collaboration. Body-mass index and all-cause mortality: individual-participant-data meta-analysis of 239 prospective studies in four continents. Lancet. 2016 Aug 20;388(10046):776-86.

Leong DP, et al. Prognostic value of grip strength: findings from the Prospective Urban Rural Epidemiology (PURE) study. Lancet. 2015 Jul 18;386(9990):266-73.

Atkins JL, et al. Sarcopenic obesity and risk of cardiovascular disease and mortality: a population-based cohort study of older men. J Am Geriatr Soc. 2014 Feb;62(2):253-60.

Chuang SY, et al. Abdominal Obesity and Low Skeletal Muscle Mass Jointly Predict Total Mortality and Cardiovascular Mortality in an Elderly Asian Population. J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2016 Aug;71(8):1049-55.

Kim Y, et al. Independent and joint associations of grip strength and adiposity with all-cause and cardiovascular disease mortality in 403,199 adults: the UK Biobank study. Am J Clin Nutr. 2017 Aug 9. pii: ajcn156851.

 
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筋トレが病気による死亡率を減少させる幸福な真実

 

 2017年11月7日、アメリカ・ABCニュースで興味深い記事が掲載されました。

 

 「筋トレがすべての病気の死亡率を減少させる」

 ✻How sit-ups and push-ups could ward off an early death - ABC news

 

 これは2017年10月に報告された8万人の大規模研究の結果を伝えたものです。シドニー大学のStamatakisらは、世界で初めて、筋トレと病気による死亡率に関する大規模な疫学的研究を行ったのです。

 

 今回は、Stamatakisらの大規模研究の結果をご紹介しながら、筋トレが病気による死亡率に与える効果とそのメカニズムについて考えてきましょう。

 

Table of contents

◆ 筋トレはがんやすべての病気の死亡率を減少させる
◆ 大規模研究が明らかにした幸福な真実
◆ 読んでおきたい記事
◆ 参考論文
 

 

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◆ 筋トレはがんやすべての病気の死亡率を減少させる
 

 2013年、私たちにとって幸福な真実が公表されました。

 

 「筋トレは、がんによる死亡率を33%減少させる」

 

 アメリカ・スローンケタリングがん研究所のLemanneらは、世界で初めて筋トレとがんの死亡率の関係を明らかにしたのです。

 

 以前より、日常生活の身体活動ががんの死亡率を減少させることが示唆されていました(Fong DY, 2012)。ウォーキングやジョギングなどの身体活動量が多い場合、乳がんや大腸がん、前立腺がんの死亡率を低下させることが明らかになっていました(Ibrahim EM, 2011)。

 

 Lemanneらは、身体活動ががんの死亡率を低下させるのであれば、レジスタンストレーニング(筋トレ)によってもがんの死亡率は減少すると推測し、疫学的調査に乗り出しました。

 

 このようにして2013年6月、がんと診断された18歳から81歳の男女2,863名を対象にしたレジスタンストレーニングによる死亡率への影響を調査した結果が報告されました。

 

 平均7.3年の追跡調査の結果、トレーニングを1週間に1回以上している場合、トレーニングをしていないものと比べて、死亡率が33%減少することが明らかになりました。


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Fig.1:Lemanne D, 2013より筆者作成

 

 この結果から、Lemanneらは、日常生活の身体活動の増加ががんの死亡率を減少させるエビデンスに加えて、筋トレが死亡率を3割減少させることは有益な情報であり、筋トレをもっと行うよう推奨すべきであると述べています(Lemanne D, 2013)。

 

 「筋トレががんの死亡率を3割も減少させる」という知見は、日本の多くのネットメディアやブログでも紹介され、大きな話題になるとともに、トレーニーの励みにもなりました。

 

 筋トレによる幸福な真実はこれで終わりません。2016年、私たちにさらなる朗報が届きます。

 

 「筋トレは、すべての病気による死亡率を23%減少させる」

 

 これまでに、筋肉量が多いほど、病気による死亡率は減少することが明らかになっていました。筋肉量を増やすことが死亡率を減少させる最適戦略であることが示唆されていたのです。

『長生きの秘訣は筋トレにある』

 

 しかし、そのための筋トレと病気による死亡率の関係は明らかになっていませんでした。そこで、ミシシッピ大学のDankelらは、レジスタンストレーニングが病気による死亡率に与える影響についての疫学的調査を実施したのです。

 

 Dankelらは、20歳以上の男女8,772名を対象にして、平均6.7年の追跡調査を行いました。また、1週間のトレーニングの頻度も合わせて調査しました。

 

 調査の結果、トレーニングを継続的に行っている場合、トレーニングをしていないものに比べて、すべての病気の死亡率が23%減少することが示されました。

 

 また、この死亡率の減少は、1週間に2〜3回の頻度でトレーニングをしている場合に有意であり、それ以上(例えば週5回)では死亡率の減少効果が低い(プラトーになる)ことが明らかになりました。週2〜3回のトレーニングが病気による死亡率をもっとも効果的に減少させるのです。

 

 この理由のひとつに「トレーニングの継続性」が挙げられています。毎日のトレーニングでは長期的には継続することが難しく、週2〜3回のトレーニングが継続するためにも最適な頻度であると推測しています。

 

 アメリカスポーツ医学会は週2〜3回のトレーニングを推奨しています。Dankelらは、同様の頻度のトレーニングが病気による死亡率を2割減少させることからも、習慣的な筋トレの実施をさらに広く推奨すべきであると唱えています(Dankel SJ, 2016)。

 

 このように、筋トレは、がんによる死亡率を33%減少させるだけでなく、すべての病気の死亡率を23%減少させることが明らかになっているのです。しかし、これらの疫学的調査にはいくつかの疑義が投げかけられており、そのひとつにサンプル数(被験者数)の不足がありました。

 

 そして2017年、この疑義を払拭する8万人を対象にした大規模研究の結果が報告されたのです。

 

 

 

 

◆ 大規模研究が明らかにした幸福な真実
 

 シドニー大学のStamatakisらは、イギリスの健康調査(HSE)とスコットランドの健康調査(SHS)のデータからレジスタンストレーニング(筋トレ)とジョギングなどの有酸素運動が病気による死亡率に与える影響についての大規模調査を実施しました。

 

 30歳以上の男女80,306名を対象に、週2回以上のトレーニングと週150分以上の有酸素運動が与える「がん」と「すべての病気」による死亡率への影響が調査されました。

 

 その結果、がんによる死亡率は31%減少し、すべての病気による死亡率は23%減少することが明らかになったのです。

 

 またStamatakisらは、トレーニング環境と死亡率との関係についても調査をしました。「ジムでのトレーニング」と「家での自重トレーニング」によるがんの死亡率、すべての病気の死亡率への影響を調査した結果、ジムでも家でも同等の死亡率の減少効果を示し、両方の環境で行った場合は、さらなる死亡率の減少が示されました。


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Fig.2:Stamatakis E, 2017より筆者作成

 

 これはとれも興味深い示唆を与えてくれるとStamatakisらは言います。トレーニング人口が増えない理由のひとつに「ジムに行く」という心理的な障壁があります。今回の結果は、ジムに行かなくても、家で腕立て伏せやスクワットなどの自重トレーニングによって、ジムでのトレーニングと同等の死亡率の軽減効果が得られることを示しているのです。この知見はトレーニング人口を増やす後押しになるとStamatakisらは期待しています。

 

 さらに、トレーニングと有酸素運動を比較した結果、トレーニングでは同等かそれ以上の死亡率の軽減効果を示しました。特にがんの死亡率では、有酸素運動よりもトレーニングが大きく軽減させることが示唆されました。


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Fig.3:Stamatakis E, 2017より筆者作成

 

 Stamatakisらが行った大規模研究の結果は、週2回以上のレジスタンストレーニング(筋トレ)は、がんの死亡率を3割減少させ、すべての病気による死亡率を2割減少させるとともに、このような効果はジムだけでなく、家での自重トレーニングにおいても同等であること、有酸素運動よりもトレーニングが死亡率の軽減に寄与することを明らかにしたのです(Stamatakis E, 2017)。

 

 そしてトレーニングが死亡率を減少させるメカニズムには、トレーニングによる血圧低下、糖尿病のリスク低下、グルコース代謝の改善、全身性炎症の減少、抑うつ症状の軽減、認知機能の改善、そして筋肉量の維持・増加の効果が包括的に作用し、死亡率の軽減に寄与していると推測されています(詳細な説明は別の機会でご紹介します)。


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Fig.4:Stamatakis E, 2017より筆者作成

 

 

 Stamatakisらの報告は、世界で初めて筋トレが病気による死亡率を減少させることを示した大規模な疫学研究です。その結果はこれまでの報告(Lemanneら、Dankelら)を肯定するものであり、習慣的(週2回以上)な筋トレはがんの死亡率を3割減らし、すべての病気による死亡率を2割減らすことが改めて示されたのです。 

 

 現代の疫学は私たちに幸福な真実を教えてくれます。

 

 「筋トレは、すべての病気に負けない身体を与えてくれる」

 

 

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◆ 読んでおきたい記事
シリーズ①:筋肉を増やすための栄養摂取のメカニズムを理解しよう

シリーズ②:筋トレの効果を最大にするタンパク質の摂取量を知っておこう

シリーズ③:筋トレの効果を最大にするタンパク質の摂取タイミングを知っておこう

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シリーズ⑥:筋トレの効果を最大にする就寝前のプロテイン摂取の方法論 

シリーズ⑦:筋トレの効果を最大にする運動強度(負荷)について知っておこう

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シリーズ⑪:筋トレの効果を最大にするトレーニングの頻度について知っておこう

シリーズ⑫:筋トレの効果を最大にするタンパク質の品質について知っておこう

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シリーズ⑮:筋トレの効果を最大にするベータアラニンについて知っておこう

シリーズ⑯:いつまでも若々しい筋肉を維持するためには筋トレだけじゃ不十分?

シリーズ⑰:筋トレの効果を最大にするセット数について知っておこう(2017年7月版) 

シリーズ⑱:筋トレとアルコール摂取の残酷な真実

シリーズ⑲:筋トレの効果を最大にするタンパク質の摂取量を知っておこう(2017年7月版)

シリーズ⑳:長生きの秘訣は筋トレにある

シリーズ㉑:筋トレの最適な負荷量を知っておこう(2017年8月版)

シリーズ㉒:筋トレが不安を解消するエビデンス

シリーズ㉓:筋肉量を維持しながらダイエットする方法論

シリーズ㉔:プロテインの摂取はトレーニング前と後のどちらが効果的?

シリーズ㉕:筋トレの前にストレッチングをしてはいけない理由

シリーズ㉖:筋トレの効果を最大にするウォームアップの方法を知っておこう

シリーズ㉗:筋トレの効果を最大にするセット間の休憩時間を知っておこう(2017年9月版)

シリーズ㉘:BCAAが筋肉痛を回復させるエビデンス

シリーズ㉙:筋トレの効果を最大にするタマゴの正しい食べ方

シリーズ㉚:筋トレが睡眠の質を高める〜世界初のエビデンスが明らかに

シリーズ㉛:筋肉の大きさから筋トレをデザインしよう

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シリーズ㊱:筋トレが病気による死亡率を減少させる幸福な真実

シリーズ㊲:プロテインは腎臓にダメージを与える?〜現代の科学が示すひとつの答え

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シリーズ㊷:エビデンスにもとづく筋肥大を最大化するための筋トレ・ガイドライン

シリーズ㊸:筋トレしてすぐの筋肥大は浮腫(むくみ)であるという残念な真実

シリーズ㊹:時間がないときにやるべき筋トレメニューとは〜その科学的根拠があきらかに

シリーズ㊺:筋トレの効果を最大にする新しいトレーニングプログラムの考え方を知っておこう

シリーズ㊻:筋トレは心臓も強くする〜最新のエビデンスが明らか筋トレ後のアルコール摂取が筋力の回復を妨げる?〜最新の研究結果を知っておこう

シリーズ㊼:プロテインは骨をもろくする?〜最新の研究結果を知っておこう

シリーズ㊽:コーヒーが筋トレのパフォーマンスを高める〜その科学的根拠を知っておこう

シリーズ㊾:睡眠不足は筋トレの効果を低下させる~その科学的根拠を知っておこう

シリーズ㊿:イメージトレーニングが筋トレの効果を高める〜その科学的根拠を知っておこう

シリーズ51:筋トレ後のアルコール摂取が筋力の回復を妨げる?〜最新の研究結果を知っておこう

シリーズ52:筋トレ後のタンパク質の摂取は「24時間」を意識するべき理由

シリーズ53:筋トレが高血圧を改善させる〜その科学的根拠を知っていこう

シリーズ54:ケガなどで筋トレできないときほどタンパク質を摂取するべきか?

シリーズ55:筋トレは脳卒中の発症リスクを高めるのか?〜筋トレによるリスクを知っておこう

シリーズ56:筋トレを続ける技術〜意志力をマネジメントしよう

シリーズ57:筋トレ後にプロテインを飲んですぐに仰向けに寝てはいけない理由

シリーズ58:筋トレは朝やるべきか、夕方やるべきか問題

シリーズ59:筋トレの効果を最大にする食品やプロテインの選ぶポイントを知っておこう

シリーズ60:ベンチプレスをするなら大胸筋損傷について知っておこう

シリーズ61:筋トレの効果を最大にするタンパク質の摂取パターンを知っておこう(2018年4月版)

シリーズ62:筋トレ後のタンパク質摂取に炭水化物(糖質)は必要ない?

シリーズ63:ホエイ・プロテインと筋トレ、ダイエット、健康についての最新のエビデンスまとめ

シリーズ64:筋トレの効果を最大にする「牛乳」の選び方を知っておこう

シリーズ65:そもそもプロテインの摂取は筋トレの効果を高めるのか?

シリーズ66:筋力を簡単にアップさせる方法~筋力と神経の関係を知っておこう

シリーズ67:筋力増強と筋肥大の効果を最大にするトレーニング強度の最新エビデンス

シリーズ68:筋トレは疲労困憊まで追い込むべきか?〜最新のエビデンスを知っていこう

シリーズ69:筋トレで疲労困憊まで追い込んではいけない理由(筋力増強編)

シリーズ70:筋トレで筋肥大の効果を最大にする「運動のスピード」を知っておこう

シリーズ71:筋トレで筋力増強の効果を最大にする「運動のスピード」を知っておこう

シリーズ72:ネガティブトレーニングは筋肥大に効果的なのか?〜最新エビデンスを知っておこう

シリーズ73:筋トレを続ける技術〜お金をもらえれば筋トレは継続できる?

シリーズ74:プロテインは腎臓にダメージを与える?〜ハーバード大学の見解と最新エビデンス

シリーズ75:筋トレによる筋肥大の効果は強度、回数、セット数を合わせた総負荷量によって決まる

シリーズ76:筋トレの効果を最大にするタンパク質の摂取方法まとめ(2018年8月版)

シリーズ77:筋トレとHMBの最新エビデンス(2018年8月版) 

シリーズ78:筋トレによる筋肉痛にもっとも効果的なアフターケアの最新エビデンス

シリーズ79:筋肥大のメカニズムから筋トレをデザインしよう

シリーズ80:筋トレの効果を最大にする週の頻度(週に何回?)の最新エビデンス

シリーズ81:筋トレ後のクールダウンに効果なし?〜最新のレビュー結果を知っておこう

シリーズ82:筋トレの総負荷量と疲労の関係からトレーニングをデザインしよう

シリーズ83:筋トレのパフォーマンスを最大にするクレアチンの最新エビデンス

シリーズ84:筋トレのあとは風邪をひきやすくなる?〜最新エビデンスと対処法

シリーズ85:筋トレのパフォーマンスを最大にするカフェインの最新エビデンス

シリーズ86:筋トレとグルタミンの最新エビデンス

シリーズ87:筋トレとアルギニンの最新エビデンス

シリーズ88:筋トレとシトルリンの最新エビデンス

シリーズ89:筋トレするなら知っておきたいサプリメントの最新エビデンスまとめ

シリーズ90:筋トレをするとモテる本当の理由

シリーズ91:高タンパク質は腎臓にダメージを与えない〜最新エビデンスが明らかに

シリーズ92:筋トレするなら知っておきたい食事のキホン〜ハーバード流の食事プレート

シリーズ93:筋トレを続ける技術〜マシュマロ・テストを攻略しよう

シリーズ94:スクワットのフォームの基本を知っておこう【スクワットの科学】 

シリーズ95:スクワットのフォームによって筋肉の活動が異なる理由

シリーズ96:スクワットの効果を最大にするスタンス幅と足部の向きを知っておこう

シリーズ97:ベンチプレスのフォームの基本を知っておこう【ベンチプレスの科学】

シリーズ98:ヒトはベンチプレスをするために進化してきた【ベンチプレスの科学】

シリーズ99:デッドリフトのフォームの基本を知っておこう【デッドリフトの科学】

シリーズ100:デッドリフトのリフティングの基本を知っておこう【デッドリフトの科学】

シリーズ101:筋トレを続ける技術~脳をハックしよう!

シリーズ102:腕立て伏せの回数と握力から心臓病のリスクを知ろう!

シリーズ103:筋トレは朝やるべきか、夕方やるべきか?〜最新エビデンスを知っておこう

シリーズ104:筋トレによる筋肥大の効果は「週のトレーニング量」で決まる!【最新エビデンス

 

 

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◆ 参考論文
Fong DY, et al. Physical activity for cancer survivors: meta-analysis of randomised controlled trials. BMJ. 2012 Jan 30;344:e70.

Ibrahim EM, et al. Physical activity and survival after breast cancer diagnosis: meta-analysis of published studies. Med Oncol. 2011 Sep;28(3):753-65.

Lemanne D, et al. The role of physical activity in cancer prevention, treatment, recovery, and survivorship. Oncology (Williston Park). 2013 Jun;27(6):580-5.

Dankel SJ, et al. Dose-dependent association between muscle-strengthening activities and all-cause mortality: Prospective cohort study among a national sample of adults in the USA. Arch Cardiovasc Dis. 2016 Nov;109(11):626-633.

Stamatakis E, et al. Does strength promoting exercise confer unique health benefits? A pooled analysis of eleven population cohorts with all-cause, cancer, and cardiovascular mortality endpoints. Am J Epidemiol. 2017 Oct 31.

Cornelissen VA, et al. Impact of resistance training on blood pressure and other cardiovascular risk factors: a meta-analysis of randomized, controlled trials. Hypertension. 2011 Nov;58(5):950-8.

Mavros Y, et al. Changes in insulin resistance and HbA1c are related to exercise-mediated changes in body composition in older adults with type 2 diabetes: interim outcomes from the GREAT2DO trial. Diabetes Care. 2013 Aug;36(8):2372-9.

Mavros Y, et al. Reductions in C-reactive protein in older adults with type 2 diabetes are related to improvements in body composition following a randomized controlled trial of resistance training. J Cachexia Sarcopenia Muscle. 2014 Jun;5(2):111-20.

Singh NA, et al. A randomized controlled trial of high versus low intensity weight training versus general practitioner care for clinical depression in older adults. J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2005 Jun;60(6):768-76.

Mavros Y, et al. Mediation of Cognitive Function Improvements by Strength Gains After Resistance Training in Older Adults with Mild Cognitive Impairment: Outcomes of the Study of Mental and Resistance Training. J Am Geriatr Soc. 2017 Mar;65(3):550-559.

Kuwahara K, et al. Strength training and risk of type 2 diabetes in a Japanese working population: A cohort study. J Diabetes Investig. 2015 Nov;6(6):655-61.

 
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筋トレが不安を解消するエビデンス

 

 ジムには多くの笑顔があります。

 

 そこには悩みや不安を感じさせないトレーニーの姿があります。

 

 これまで、筋トレが不安のようなネガティブな感情に与える効果的なエビデンスは示されていませんでした。今年8月、雑誌Sports medicineで世界で初めてレジスタンストレーニング(筋トレ)が不安を改善するというメタアナリシスが報告されたのです。

 

 今回は、このメタアナリシスをご紹介しながら、不安がもつ意味とマネジメントについて考察していきましょう。

 

 

Table of contents

◆ 日本人は世界でいちばん不安になりやすい
◆ 筋トレが不安を解消するエビデンス
◆ 読んでおきたい記事
◆ 参考論文
 

 

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◆ 日本人は世界でいちばん不安になりやすい
 

 ヒトは400万年前に二足歩行を獲得し、森林からサバンナに生活の場を移し、繁栄してきました。しかし、そこにはライオンなどの肉食獣がおり、いつも捕食されるリスクと隣あわせだったのです。

 

 では、ヒトがサバンナで生き延びることができた要因は何だったのでしょうか?

 

 それは「不安」であると人類学者のDonna Hartは言います。

 

 楽観的にサバンナを歩いているヒトは、たちまち肉食獣の餌食になってしまいますが、不安に怯えながら歩いているヒトは肉食獣から逃れ、生き残ることができたのです。そのため、不安の強い個人が数百万年という進化の過程で選択され、現代の私たちのこころにも不安という感情が受け継がれてきました。

 

 不安は、サバンナを生き延びるために不可欠な感情だったのです。

 

 しかし、現代にはサバンナもなければ、ライオンもいません。それでも多くの人が不安に苛まれています。肉食獣に怯えなくて良くなった現代人は、会社や学校、家庭といった複雑化した人間関係などに強い不安を募らせるようになったのです。


f:id:uta-huuta-maro-ojyou:20200703074123j:image

ヒトは食べられて進化した

作者: ドナ・ハート,ロバート W.サスマン,伊藤伸子
出版社/メーカー: 化学同人
発売日: 2007/06/28
メディア: 単行本
 
参考図書『ヒトは食べられて進化した』

 

 日本人は欧米人に比べて、不安障害やうつ病が多いことが知られています。

 

 近年の精神医学や脳科学では、この原因をセロトニンの発現量の違いであることを明らかにしています。

 

 日本人の97%は脳内のセロトニン発現量が少なく、ネガティブなことに対して強い不安をもちます。このセロトニンの発現量が少ないことが日本人の特性である「まじめ」「几帳面」「責任感が強い」「人間関係のトラブルを嫌う」といったメランコリー親和型の性格をつくり、不安障害やうつ病を発病させる基盤を形成しているのです。


f:id:uta-huuta-maro-ojyou:20200703074217j:image

脳科学は人格を変えられるか?

作者: エレーヌフォックス,Elaine Fox (原著),森内薫
出版社/メーカー: 文藝春秋
発売日: 2014/07/25
メディア: 単行本
 
参考図書『脳科学は人格を変えられるか? (文春文庫)』

 

 このように、不安は生きるための適応反応なのですが、過度な不安が続くと最終的には不安障害やうつ病を発症させてしまいます。

 

 そこで精神医学やスポーツ医学の分野では、不安を早い段階でマネジメントする方法として、有酸素運動のような「運動」が投薬や認知行動療法の補助的手段となるとして注目されるようになりました。

 

 そして今年8月、レジスタンストレーニングにより不安が解消できるというエビデンスが世界で初めて示されたのです。

 

 

 

 

 

◆ 筋トレが不安を解消するエビデンス
 

 ランニングをすると気分が良くなるのと同じように、レジスタンストレーニングをすると気分が良くなることを感じたことがあると思います。

 

 ランニングのような有酸素運動が不安を緩解するというエビデンスは、これまでに多くのシステマティックレビューやメタアナリシスによって示唆されてきました。

 

 2017年5月には、イギリス精神医学研究所のStubbsらにより、有酸素運動が不安症状を緩和することを示した最新のメタアナリシスが報告されています(Stubbs B, 2017)。

 

 有酸素運動は、幸福感を生じさせるセロトニンやβエンドルフィンといった神経伝達物質を増加させ、神経成長因子(BDNF)レベルを増加させることがわかっています(Herring MP, 2014)。

 

 不安な状況下になると心拍数が増加しますが、この心拍数の増加を抑えることによって不安を軽減させることができます。有酸素運動は安静時の心拍数を減少させることで不安を感じたときの心拍数の増加を抑える効果が示唆されています(Alvares GA, 2016)。

 

 このようなメカニズムによって、有酸素運動は不安を和らげると推測されているのです。

 

 それでは、レジスタンストレーニングにも不安を緩和する効果があるのでしょうか?

 

 この問に答えたのがアイルランド・リムリック大学のGordonらです。

 

 Gordonらは2017年8月、レジスタンストレーニングと不安やストレスなどの精神状態との関係を調査した16の研究報告をまとめたメタアナリシスを世界で初めて報告しました。

 

 その結果、レジスタンストレーニングは、健常人の不安を大幅に改善させるとともに不安障害などの患者の不安を改善することが示されました。

 

 また、興味深いことは、レジスタンストレーニングによる不安の改善効果は、性別、年齢、トレーニング条件(運動強度、回数、セット数、頻度)により影響を受けないことがわかったのです。

 

 つまり、ある程度の疲労を伴うレジスタンストレーニングを行うことにより、性別や年齢に関わらず、不安をやわらげることができるのです。

 

 しかしながら、レジスタンストレーニングによる不安改善のメカニズムは動物実験レベルでしか得られておらず、ヒトによるメカニズムの解明は今後の課題であるとしています。

 

 これらの結果からGordonらは、レジスタンストレーニングは健常者の不安のマネジメントに有益であり、不安障害の補助的なオプションになると述べています(Gordon BR, 2017)。

 

 

 古代より、私たちは不安によって生かされてきました。そして現代では、複雑な社会背景がもたらす過度な不安により押しつぶされそうになっています。

 

 最新の精神医学やスポーツ医学は不安障害などの病気になるまえに、不安をマネジメントするべきであると言います。そしてこう提言しているのです。

 

 「不安を感じたときは筋トレをしよう」

 

 

筋トレの重要なエビデンスをまとめた新刊です!

科学的に正しい筋トレ 最強の教科書

作者: 庵野拓将
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発売日: 2019/03/28
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◆ 読んでおきたい記事
シリーズ①:筋肉を増やすための栄養摂取のメカニズムを理解しよう

シリーズ②:筋トレの効果を最大にするタンパク質の摂取量を知っておこう

シリーズ③:筋トレの効果を最大にするタンパク質の摂取タイミングを知っておこう

シリーズ④:筋トレの効果を最大にするタンパク質の摂取パターンを知っておこう

シリーズ⑤:筋トレの効果を最大にする就寝前のプロテイン摂取を知っておこう

シリーズ⑥:筋トレの効果を最大にする就寝前のプロテイン摂取の方法論 

シリーズ⑦:筋トレの効果を最大にする運動強度(負荷)について知っておこう

シリーズ⑧:筋トレの効果を最大にする運動強度(負荷)の実践論

シリーズ⑨:筋トレの効果を最大にするセット数について知っておこう 

シリーズ⑩:筋トレの効果を最大にするセット間の休憩時間について知っておこう

シリーズ⑪:筋トレの効果を最大にするトレーニングの頻度について知っておこう

シリーズ⑫:筋トレの効果を最大にするタンパク質の品質について知っておこう

シリーズ⑬:筋トレの効果を最大にするロイシンについて知っておこう

シリーズ⑭:筋トレの効果を最大にするタンパク質の摂取方法まとめ

シリーズ⑮:筋トレの効果を最大にするベータアラニンについて知っておこう

シリーズ⑯:いつまでも若々しい筋肉を維持するためには筋トレだけじゃ不十分?

シリーズ⑰:筋トレの効果を最大にするセット数について知っておこう(2017年7月版) 

シリーズ⑱:筋トレとアルコール摂取の残酷な真実

シリーズ⑲:筋トレの効果を最大にするタンパク質の摂取量を知っておこう(2017年7月版)

シリーズ⑳:長生きの秘訣は筋トレにある

シリーズ㉑:筋トレの最適な負荷量を知っておこう(2017年8月版)

シリーズ㉒:筋トレが不安を解消するエビデンス

シリーズ㉓:筋肉量を維持しながらダイエットする方法論

シリーズ㉔:プロテインの摂取はトレーニング前と後のどちらが効果的?

シリーズ㉕:筋トレの前にストレッチングをしてはいけない理由

シリーズ㉖:筋トレの効果を最大にするウォームアップの方法を知っておこう

シリーズ㉗:筋トレの効果を最大にするセット間の休憩時間を知っておこう(2017年9月版)

シリーズ㉘:BCAAが筋肉痛を回復させるエビデンス

シリーズ㉙:筋トレの効果を最大にするタマゴの正しい食べ方

シリーズ㉚:筋トレが睡眠の質を高める〜世界初のエビデンスが明らかに

シリーズ㉛:筋肉の大きさから筋トレをデザインしよう

シリーズ㉜:HMBが筋トレの効果を高める理由~国際スポーツ栄養学会のガイドラインから最新のエビデンスまで

シリーズ㉝:筋トレの効果を高める最新の3つの考え方〜Schoenfeld氏のインタビューより

シリーズ㉞:筋トレによって脳が変わる〜最新のメカニズムが明らかに

シリーズ㉟:ホエイプロテインは食欲を抑える〜最新のエビデンスを知っておこう

シリーズ㊱:筋トレが病気による死亡率を減少させる幸福な真実

シリーズ㊲:プロテインは腎臓にダメージを与える?〜現代の科学が示すひとつの答え

シリーズ㊳:筋トレとアルコールの残酷な真実(続編)

シリーズ㊴:筋トレの効果を最大にする「関節を動かす範囲」について知っておこう

シリーズ㊵:筋トレが続かない理由〜ハーバード大学が明らかにした答えとは?

シリーズ㊶:筋トレと遺伝の本当の真実〜筋トレの効果は遺伝で決まる?

シリーズ㊷:エビデンスにもとづく筋肥大を最大化するための筋トレ・ガイドライン

シリーズ㊸:筋トレしてすぐの筋肥大は浮腫(むくみ)であるという残念な真実

シリーズ㊹:時間がないときにやるべき筋トレメニューとは〜その科学的根拠があきらかに

シリーズ㊺:筋トレの効果を最大にする新しいトレーニングプログラムの考え方を知っておこう

シリーズ㊻:筋トレは心臓も強くする〜最新のエビデンスが明らか筋トレ後のアルコール摂取が筋力の回復を妨げる?〜最新の研究結果を知っておこう

シリーズ㊼:プロテインは骨をもろくする?〜最新の研究結果を知っておこう

シリーズ㊽:コーヒーが筋トレのパフォーマンスを高める〜その科学的根拠を知っておこう

シリーズ㊾:睡眠不足は筋トレの効果を低下させる~その科学的根拠を知っておこう

シリーズ㊿:イメージトレーニングが筋トレの効果を高める〜その科学的根拠を知っておこう

シリーズ51:筋トレ後のアルコール摂取が筋力の回復を妨げる?〜最新の研究結果を知っておこう

シリーズ52:筋トレ後のタンパク質の摂取は「24時間」を意識するべき理由

シリーズ53:筋トレが高血圧を改善させる〜その科学的根拠を知っていこう

シリーズ54:ケガなどで筋トレできないときほどタンパク質を摂取するべきか?

シリーズ55:筋トレは脳卒中の発症リスクを高めるのか?〜筋トレによるリスクを知っておこう

シリーズ56:筋トレを続ける技術〜意志力をマネジメントしよう

シリーズ57:筋トレ後にプロテインを飲んですぐに仰向けに寝てはいけない理由

シリーズ58:筋トレは朝やるべきか、夕方やるべきか問題

シリーズ59:筋トレの効果を最大にする食品やプロテインの選ぶポイントを知っておこう

シリーズ60:ベンチプレスをするなら大胸筋損傷について知っておこう

シリーズ61:筋トレの効果を最大にするタンパク質の摂取パターンを知っておこう(2018年4月版)

シリーズ62:筋トレ後のタンパク質摂取に炭水化物(糖質)は必要ない?

シリーズ63:ホエイ・プロテインと筋トレ、ダイエット、健康についての最新のエビデンスまとめ

シリーズ64:筋トレの効果を最大にする「牛乳」の選び方を知っておこう

シリーズ65:そもそもプロテインの摂取は筋トレの効果を高めるのか?

シリーズ66:筋力を簡単にアップさせる方法~筋力と神経の関係を知っておこう

シリーズ67:筋力増強と筋肥大の効果を最大にするトレーニング強度の最新エビデンス

シリーズ68:筋トレは疲労困憊まで追い込むべきか?〜最新のエビデンスを知っていこう

シリーズ69:筋トレで疲労困憊まで追い込んではいけない理由(筋力増強編)

シリーズ70:筋トレで筋肥大の効果を最大にする「運動のスピード」を知っておこう

シリーズ71:筋トレで筋力増強の効果を最大にする「運動のスピード」を知っておこう

シリーズ72:ネガティブトレーニングは筋肥大に効果的なのか?〜最新エビデンスを知っておこう

シリーズ73:筋トレを続ける技術〜お金をもらえれば筋トレは継続できる?

シリーズ74:プロテインは腎臓にダメージを与える?〜ハーバード大学の見解と最新エビデンス

シリーズ75:筋トレによる筋肥大の効果は強度、回数、セット数を合わせた総負荷量によって決まる

シリーズ76:筋トレの効果を最大にするタンパク質の摂取方法まとめ(2018年8月版)

シリーズ77:筋トレとHMBの最新エビデンス(2018年8月版) 

シリーズ78:筋トレによる筋肉痛にもっとも効果的なアフターケアの最新エビデンス

シリーズ79:筋肥大のメカニズムから筋トレをデザインしよう

シリーズ80:筋トレの効果を最大にする週の頻度(週に何回?)の最新エビデンス

シリーズ81:筋トレ後のクールダウンに効果なし?〜最新のレビュー結果を知っておこう

シリーズ82:筋トレの総負荷量と疲労の関係からトレーニングをデザインしよう

シリーズ83:筋トレのパフォーマンスを最大にするクレアチンの最新エビデンス

シリーズ84:筋トレのあとは風邪をひきやすくなる?〜最新エビデンスと対処法

シリーズ85:筋トレのパフォーマンスを最大にするカフェインの最新エビデンス

シリーズ86:筋トレとグルタミンの最新エビデンス

シリーズ87:筋トレとアルギニンの最新エビデンス

シリーズ88:筋トレとシトルリンの最新エビデンス

シリーズ89:筋トレするなら知っておきたいサプリメントの最新エビデンスまとめ

シリーズ90:筋トレをするとモテる本当の理由

シリーズ91:高タンパク質は腎臓にダメージを与えない〜最新エビデンスが明らかに

シリーズ92:筋トレするなら知っておきたい食事のキホン〜ハーバード流の食事プレート

シリーズ93:筋トレを続ける技術〜マシュマロ・テストを攻略しよう

シリーズ94:スクワットのフォームの基本を知っておこう【スクワットの科学】 

シリーズ95:スクワットのフォームによって筋肉の活動が異なる理由

シリーズ96:スクワットの効果を最大にするスタンス幅と足部の向きを知っておこう

シリーズ97:ベンチプレスのフォームの基本を知っておこう【ベンチプレスの科学】

シリーズ98:ヒトはベンチプレスをするために進化してきた【ベンチプレスの科学】

シリーズ99:デッドリフトのフォームの基本を知っておこう【デッドリフトの科学】

シリーズ100:デッドリフトのリフティングの基本を知っておこう【デッドリフトの科学】

シリーズ101:筋トレを続ける技術~脳をハックしよう!

シリーズ102:腕立て伏せの回数と握力から心臓病のリスクを知ろう!

シリーズ103:筋トレは朝やるべきか、夕方やるべきか?〜最新エビデンスを知っておこう

シリーズ104:筋トレによる筋肥大の効果は「週のトレーニング量」で決まる!【最新エビデンス

 

 

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◆ 参考論文
Stubbs B, et al. An examination of the anxiolytic effects of exercise for people with anxiety and stress-related disorders: A meta-analysis. Psychiatry Res. 2017 Mar;249:102-108.

Gordon BR, et al. The Effects of Resistance Exercise Training on Anxiety: A Meta-Analysis and Meta-Regression Analysis of Randomized Controlled Trials. Sports Med. 2017 Aug 17. doi: 10.1007/s40279-017-0769-0.

Herring MP, et al. The effects of exercise training on anxiety. Am J Lifestyle Med. 2014 8 (6), 388–403.

Alvares GA, et al. Autonomic nervous system dysfunction in psychiatric disorders and the impact of psychotropic medications: a systematic review and meta-analysis. J Psychiatry Neurosci. 2016 Mar;41(2):89-104.

 
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筋トレが睡眠の質を高める〜世界初のエビデンスが明らかに

 

 2017年7月のTime誌にある精神科医の話が掲載されていました。

 

 精神科医のオークランダー氏は、多忙な仕事と不規則な生活から肉体と精神の不調を感じていました。そこで、かねてから自分が患者に「運動の重要性」を説いていたように、自分もトレーナーをつけて筋トレを始めてみたのです。

 

 筋トレを初めて1ヶ月後、オークラウンダー氏は自身の変化についてこのように述べています。

 

 「睡眠時間が少ないにもかかわらず、ぐっすりと眠れるようになりました。そしてエネルギーに満ち溢れている自分に気づきました」

 

 このコメントを裏付けるように、2017年7月、世界で初めてレジスタンストレーニング(筋トレ)と睡眠についてのシステマティックレビューが雑誌Sleep Medicine Reviewsに掲載されたのです。

✻システマティックレビューとは、質の高い研究データを集め分析した、もっともエビデンスレベルの高い報告。

 

 著者であるマックマスター大学のKovacevicらはレビューでこう結論づけています。

 

 「レジスタンストレーニングは、睡眠の質を大きく改善させる」

 

 今回は、Kovacevicらのレビューをご紹介しながら、筋トレと睡眠について考察していきましょう。

 

Table of contents

◆ 睡眠の質について3分で理解しよう
◆ 筋トレが睡眠の質を高めるエビデンス
◆ 読んでおきたい記事
◆ 参考論文

 

 

 

◆ 睡眠の質について3分で理解しよう
 

 眠りが浅いとき、私たちは夢を見ます。夢を見るのは脳が覚醒時よりも強く活動しているためです。脳は活動しているのですが、身体の筋肉はゆるんで運動機能は停止しているため、外見的には寝ているように見えます。

 

 この時間帯を「レム睡眠」といいます。

 

 深い眠りになると脳の活動も収まり、いわゆるぐっすり寝ている状態になります。

 

 この時間帯を「ノンレム睡眠」といいます。

 

 起こされて寝ぼけた状態になるのは、深い眠りであるノンレム睡眠のときに起こされるからです。

 

 通常の睡眠では、就寝から間もなく深い眠り(ノンレム睡眠)に入り、90分ほどで浅い眠り(レム睡眠)に移行し、これを繰り繰り返しています。

 

 睡眠をさらに詳しく調べてみると、5段階の睡眠構造(sleep architecture)に分類することができます。


f:id:uta-huuta-maro-ojyou:20200703065815j:image

Fig.1:Ohayon MM, 2004より筆者作成

 

 ノンレム睡眠は、浅いノンレム睡眠であるステージ1とステージ2、深いノンレム睡眠である徐波睡眠(ステージ3、4に相当)に分けられます。

 

 睡眠の質(Quality of Sleep)の良し悪しは、この睡眠構造の度合いで判断することができます。とくに深いノンレム睡眠である徐波睡眠が多くなることは深く眠れることを意味しており、睡眠の質が高いことを示します。

 

 では、いくつか例を見ていきましょう。

 

 一般的に加齢によって睡眠の質は低下します。これは入眠潜時(眠りに入るまでの時間)の延長、浅いノンレム睡眠(ステージ1〜2)の増加、深いノンレム睡眠(徐波睡眠)の減少によって特徴づけられています(Ohayon MM, 2004)。


f:id:uta-huuta-maro-ojyou:20200703065958j:image

Fig.2:Ohayon MM, 2004より筆者作成

 

 高齢になると寝付きが悪くなり、睡眠時間が多いにも関わらず熟睡感が得られにくいという訴えが多く聞かれます。これは入眠潜時の延長と徐波睡眠の減少に要因があるのです。

 

 また、睡眠における男女の性差も睡眠構造によって特徴づけることができます。女性は男性に比べて、全体の睡眠時間は少ない傾向にありますが、浅いノンレム睡眠(ステージ1)が少なく、深いノンレム睡眠(徐波睡眠)が多いことがわかっています(Walsleben JA, 2004)。


f:id:uta-huuta-maro-ojyou:20200703070014j:image

Fig.3:Walsleben JA, 2004より筆者作成

 

 女性は男性よりも睡眠時間が少ない代わりに、徐波睡眠が多くなる傾向があるため、深く眠ることができるのです。

 

 それでは、筋トレは睡眠の質にどのような影響を与えるのでしょうか?

 

 

 

 

◆ 筋トレが睡眠の質を高めるエビデンス
 

 運動が睡眠に良い影響を与えるエビデンスの多くは、ジョギングなどの有酸素運動に限られており、レジスタンストレーニングによるエビデンスは示されていませんでした。

 

 そのような中、マックマスター大学のKovacevicらは、2017年7月、レジスタンストレーニングと睡眠に関する13もの研究報告をまとめたシステマティックレビューを発表したのです。

 

 その結論はとてもシンプルなものでした。

 

 「レジスタンストレーニングは睡眠の量は増やさないが、睡眠の質を高める」

 

 習慣的にレジスタンストレーニングを行っている場合、睡眠時間は増えませんが、浅いノンレム睡眠(ステージ1)を減少させ、深いノンレム睡眠(徐波睡眠)を増加させることが示されました。


f:id:uta-huuta-maro-ojyou:20200703070109j:image

Fig.4:Kovacevic A, 2017より筆者作成

 

 ノンレム睡眠のステージ1の減少と徐波睡眠の増加は「深い睡眠」を意味します。つまり、レジスタンストレーニングは睡眠の質を高めることが示唆されたのです。

 

 またKovacevicらは、レジスタンストレーニングの総負荷量、頻度が睡眠に与える影響についても統計的な解析を行いました。

 

 その結果、睡眠の質はトレーニングの「量」に依存することがわかったのです。

 

 総負荷量は運動強度に運動回数を乗じた値です。睡眠の質は、少ない総負荷量よりも高い総負荷量で改善し、少ない頻度(週1〜2回)よりも多い頻度(週3回)で改善することが示されました。


f:id:uta-huuta-maro-ojyou:20200703070322j:image

Fig.5:Kovacevic A, 2017より筆者作成

 

 トレーニングの総負荷量、多い頻度といった因子によって睡眠の質は高まるのです。

 

 では、どのようなメカニズムによってレジスタンストレーニングは睡眠の質を改善させるのでしょうか?

 

 レジスタンストレーニングを行うことによって、睡眠中の体温が上昇することがわかっています。この体温の上昇が深いノンレム睡眠(徐波睡眠)を誘発させると推察されています(Shioda K, 2012)。

 

 また、2005年のメタアナリシスでは、トレーニングによる心拍数の増加が迷走神経を活性化させ、睡眠時の心拍数が低下することによって睡眠の質が改善されると推察されています(Sandercock GR, 2005)。

✻メタアナリシスとは質の高い研究データを集め統計解析した、もっともエビデンスレベルの高い報告。

 

 さらに、レジスタンストレーニングは不安を解消することがわかっています。このような気分の改善は、脳由来の神経栄養因子(BDNF)を増加させ、これが睡眠の質の改善に寄与することが示唆されています(Brosse AL, 2002)。

『筋トレが不安を解消するエビデンス

 

 その他にもトレーニングによるグルコース代謝、成長ホルモンの増加などが睡眠の質を改善させると推察されていますが、これらの実証にはさらなる検証が必要であるとKovacevicらは述べています。


f:id:uta-huuta-maro-ojyou:20200703070323j:image

Fig.6:Uchida S, 2012より筆者作成

 

 

 Kovacevicらのレビューは、世界で初めてレジスタンストレーニングが睡眠の質を高めるというエビデンスを示しました。

 

 トレーニングが深い睡眠である徐波睡眠を増やす効果には、トレーニングによる体温の上昇や心拍数の減少などのいくつかの要因が関与していることが推測されています。そして睡眠の質の向上は、トレーニングの総負荷量や頻度などの量によって依存します。習慣的に多くの量をトレーニングすることによって、睡眠の質が高まることが示唆されているのです。

 

 狩猟採集時代、ヒトは身体を動かし、筋肉を使うことで狩りを行い、生き延びてきました。しっかりと筋肉を回復させるためには、夜間の睡眠が重要だったのです。そう考えると、筋トレが睡眠を促す「スイッチ」になってもおかしくはないでしょう。ヒトは筋肉を使うことで睡眠を誘発する仕組みを、進化の過程で獲得してきたのかもしれません。 

 

 

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◆ 読んでおきたい記事
シリーズ①:筋肉を増やすための栄養摂取のメカニズムを理解しよう

シリーズ②:筋トレの効果を最大にするタンパク質の摂取量を知っておこう

シリーズ③:筋トレの効果を最大にするタンパク質の摂取タイミングを知っておこう

シリーズ④:筋トレの効果を最大にするタンパク質の摂取パターンを知っておこう

シリーズ⑤:筋トレの効果を最大にする就寝前のプロテイン摂取を知っておこう

シリーズ⑥:筋トレの効果を最大にする就寝前のプロテイン摂取の方法論 

シリーズ⑦:筋トレの効果を最大にする運動強度(負荷)について知っておこう

シリーズ⑧:筋トレの効果を最大にする運動強度(負荷)の実践論

シリーズ⑨:筋トレの効果を最大にするセット数について知っておこう 

シリーズ⑩:筋トレの効果を最大にするセット間の休憩時間について知っておこう

シリーズ⑪:筋トレの効果を最大にするトレーニングの頻度について知っておこう

シリーズ⑫:筋トレの効果を最大にするタンパク質の品質について知っておこう

シリーズ⑬:筋トレの効果を最大にするロイシンについて知っておこう

シリーズ⑭:筋トレの効果を最大にするタンパク質の摂取方法まとめ

シリーズ⑮:筋トレの効果を最大にするベータアラニンについて知っておこう

シリーズ⑯:いつまでも若々しい筋肉を維持するためには筋トレだけじゃ不十分?

シリーズ⑰:筋トレの効果を最大にするセット数について知っておこう(2017年7月版) 

シリーズ⑱:筋トレとアルコール摂取の残酷な真実

シリーズ⑲:筋トレの効果を最大にするタンパク質の摂取量を知っておこう(2017年7月版)

シリーズ⑳:長生きの秘訣は筋トレにある

シリーズ㉑:筋トレの最適な負荷量を知っておこう(2017年8月版)

シリーズ㉒:筋トレが不安を解消するエビデンス

シリーズ㉓:筋肉量を維持しながらダイエットする方法論

シリーズ㉔:プロテインの摂取はトレーニング前と後のどちらが効果的?

シリーズ㉕:筋トレの前にストレッチングをしてはいけない理由

シリーズ㉖:筋トレの効果を最大にするウォームアップの方法を知っておこう

シリーズ㉗:筋トレの効果を最大にするセット間の休憩時間を知っておこう(2017年9月版)

シリーズ㉘:BCAAが筋肉痛を回復させるエビデンス

シリーズ㉙:筋トレの効果を最大にするタマゴの正しい食べ方

シリーズ㉚:筋トレが睡眠の質を高める〜世界初のエビデンスが明らかに

シリーズ㉛:筋肉の大きさから筋トレをデザインしよう

シリーズ㉜:HMBが筋トレの効果を高める理由~国際スポーツ栄養学会のガイドラインから最新のエビデンスまで

シリーズ㉝:筋トレの効果を高める最新の3つの考え方〜Schoenfeld氏のインタビューより

シリーズ㉞:筋トレによって脳が変わる〜最新のメカニズムが明らかに

シリーズ㉟:ホエイプロテインは食欲を抑える〜最新のエビデンスを知っておこう

シリーズ㊱:筋トレが病気による死亡率を減少させる幸福な真実

シリーズ㊲:プロテインは腎臓にダメージを与える?〜現代の科学が示すひとつの答え

シリーズ㊳:筋トレとアルコールの残酷な真実(続編)

シリーズ㊴:筋トレの効果を最大にする「関節を動かす範囲」について知っておこう

シリーズ㊵:筋トレが続かない理由〜ハーバード大学が明らかにした答えとは?

シリーズ㊶:筋トレと遺伝の本当の真実〜筋トレの効果は遺伝で決まる?

シリーズ㊷:エビデンスにもとづく筋肥大を最大化するための筋トレ・ガイドライン

シリーズ㊸:筋トレしてすぐの筋肥大は浮腫(むくみ)であるという残念な真実

シリーズ㊹:時間がないときにやるべき筋トレメニューとは〜その科学的根拠があきらかに

シリーズ㊺:筋トレの効果を最大にする新しいトレーニングプログラムの考え方を知っておこう

シリーズ㊻:筋トレは心臓も強くする〜最新のエビデンスが明らか筋トレ後のアルコール摂取が筋力の回復を妨げる?〜最新の研究結果を知っておこう

シリーズ㊼:プロテインは骨をもろくする?〜最新の研究結果を知っておこう

シリーズ㊽:コーヒーが筋トレのパフォーマンスを高める〜その科学的根拠を知っておこう

シリーズ㊾:睡眠不足は筋トレの効果を低下させる~その科学的根拠を知っておこう

シリーズ㊿:イメージトレーニングが筋トレの効果を高める〜その科学的根拠を知っておこう

シリーズ51:筋トレ後のアルコール摂取が筋力の回復を妨げる?〜最新の研究結果を知っておこう

シリーズ52:筋トレ後のタンパク質の摂取は「24時間」を意識するべき理由

シリーズ53:筋トレが高血圧を改善させる〜その科学的根拠を知っていこう

シリーズ54:ケガなどで筋トレできないときほどタンパク質を摂取するべきか?

シリーズ55:筋トレは脳卒中の発症リスクを高めるのか?〜筋トレによるリスクを知っておこう

シリーズ56:筋トレを続ける技術〜意志力をマネジメントしよう

シリーズ57:筋トレ後にプロテインを飲んですぐに仰向けに寝てはいけない理由

シリーズ58:筋トレは朝やるべきか、夕方やるべきか問題

シリーズ59:筋トレの効果を最大にする食品やプロテインの選ぶポイントを知っておこう

シリーズ60:ベンチプレスをするなら大胸筋損傷について知っておこう

シリーズ61:筋トレの効果を最大にするタンパク質の摂取パターンを知っておこう(2018年4月版)

シリーズ62:筋トレ後のタンパク質摂取に炭水化物(糖質)は必要ない?

シリーズ63:ホエイ・プロテインと筋トレ、ダイエット、健康についての最新のエビデンスまとめ

シリーズ64:筋トレの効果を最大にする「牛乳」の選び方を知っておこう

シリーズ65:そもそもプロテインの摂取は筋トレの効果を高めるのか?

シリーズ66:筋力を簡単にアップさせる方法~筋力と神経の関係を知っておこう

シリーズ67:筋力増強と筋肥大の効果を最大にするトレーニング強度の最新エビデンス

シリーズ68:筋トレは疲労困憊まで追い込むべきか?〜最新のエビデンスを知っていこう

シリーズ69:筋トレで疲労困憊まで追い込んではいけない理由(筋力増強編)

シリーズ70:筋トレで筋肥大の効果を最大にする「運動のスピード」を知っておこう

シリーズ71:筋トレで筋力増強の効果を最大にする「運動のスピード」を知っておこう

シリーズ72:ネガティブトレーニングは筋肥大に効果的なのか?〜最新エビデンスを知っておこう

シリーズ73:筋トレを続ける技術〜お金をもらえれば筋トレは継続できる?

シリーズ74:プロテインは腎臓にダメージを与える?〜ハーバード大学の見解と最新エビデンス

シリーズ75:筋トレによる筋肥大の効果は強度、回数、セット数を合わせた総負荷量によって決まる

シリーズ76:筋トレの効果を最大にするタンパク質の摂取方法まとめ(2018年8月版)

シリーズ77:筋トレとHMBの最新エビデンス(2018年8月版) 

シリーズ78:筋トレによる筋肉痛にもっとも効果的なアフターケアの最新エビデンス

シリーズ79:筋肥大のメカニズムから筋トレをデザインしよう

シリーズ80:筋トレの効果を最大にする週の頻度(週に何回?)の最新エビデンス

シリーズ81:筋トレ後のクールダウンに効果なし?〜最新のレビュー結果を知っておこう

シリーズ82:筋トレの総負荷量と疲労の関係からトレーニングをデザインしよう

シリーズ83:筋トレのパフォーマンスを最大にするクレアチンの最新エビデンス

シリーズ84:筋トレのあとは風邪をひきやすくなる?〜最新エビデンスと対処法

シリーズ85:筋トレのパフォーマンスを最大にするカフェインの最新エビデンス

シリーズ86:筋トレとグルタミンの最新エビデンス

シリーズ87:筋トレとアルギニンの最新エビデンス

シリーズ88:筋トレとシトルリンの最新エビデンス

シリーズ89:筋トレするなら知っておきたいサプリメントの最新エビデンスまとめ

シリーズ90:筋トレをするとモテる本当の理由

シリーズ91:高タンパク質は腎臓にダメージを与えない〜最新エビデンスが明らかに

シリーズ92:筋トレするなら知っておきたい食事のキホン〜ハーバード流の食事プレート

シリーズ93:筋トレを続ける技術〜マシュマロ・テストを攻略しよう

シリーズ94:スクワットのフォームの基本を知っておこう【スクワットの科学】 

シリーズ95:スクワットのフォームによって筋肉の活動が異なる理由

シリーズ96:スクワットの効果を最大にするスタンス幅と足部の向きを知っておこう

シリーズ97:ベンチプレスのフォームの基本を知っておこう【ベンチプレスの科学】

シリーズ98:ヒトはベンチプレスをするために進化してきた【ベンチプレスの科学】

シリーズ99:デッドリフトのフォームの基本を知っておこう【デッドリフトの科学】

シリーズ100:デッドリフトのリフティングの基本を知っておこう【デッドリフトの科学】

シリーズ101:筋トレを続ける技術~脳をハックしよう!

シリーズ102:腕立て伏せの回数と握力から心臓病のリスクを知ろう!

シリーズ103:筋トレは朝やるべきか、夕方やるべきか?〜最新エビデンスを知っておこう

シリーズ104:筋トレによる筋肥大の効果は「週のトレーニング量」で決まる!【最新エビデンス

 

 

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◆ 参考論文
Kovacevic A, et al. The effect of resistance exercise on sleep: A systematic review of randomized controlled trials. Sleep Med Rev. 2017 Jul 19. pii: S1087-0792(16)30152-6.

Ohayon MM, et al. Meta-analysis of quantitative sleep parameters from childhood to old age in healthy individuals: developing normative sleep values across the human lifespan. Sleep. 2004 Nov 1;27(7):1255-73.

Walsleben JA, et al. Sleep and reported daytime sleepiness in normal subjects: the Sleep Heart Health Study. Sleep. 2004 Mar 15;27(2):293-8.

Uchida S, et al. Exercise effects on sleep physiology. Front Neurol. 2012 Apr 2;3:48.

Shioda K, et al. The effect of acute high-intensity exercise on following night sleep. J. Japanese Soc. Clin. Sports Med. 2012.

Sandercock GR, et al. Effects of exercise on heart rate variability: inferences from meta-analysis. Med Sci Sports Exerc. 2005 Mar;37(3):433-9.

Brosse AL, et al. Exercise and the treatment of clinical depression in adults: recent findings and future directions. Sports Med. 2002;32(12):741-60.

Carskadon MA, et al. Monitoring and staging human sleep. Principles and practice of sleep medicine. 5th ed. St. Louis: Elsevier Saunders; 2011. p. 16-26.

 
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筋トレを続ける技術~脳をハックしよう!

 

 筋トレは、外見上の魅力を高め(モテる)、睡眠の質を上げ、不安な気持ちを払拭し、病気に負けない身体を与えてくれるなど、多くの素晴らしい効果が報告されています。

『筋トレをするとモテる本当の理由』

『筋トレが睡眠の質を高める〜世界初のエビデンスが明らかに』

『筋トレが不安を解消するエビデンス

『筋トレが病気による死亡率を減少させる幸福な真実』

 

 これだけのリターンがあるにも関わらず、僕たちは筋トレを続けることができません。それは、なぜなのでしょうか?

 

 この問いに、ハーバード大学の人類進化生物学者であるDaniell Liebermanはこう答えています。      

 

 「そもそも、ヒトは筋トレをするようにはデザインされていない」

 

 現代の進化論は、僕たちの身体や心は約200万年という長い旧石器時代に適応したままであることが多くの知見から示唆しています。旧石器時代は食料が乏しく、エネルギーを狩猟採集活動に優先的に費やすために、余暇の時間で筋トレをすることなどありえなかったのです。そのため旧石器時代の生活に適応したままの僕たちの心は、仕事を終えて、ジムに向かおうとすると、こう語りかけてくるのです。

 

 「ジムは今度でいいんじゃない?今はゴロゴロして仕事の疲れを癒そうよ!」

 

 これが筋トレを続けられない理由です。ジムに行かないで、ゴロゴロすることには進化論的な合理性があるのです。

『筋トレが続かない理由〜ハーバード大学が明らかにした答えとは?』

 

 しかし、これでは運動不足による生活習慣病を招いてしまいます。

 

 そこで、筋トレを続けるための方法論について、社会心理学行動経済学発達心理学といったさまざまな科学が研究結果を報告しています。

『筋トレを続ける技術〜意志力をマネジメントしよう』

『筋トレを続ける技術〜お金をもらえれば筋トレは継続できる?』

『筋トレを続ける技術〜マシュマロ・テストを攻略しよう』

 

 今回は、筋トレを続ける技術について、脳科学の分野から考察していきましょう。現代の脳科学は筋トレを続けるための秘訣をこう述べています。

 

 「脳をハックしろ!」

 

 

Table of contents

◆ 好きだからドキドキするのか、ドキドキするから好きのか問題
◆ 脳をハックする方法
◆ 読んでおきたい記事
◆ 参考論文

 


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◆ 好きだからドキドキするのか、ドキドキするから好きのか問題
 

 「好きだからドキドキするのか、ドキドキするから好きのか?」

 

 一目惚れをするとき、そこに論理的な理由などありません。「○○で、☓☓だから好き」なのでなく、ひと目見て心臓の鼓動の高まりを感じ「これは恋だ!」と直感し、恋に落ちるのです。 

 

 感情という主観的なものを科学として扱うとき、重要となる概念が「情動」です。

 

 感情を理解するために、心理学では「好きだ」という感情を情動体験とし、「ドキドキする」という心拍数の高まりを情動表出として扱います。一目惚れは心拍数の高まりである情動表出が脳に伝達され、好きという情動体験として解釈されたと考えます。

 

 情動は、この情動表出と情動体験を合わせたものと定義されます。そしてドキドキするという情動体験は、いわゆる感情になります。なぜ、情動表出と情動体験をわけて考えるのかというと、この2つが異なる脳の回路によって処理されているからです。

 

 情動=情動表出+情動体験(感情)

 

 しかし、ここで疑問が生じます。

 

 では、僕たちのこころとは、ドキドキした心臓にあるのでしょうか?それともドキドキを好きだと解釈した脳にあるのでしょうか?

 

 この疑問について論争を繰り広げたのがWilliam James氏とWalter Cannon氏です。

 

 アメリカの心理学者William Jamesらは、外界からの何らかの情報がまず身体反応(心拍数や呼吸数の上昇、発汗など)を引き起こして、その変化を脳が察知することで情動が生じる「末梢起源説」を提唱しました。この説にもとづけば、「ドキドキするから好きになる」ということになります。


f:id:uta-huuta-maro-ojyou:20200703065240j:image

 末梢起源説を実験的に証明したのが有名な「吊橋実験」です。吊橋をわたり終えた男性は恐怖のあまり心臓のドキドキがおさまりません。そのとき、女性が連絡先を書いた紙をわたすと、普通の橋を渡った男性よりも多くの連絡がきました。これは吊橋の恐怖による心拍数の変化(情動表出)を脳が「これは恋なのでは?」と誤って認知した結果であると考えられています。

 

 これに対して、生理学者のWalter Cannonらは、動物の脳と脊髄を切り離し、末梢の感覚情報が脳に伝わらないようにしても、動物には情動が見られたことから抹消起源説を否定しました。そして、情動は脳(中枢)に端を発し、身体の反応は脳からの信号を末梢臓器が受け止めて起こるという「中枢起源説」を提唱しました。この説では「好きだからドキドキする」ということになります。


f:id:uta-huuta-maro-ojyou:20200703065312j:image

 その後、さまざまな動物実験により、情動表出と情動体験は脳の異なる回路により生じることが明らかとなり、これをもとに情動は抹消と中枢の双方から影響を受けるという「シャクター・シンガーの情動の二因子理論」が提唱され、この論争に終止符が打たれたのです。

 

 つまり、脳は身体反応を生みますが(中枢起源説)、身体反応も脳に影響を与える(末梢起源説)ということです。現代の脳科学では「情動は脳で生成されるが、末梢(全身の器官)からも脳に情報がフィードバックされ情動を修飾し、変化させる」とされています。


f:id:uta-huuta-maro-ojyou:20200703065317j:image

 好きになるためにドキドキする必要はありませんが、「ドキドキすることによって好きな気持ちはますます強くなる」のです。

 

 では、筋トレの「やる気」という情動についてはどうでしょうか。

 

 僕たちは、やる気があるから筋トレをするのでしょうか?

 

 それとも、筋トレをするからやる気になるのでしょうか?

 

 

 

 

◆ 脳をハックする方法
 

 仕事を終えて、「今日はジムにいくぞ!」と心に決めて家路につきます。家につくと、ソファーに腰掛けてホッとひと息。何気なくテレビを見始め、スマホSNSをしながらゴロゴロしている間に、ジムに行きそびれてしまいます。

 

 現代の進化論は、このようにジムに行かないでゴロゴロしてしまうことを「正常である」といいます。これは、現代の脳科学においても証明されつつあります。

 

 ヒトは、自分の生存や子孫繁栄にとって重要となる食事や生殖活動を行うと「快感」といった報酬を感じるようにデザインされています。美味しい食事や好きな人とのデートで気分が良くなるのは脳にある「報酬系」という仕組みがドライブされているからです。

 

 そして、報酬系においてもっとも重要になるのが「ドーパミン」です。

 

 ドーパミン腹側被蓋野にあるドーパミン作動性ニューロンによってつくられる神経伝達物質です。これらのニューロンは、前頭前野、前帯状回扁桃体、海馬、側坐核といった部位と神経回路がつながっています。


f:id:uta-huuta-maro-ojyou:20200703065355j:image

 

 ドーパミン前頭前野に放出されると「気持ちよい」という情動が認知されます。さらにドーパミン側坐核に放出されると、その放出に至った原因となった(と脳が認知した)行動が「強化」されます。ヒトは生存や子孫繁栄に寄与する基本的欲求につながる行動を強化するためにこのような報酬系の仕組みを作り上げているのです。

 

 そして、近年の脳科学の研究では、ゴロゴロしているときにも脳の報酬系がドライブされていることを明らかにしつつあります。

 

 2018年、ジュネーブ大学のChevalらは、ゴロゴロすることによる脳の神経活動について調査したシステマティックレビューを報告しており、座ったりゴロゴロ寝転んで休むときに脳の報酬系が活性化されることを示唆しています(Cheval B, 2018)。これは、ゴロゴロすることが生存にとって必要な行為であると脳が判断していることを意味します。つまり、ゴロゴロしたいという欲求は食欲などと同じように「正常なこと」なのです。

 

 脳の仕組みも石器時代に最適化されたままであり、僕たちがジムに行こうとしてもゴロゴロすることにより脳の報酬系がドライブされ「ジムは明日にしよ」という判断がくだされてしまうのです。

 

 では、ゴロゴロすることによる報酬系のドライブを回避し、ジムに行くためにはどうすれば良いのでしょうか?

 

 この問に脳科学はこう答えます。

 

 「ドーパミンをハックしよう」

 

 ドーパミンは脳の報酬系をドライブする神経伝達物質です。ドーパミン腹側被蓋野ニューロンにより放出されるため、ある方法によりドーパミンの放出を促進できればゴロゴロによる快楽を遮断できるはずです。

 

 その方法が「立ち上がって、歩きだそう」です。

 

 「え?歩くだけ?」と思われるかもしれませんが、姿勢を変え、歩き始めることにより、腹側被蓋野が活性化し、ドーパミンが放出されることが動物実験により推察されています。

 

 立ち上がったり、歩き始めるときには、大脳皮質にある運動野および運動関連領野の活性化が生じ、その神経活動が中脳にある歩行誘発野といわれる楔状核、脚橋被蓋核へ伝達されます。脚橋被蓋核が活性化されるとアセチルコリングルタミン酸が放出され、腹側被蓋野黒質が活性化しドーパミンの放出が促進されます。腹側被蓋野から前頭前野ドーパミンが放出されると「行動覚醒」が生じ(Takakusaki K, 2003)、ゴロゴロによる「快楽」を遮断できる可能性があるのです。


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 そして、歩き始めたら、ジムに行くことにつながるような「小さな目的」を達成するようにしましょう。例えば、荷物の準備をする、コーヒーを入れる、トイレに行くなど、小さな目的を遂行するようにします。目的を達成すると、さらに腹側被蓋野からのドーパミンの放出が促進され、前頭前野による行動覚醒が強化されるとともに、今度は側坐核が活性化され行動を強化します。これは少し掃除をすると、スイッチが入ったようにいろいろなところまで掃除してしまう現象からも説明されています。

 

 立ち上がり、歩き出すことでドーパミンの放出を高めて行動覚醒を生じさせ、その後に小さな目的を達成することでさらに行動を強化させる。これによりゴロゴロしたいという欲求を遮断し、筋トレをしようという情動を活性化させ、ジムに向けて出発することができるのです。

 

 これが脳科学が「ドーパミン(脳)をハックしよう」という理由です。

 

 僕たちは、好きだとドキドキし(中枢起源説)、ドキドキすると好きだと感じます(末梢起源説)。

 

 同じように、僕たちは、やる気があると筋トレをしますが、「筋トレをしようと行動することによってもやる気がでる」のです。

 

 

◇ 参考図書

「こころ」はいかにして生まれるのか 最新脳科学で解き明かす「情動」 (ブルーバックス)作者: 櫻井武
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◆ 読んでおきたい記事
シリーズ①:筋肉を増やすための栄養摂取のメカニズムを理解しよう

シリーズ②:筋トレの効果を最大にするタンパク質の摂取量を知っておこう

シリーズ③:筋トレの効果を最大にするタンパク質の摂取タイミングを知っておこう

シリーズ④:筋トレの効果を最大にするタンパク質の摂取パターンを知っておこう

シリーズ⑤:筋トレの効果を最大にする就寝前のプロテイン摂取を知っておこう

シリーズ⑥:筋トレの効果を最大にする就寝前のプロテイン摂取の方法論 

シリーズ⑦:筋トレの効果を最大にする運動強度(負荷)について知っておこう

シリーズ⑧:筋トレの効果を最大にする運動強度(負荷)の実践論

シリーズ⑨:筋トレの効果を最大にするセット数について知っておこう 

シリーズ⑩:筋トレの効果を最大にするセット間の休憩時間について知っておこう

シリーズ⑪:筋トレの効果を最大にするトレーニングの頻度について知っておこう

シリーズ⑫:筋トレの効果を最大にするタンパク質の品質について知っておこう

シリーズ⑬:筋トレの効果を最大にするロイシンについて知っておこう

シリーズ⑭:筋トレの効果を最大にするタンパク質の摂取方法まとめ

シリーズ⑮:筋トレの効果を最大にするベータアラニンについて知っておこう

シリーズ⑯:いつまでも若々しい筋肉を維持するためには筋トレだけじゃ不十分?

シリーズ⑰:筋トレの効果を最大にするセット数について知っておこう(2017年7月版) 

シリーズ⑱:筋トレとアルコール摂取の残酷な真実

シリーズ⑲:筋トレの効果を最大にするタンパク質の摂取量を知っておこう(2017年7月版)

シリーズ⑳:長生きの秘訣は筋トレにある

シリーズ㉑:筋トレの最適な負荷量を知っておこう(2017年8月版)

シリーズ㉒:筋トレが不安を解消するエビデンス

シリーズ㉓:筋肉量を維持しながらダイエットする方法論

シリーズ㉔:プロテインの摂取はトレーニング前と後のどちらが効果的?

シリーズ㉕:筋トレの前にストレッチングをしてはいけない理由

シリーズ㉖:筋トレの効果を最大にするウォームアップの方法を知っておこう

シリーズ㉗:筋トレの効果を最大にするセット間の休憩時間を知っておこう(2017年9月版)

シリーズ㉘:BCAAが筋肉痛を回復させるエビデンス

シリーズ㉙:筋トレの効果を最大にするタマゴの正しい食べ方

シリーズ㉚:筋トレが睡眠の質を高める〜世界初のエビデンスが明らかに

シリーズ㉛:筋肉の大きさから筋トレをデザインしよう

シリーズ㉜:HMBが筋トレの効果を高める理由~国際スポーツ栄養学会のガイドラインから最新のエビデンスまで

シリーズ㉝:筋トレの効果を高める最新の3つの考え方〜Schoenfeld氏のインタビューより

シリーズ㉞:筋トレによって脳が変わる〜最新のメカニズムが明らかに

シリーズ㉟:ホエイプロテインは食欲を抑える〜最新のエビデンスを知っておこう

シリーズ㊱:筋トレが病気による死亡率を減少させる幸福な真実

シリーズ㊲:プロテインは腎臓にダメージを与える?〜現代の科学が示すひとつの答え

シリーズ㊳:筋トレとアルコールの残酷な真実(続編)

シリーズ㊴:筋トレの効果を最大にする「関節を動かす範囲」について知っておこう

シリーズ㊵:筋トレが続かない理由〜ハーバード大学が明らかにした答えとは?

シリーズ㊶:筋トレと遺伝の本当の真実〜筋トレの効果は遺伝で決まる?

シリーズ㊷:エビデンスにもとづく筋肥大を最大化するための筋トレ・ガイドライン

シリーズ㊸:筋トレしてすぐの筋肥大は浮腫(むくみ)であるという残念な真実

シリーズ㊹:時間がないときにやるべき筋トレメニューとは〜その科学的根拠があきらかに

シリーズ㊺:筋トレの効果を最大にする新しいトレーニングプログラムの考え方を知っておこう

シリーズ㊻:筋トレは心臓も強くする〜最新のエビデンスが明らかに

シリーズ㊼:プロテインは骨をもろくする?〜最新の研究結果を知っておこう

シリーズ㊽:コーヒーが筋トレのパフォーマンスを高める〜その科学的根拠を知っておこう

シリーズ㊾:睡眠不足は筋トレの効果を低下させる~その科学的根拠を知っておこう

シリーズ㊿:イメージトレーニングが筋トレの効果を高める〜その科学的根拠を知っておこう

シリーズ51:筋トレ後のアルコール摂取が筋力の回復を妨げる?〜最新の研究結果を知っておこう

シリーズ52:筋トレ後のタンパク質の摂取は「24時間」を意識するべき理由

シリーズ53:筋トレが高血圧を改善させる〜その科学的根拠を知っていこう

シリーズ54:ケガなどで筋トレできないときほどタンパク質を摂取するべきか?

シリーズ55:筋トレは脳卒中の発症リスクを高めるのか?〜筋トレによるリスクを知っておこう

シリーズ56:筋トレを続ける技術〜意志力をマネジメントしよう

シリーズ57:筋トレ後にプロテインを飲んですぐに仰向けに寝てはいけない理由

シリーズ58:筋トレは朝やるべきか、夕方やるべきか問題

シリーズ59:筋トレの効果を最大にする食品やプロテインの選ぶポイントを知っておこう

シリーズ60:ベンチプレスをするなら大胸筋損傷について知っておこう

シリーズ61:筋トレの効果を最大にするタンパク質の摂取パターンを知っておこう(2018年4月版)

シリーズ62:筋トレ後のタンパク質摂取に炭水化物(糖質)は必要ない?

シリーズ63:ホエイ・プロテインと筋トレ、ダイエット、健康についての最新のエビデンスまとめ

シリーズ64:筋トレの効果を最大にする「牛乳」の選び方を知っておこう

シリーズ65:そもそもプロテインの摂取は筋トレの効果を高めるのか?

シリーズ66:筋力を簡単にアップさせる方法~筋力と神経の関係を知っておこう

シリーズ67:筋力増強と筋肥大の効果を最大にするトレーニング強度の最新エビデンス

シリーズ68:筋トレは疲労困憊まで追い込むべきか?〜最新のエビデンスを知っていこう

シリーズ69:筋トレで疲労困憊まで追い込んではいけない理由(筋力増強編)

シリーズ70:筋トレで筋肥大の効果を最大にする「運動のスピード」を知っておこう

シリーズ71:筋トレで筋力増強の効果を最大にする「運動のスピード」を知っておこう

シリーズ72:ネガティブトレーニングは筋肥大に効果的なのか?〜最新エビデンスを知っておこう

シリーズ73:筋トレを続ける技術〜お金をもらえれば筋トレは継続できる?

シリーズ74:プロテインは腎臓にダメージを与える?〜ハーバード大学の見解と最新エビデンス

シリーズ75:筋トレによる筋肥大の効果は強度、回数、セット数を合わせた総負荷量によって決まる

シリーズ76:筋トレの効果を最大にするタンパク質の摂取方法まとめ(2018年8月版)

シリーズ77:筋トレとHMBの最新エビデンス(2018年8月版) 

シリーズ78:筋トレによる筋肉痛にもっとも効果的なアフターケアの最新エビデンス

シリーズ79:筋肥大のメカニズムから筋トレをデザインしよう

シリーズ80:筋トレの効果を最大にする週の頻度(週に何回?)の最新エビデンス

シリーズ81:筋トレ後のクールダウンに効果なし?〜最新のレビュー結果を知っておこう

シリーズ82:筋トレの総負荷量と疲労の関係からトレーニングをデザインしよう

シリーズ83:筋トレのパフォーマンスを最大にするクレアチンの最新エビデンス

シリーズ84:筋トレのあとは風邪をひきやすくなる?〜最新エビデンスと対処法

シリーズ85:筋トレのパフォーマンスを最大にするカフェインの最新エビデンス

シリーズ86:筋トレとグルタミンの最新エビデンス

シリーズ87:筋トレとアルギニンの最新エビデンス

シリーズ88:筋トレとシトルリンの最新エビデンス

シリーズ89:筋トレするなら知っておきたいサプリメントの最新エビデンスまとめ

シリーズ90:筋トレをするとモテる本当の理由

シリーズ91:高タンパク質は腎臓にダメージを与えない〜最新エビデンスが明らかに

シリーズ92:筋トレするなら知っておきたい食事のキホン〜ハーバード流の食事プレート

シリーズ93:筋トレを続ける技術〜マシュマロ・テストを攻略しよう

シリーズ94:スクワットのフォームの基本を知っておこう【スクワットの科学】

シリーズ95:スクワットのフォームによって筋肉の活動が異なる理由【スクワットの科学】

シリーズ96:スクワットの効果を最大にするスタンス幅と足部の向きを知っておこう【スクワットの科学】

シリーズ97:ベンチプレスのフォームの基本を知っておこう【ベンチプレスの科学】

シリーズ98:ヒトはベンチプレスをするために進化してきた【ベンチプレスの科学】

シリーズ99:デッドリフトのフォームの基本を知っておこう【デッドリフトの科学】

シリーズ100:デッドリフトのリフティングの基本を知っておこう【デッドリフトの科学】

シリーズ101:筋トレを続ける技術~脳をハックしよう!

シリーズ102:腕立て伏せの回数と握力から心臓病のリスクを知ろう!

シリーズ103:筋トレは朝やるべきか、夕方やるべきか?〜最新エビデンスを知っておこう

シリーズ104:筋トレによる筋肥大の効果は「週のトレーニング量」で決まる!【最新エビデンス

 

 

www.awin1.com

 

 

 

◆ 参考論文
Cheval B, et al. Behavioral and Neural Evidence of the Rewarding Value of Exercise Behaviors: A Systematic Review. Sports Med. 2018 Jun;48(6):1389-1404.

Takakusaki K, et al. Basal ganglia efferents to the brainstem centers controlling postural muscle tone and locomotion: a new concept for understanding motor disorders in basal ganglia dysfunction. Neuroscience. 2003;119(1):293-308.

 
takumasa39 1年前
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ストレッチは高齢者の歩行能力を高める

 

 加齢にともなう身体の衰えからは逃れられませんが、予防、改善することは可能です。今回は、ストレッチが加齢によって低下した歩く能力を改善させる効果について考察してみましょう。

 

 

Table of contents

◆ 加齢とともに歩く速度は低下する
◆ ストレッチによる歩行への効果
◆ 読んでおきたい記事
 

 

 

◆ 加齢とともに歩く速度は低下する

 歩く速度というものは人によって異なります。男女によっても異なりますし、身長や筋肉量によっても異なります。また、加齢とともに歩く速度が低下するのも特徴のひとつです。

 

 歩く速度は、中枢神経系が筋肉の仕事量と代謝エネルギーのコストが最小になるように決めています。歩く速度は無意識によって勝手に決められてしまうのです(Umberger BR, 2007)。

『歩行をデザインする基準』

 

 そのため、加齢により筋力が低下すると、歩く速度を遅くすることでエネルギーコストの上昇を抑えようとします。歩く速度と歩幅には関係性があり、歩く速度が遅くなると歩幅は狭くなります。そのため、加齢により筋力が低下すると歩く速度を遅くするとともに歩幅は狭くなるのです。

 

 歩幅が狭くなると股関節や足関節の動きの幅も減少します。特に歩行時の股関節の伸展や足関節の背屈の動き(可動性)が低下することが明らかになっています(Murray MP, 1969)。

 

 つまり、加齢により筋力が低下すると、歩行時のエネルギーコストの上昇を抑えるために歩く速度を遅くします。それに伴い、歩幅は狭くなり、結果として股関節や足関節の可動性が低下するのです。

 

 

 

 

◆ ストレッチによる歩行への効果
 

 このような加齢による歩く速度の低下に対して、股関節、足関節のストレッチングの効果が報告されています。

 

 Rodackiらは、股関節の屈曲、伸展のストレッチングによる即時的な歩行への効果について、50名の高齢者(年齢64.5±3.2歳)を対象に調査を行いました。その結果、歩行の速度、歩幅は有意に増加し、両脚支持時間は減少することが示されました(Rodacki AL, 2009)。

 

 また、長期的なストレッチングによる歩行への効果について、Cristopoliskiらは、20名の高齢者(年齢65.9±4.2歳)を対象にして調査しています。参加者は、股関節の屈曲、伸展、足関節の背屈のストレッチング60秒4回を週3回行い、4週間継続しました。その結果、歩行の速度、歩幅は有意に増加し、両脚支持時間は減少しました。また、骨盤の前傾および側方傾斜角度、回旋角度が増加したことを示しています(Cristopoliski F, 2009)。

 

 これらの報告から、ストレッチングは即時的にも、長期的にも歩く速度を高める効果が期待されているのです。特に、股関節の伸展、足関節の背屈のストレッチングが効果的であり、これらは歩行の立脚後期の動きに寄与すると推察されています。

  

 加齢によって遅くなった歩く速度を再び速くするためには、歩幅を大きくする必要があります。そのためには特に立脚後期で必要となる股関節の伸展、足関節の背屈の動きが重要となってきます。

 

 ストレッチングでこの動きをしっかり出すことが、筋肉に働きやすい環境を与えることになり、歩く能力を高めることに繋がるのです。また、ウォーキング前にこのようなストレッチングをすることも、ウォーキングの効果を高めることが期待できるでしょう。

 

 

 

 

 

◆ 読んでおきたい記事
ストレッチの科学①:ストレッチはパフォーマンスを低下させる(前編)

ストレッチの科学②:ストレッチでパフォーマンスを低下させない方法 

ストレッチの科学③:効率的で効果的なストレッチの時間と回数 

ストレッチの科学④:ストレッチは毎日やらなくてもいいんです

ストレッチの科学⑤:ストレッチはいつするのが効果的か? 

ストレッチの科学⑥:ストレッチは高齢者の歩行能力を高める

ストレッチの科学⑦:ストレッチの効果はどのくらい持続するのか?~即時効果編~ 

ストレッチの科学⑧:ストレッチの効果はどのくらい持続するのか?〜習慣的な効果〜

ストレッチの科学⑨:ストレッチのメカニズム その1

ストレッチの科学⑩:ストレッチのメカニズム その2

ストレッチの科学⑪:ストレッチにダイエットの効果はありません  

ストレッチの科学⑫:ストレッチのウソ?ホント? 〜まとめ〜

 

Reference

Umberger BR & Martin PE (2007). Mechanical power and efficiency of level walking with different stride rates. J Exp Biol 210; 3255–3265.

Murray MP, et al. (1969) Walking patterns in healthy old men. J Gerontol. 24: 169-178.

Rodacki AL, et al (2009) Transient effects of stretching exercises on gait parameters of elderly women.  Man Ther. 2 :167-72.

Cristopoliski F, et al. (2009) Stretching exercise program improves gait in the elderly. Gerontology. 55 :614-20
takumasa39 4年前


 
 
 

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筋トレをするとモテる本当の理由  筋力トレの科学

 

 「筋トレをするとモテる」

 

 はたして、これは本当なのでしょうか?

 

 子どもは高い場所や暗い場所を怖がります。不思議なのは高いところから落ちた経験もなく、暗い場所で怖い思いをしていないのに、子どもがこのような場所を怖がることです。

 

 狩猟採集時代のヒトは森林や草原で生きてきました。安易に高い木や岩場に登ると、誤って落ちて命を失う可能性があります。安易に暗闇のなかで動き回ると獣に襲われて命を落とすでしょう。これに対して、高いところを怖がったり、暗闇を怖がって回避したヒトは、命を失うことなく、子孫を残すことができました。危険の多い狩猟採集時代では「恐怖」という感情をもったヒトが生存に有利であり、進化の過程で選択されてきたのです。そのため、その末裔である僕たちには恐怖という感情が生得的にインストールされています。

 

 これは恐怖という感情だけに限りません。喜びや悲しみ、不安や怒りといったすべての感情が生存や子孫繁栄のために進化の過程で選択されてきました。

 

 そして「愛情」もそのひとつです。

 

 何らかの突然変異で愛情をもたないヒトが生まれたとしても、愛情がないので子孫を残すことはできません。そのため、愛情をもたないヒトの遺伝子は淘汰され、愛情をもったヒトのみが選択的に生き残り、子孫を残すことができたのです。僕たちが異性を好きになるという感情も生まれたときからインストールされているのです。

 

 このようにヒトの「こころ」を進化の側面から考える学問を進化心理学といいます。

 

 進化心理学は、これらの感情にとどまらず、異性を魅力的に感じる感情も生得的にプログラムされているといいます。さらに、女性が男性を魅力的だと感じる身体的特徴も明らかにしつつあるのです。

 

 そのひとつが「筋肉」です。

 

 今回は、近年の進化心理学の報告から、筋トレをするとモテる本当の理由について考察していきましょう。

 

 

Table of contents

◆ 筋肉量が多い男性は交際人数も多い
◆ 筋肉に魅力を感じる進化論的理由
◆ 読んでおきたい記事
◆ 参考論文

 


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◆ 筋肉量が多い男性は交際人数も多い
 

 ピッツバーグ大学のLassekは、女性が魅力的に感じる身体的特徴のひとつが「筋肉」である理由をたったひとことで述べています。

 

 「男性は女性よりも筋肉量が多いから」

 

 体格(BMI)が同じ日本人の男女(平均21歳)の筋肉量を調べてみると、男性は女性よりも全身の筋肉量が65.2%多く、腕が91.7%、体幹が76.4%、脚が33.3%多いことが示されており、特に男性は女性に比べて腕や体幹といった上半身の筋肉量が多いことが報告されています(Abe T, 2003)。

 

 これは日本人に関わらず、世界各国の報告でも男性は女性よりも平均60%ほど筋肉量が多いことがわかっています。

 

 では、なぜ男性は女性よりも筋肉量が多いのでしょうか?

 

 それは、女性が自分よりも筋肉量の多い男性を進化の過程で選択してきたからだとLassekはいいます。女性が自分よりも筋肉量の多い男性を好み、子孫を残したことによって、筋肉量の少ない男性の遺伝子が淘汰され、現在ではほとんどの男性が女性よりも筋肉量が多くなったと推察されています。

 

 男性が女性よりも筋肉量が多いという事実そのものが、筋肉がモテる身体的特徴の理由だとされているのです。

 

 また、女性が魅力的に感じる西洋人の男性の体型は、BMIが25.9、胸囲とウエストの比率が0.69であり(Crossley KL, 2012)、脂肪量が少なく、筋肉量の多い男性を評価することが示されています(Brierley ME, 2016)。また、女性は特に上半身の筋肉量が多い男性を評価する傾向があり(Franzoi SL, 1987)、これは男性が女性に比べて腕や体幹の筋肉量が特に多いことに起因しているとされています。

 

 では、本当に筋肉量の多い男性はモテるのでしょうか?

 

 カリフォルニア大学のFrederickらは、UCLAの女性(平均19歳)を対象に、筋肉量が異なる男性の体格が描かれたシルエットを見せて、魅力的に感じる体型を選択させました。その結果、筋肉量の多い体型ほど魅力的に感じることが示されました。また、国籍による特性があるのでは?との疑問からアメリカ人だけでなく、ウクライナ人、ガーナ人、中国人を対象に同様の調査を行った結果、同じように筋肉量が多い体型ほど魅力度が増すことが示唆されたのです(Frederick DA, 2007a, b)。


f:id:uta-huuta-maro-ojyou:20200701232738j:image

Fig.1:Frederick DA, 2007aより筆者作成

 

 さらに、30代のアメリカ人男性5,536名を対象に行われた筋肉量と交際経験の関係を調べた大規模調査では、筋肉量が多いほど交際人数が多くなることが報告されています(Lassek WD, 2009)。

 

 これらの結果から、筋肉量が多い男性は、女性から魅力的に見られ、交際経験が多くなる傾向にあることが示唆されているのです。

 

 それでは、なぜ女性は筋肉量の多い男性に魅力を感じやすいのでしょうか?

 

 

 

 

◆ 筋肉に魅力を感じる進化論的理由
 

 進化心理学は、女性が魅力的に感じる男性の特徴を2つ挙げています。

 

 それは「身体的特徴と社会的地位」です。

 

 女性は子どもを生むとしばらくの間は子育てに追われるため、女性が一生に産める子どもの数は限られます。そのため、女性は数少ない子どもになるべく良質な遺伝子を受け継がせ、子どもが成長するまで十分な経済的資源を与えたいと考えます。そこで男性を評価するポイントが身体的特徴と社会的地位になるのです。

 

 女性は、男性の顔や身長、そして筋肉量などの身体的特徴から男性を評価するとされています。進化心理学は女性がイケメンで高身長な男性を好む理由も明らかにしていますが、ここでは筋肉について考えてみましょう。

 

 女性は、なぜ筋肉量の多い男性を評価する傾向にあるのでしょうか?

 

 肉体的な争いが多かった古代では筋肉量が多いほど強い個体として評価されたと考えられています。しかし、現代の進化心理学はその理由をこう述べています。

 

 「筋肉量の多い男性は病気に強く、健康的だから」

 

 癌を患っている2,863名を対象に筋トレによる死亡率への影響を調査した結果、トレーニングを1週間に1回以上している場合、トレーニングをしていないものと比べて、癌による死亡率が33%減少することが報告されています(Lemanne D, 2013)。

 

 また、トレーニングを週2〜3回行っている場合、トレーニングをしていないものと比べて、すべての病気による死亡率が23%低下することが報告されています(Dankel SJ, 2016)。

 

 さらに、2018年には12,591名を対象に、週1〜3回のトレーニングは心血管疾患の発症と死亡のリスクを約40〜70%低下させることが示唆されています(Liu Y, 2018)。

『筋トレが病気による死亡率を減少させる幸福な真実』

 

 トレーニーはトレーニングをしていないものよりも病気や癌による死亡率が低下する「病気に強い身体」を手にすることができるのです。なぜ、トレーニングによって病気の発症や死亡のリスクが低下するのかというと、そのひとつの答えが「筋肉」にあります。

 

 僕たちの身体は、水分を除くとその半分以上がタンパク質でできています。タンパク質は筋肉だけでなく、内臓、血液や骨、髪や皮膚までさまざまなカタチで存在していますが、タンパク質には寿命があり、寿命がくるとアミノ酸に分解されます。

 

 体重60kgの場合、1日に約180gのタンパク質が寿命をむかえてアミノ酸に分解されます。分解されたアミノ酸は貯蔵庫であるアミノ酸プールに保管されます。失ったタンパク質を補うために、この貯蔵庫からアミノ酸を使い、同じ量のタンパク質を合成しています。さらに1日に約70gのタンパク質が排泄されており、これを補うために、食事で1日70g程度のタンパク質が摂取されています。


f:id:uta-huuta-maro-ojyou:20200701232807j:image

 

 このようなメカニズムによってタンパク質の分解量と合成量のバランスが保たれ、僕たちの身体は維持されているのです。しかし、病気や手術を受けるとこのバランスが崩れてしまいます。

 

 病気や手術による侵襲を受けると、エネルギー代謝が亢進して、損傷した組織を修復しようとします。組織の修復には多くのアミノ酸が必要になります。そこで重要になるのが筋肉量です。筋肉は体重の40%を占めており、タンパク質の最大の貯蔵庫になります。特に侵襲の大きい手術後では筋肉のもととなる筋タンパク質を分解して、アミノ酸を供給します。このアミノ酸が組織の修復に利用されます。多くの筋肉量があることによって、病気や手術後の回復に必要となるアミノ酸を十分に供給することができるのです。

 

 このような観点から、グリフィス大学のSellらは、女性が筋肉量の多い男性に魅力を感じる理由について、筋肉量が病気に強い健康的な遺伝子をもっていることを示し、長期にわたって経済的資源を得ることができるシグナルになるからと述べています(Sell A, 2017)。

 

 このような背景から、進化心理学では筋肉量が女性が魅力的に思う身体的特徴になるとしているのです。

 

 では、筋肉量を増やせば増やすほどモテるのか?というと、話はそんなに単純ではありません。

 

 カリフォルニア大学のFrederickらの調査では、筋肉量と魅力度は「逆U字型」の関係にあることが示唆されています。筋肉量が多ければ魅力的に映りますが、多すぎると魅力は減少してしまうのです。


f:id:uta-huuta-maro-ojyou:20200701232823j:image

Fig2:Frederick DA, 2007より筆者作成

 

 では、なぜ筋肉量が多すぎると魅力的ではなくなってしまうのでしょうか?

 

 それはテストステロンが原因とされています。

 

 筋肉量が多くなるとテストステロンの分泌量も増えます。テストステロンの量とトレードオフの関係にあるのが免疫機能です。テストステロンの過剰な分泌は、免疫機能を低下させることが報告されおり(Lassek WD, 2009)、Frederickらは、この免疫機能の低下が魅力の低下につながっていると推察しています(Frederick DA, 2007)。過剰な筋肉量は健康的ではないと判断されてしまうのです。

 

 

 数百万年という長い進化の過程で、ヒトには喜怒哀楽という感情が生存と子孫繁栄に有利であることから生得的にインストールされてきました。高い場所や暗い場所を僕たちは無意識に「怖い」と感じ、生存のために回避しようとします。このような生存本能をアメリカの進化学者のDavid Barashは「内なるつぶやき」と表現しています。

 

 女性が筋肉量の多い男性をみると、こころの中で「内なるつぶやき」が囁かれるのかもしれませんね。

 

 

筋トレの重要なエビデンスをまとめた新刊です!

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◆ 読んでおきたい記事
シリーズ①:筋肉を増やすための栄養摂取のメカニズムを理解しよう

シリーズ②:筋トレの効果を最大にするタンパク質の摂取量を知っておこう

シリーズ③:筋トレの効果を最大にするタンパク質の摂取タイミングを知っておこう

シリーズ④:筋トレの効果を最大にするタンパク質の摂取パターンを知っておこう

シリーズ⑤:筋トレの効果を最大にする就寝前のプロテイン摂取を知っておこう

シリーズ⑥:筋トレの効果を最大にする就寝前のプロテイン摂取の方法論 

シリーズ⑦:筋トレの効果を最大にする運動強度(負荷)について知っておこう

シリーズ⑧:筋トレの効果を最大にする運動強度(負荷)の実践論

シリーズ⑨:筋トレの効果を最大にするセット数について知っておこう 

シリーズ⑩:筋トレの効果を最大にするセット間の休憩時間について知っておこう

シリーズ⑪:筋トレの効果を最大にするトレーニングの頻度について知っておこう

シリーズ⑫:筋トレの効果を最大にするタンパク質の品質について知っておこう

シリーズ⑬:筋トレの効果を最大にするロイシンについて知っておこう

シリーズ⑭:筋トレの効果を最大にするタンパク質の摂取方法まとめ

シリーズ⑮:筋トレの効果を最大にするベータアラニンについて知っておこう

シリーズ⑯:いつまでも若々しい筋肉を維持するためには筋トレだけじゃ不十分?

シリーズ⑰:筋トレの効果を最大にするセット数について知っておこう(2017年7月版) 

シリーズ⑱:筋トレとアルコール摂取の残酷な真実

シリーズ⑲:筋トレの効果を最大にするタンパク質の摂取量を知っておこう(2017年7月版)

シリーズ⑳:長生きの秘訣は筋トレにある

シリーズ㉑:筋トレの最適な負荷量を知っておこう(2017年8月版)

シリーズ㉒:筋トレが不安を解消するエビデンス

シリーズ㉓:筋肉量を維持しながらダイエットする方法論

シリーズ㉔:プロテインの摂取はトレーニング前と後のどちらが効果的?

シリーズ㉕:筋トレの前にストレッチングをしてはいけない理由

シリーズ㉖:筋トレの効果を最大にするウォームアップの方法を知っておこう

シリーズ㉗:筋トレの効果を最大にするセット間の休憩時間を知っておこう(2017年9月版)

シリーズ㉘:BCAAが筋肉痛を回復させるエビデンス

シリーズ㉙:筋トレの効果を最大にするタマゴの正しい食べ方

シリーズ㉚:筋トレが睡眠の質を高める〜世界初のエビデンスが明らかに

シリーズ㉛:筋肉の大きさから筋トレをデザインしよう

シリーズ㉜:HMBが筋トレの効果を高める理由~国際スポーツ栄養学会のガイドラインから最新のエビデンスまで

シリーズ㉝:筋トレの効果を高める最新の3つの考え方〜Schoenfeld氏のインタビューより

シリーズ㉞:筋トレによって脳が変わる〜最新のメカニズムが明らかに

シリーズ㉟:ホエイプロテインは食欲を抑える〜最新のエビデンスを知っておこう

シリーズ㊱:筋トレが病気による死亡率を減少させる幸福な真実

シリーズ㊲:プロテインは腎臓にダメージを与える?〜現代の科学が示すひとつの答え

シリーズ㊳:筋トレとアルコールの残酷な真実(続編)

シリーズ㊴:筋トレの効果を最大にする「関節を動かす範囲」について知っておこう

シリーズ㊵:筋トレが続かない理由〜ハーバード大学が明らかにした答えとは?

シリーズ㊶:筋トレと遺伝の本当の真実〜筋トレの効果は遺伝で決まる?

シリーズ㊷:エビデンスにもとづく筋肥大を最大化するための筋トレ・ガイドライン

シリーズ㊸:筋トレしてすぐの筋肥大は浮腫(むくみ)であるという残念な真実

シリーズ㊹:時間がないときにやるべき筋トレメニューとは〜その科学的根拠があきらかに

シリーズ㊺:筋トレの効果を最大にする新しいトレーニングプログラムの考え方を知っておこう

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シリーズ89:筋トレするなら知っておきたいサプリメントの最新エビデンスまとめ

シリーズ90:筋トレをするとモテる本当の理由

シリーズ91:高タンパク質は腎臓にダメージを与えない〜最新エビデンスが明らかに

シリーズ92:筋トレするなら知っておきたい食事のキホン〜ハーバード流の食事プレート

シリーズ93:筋トレを続ける技術〜マシュマロ・テストを攻略しよう

シリーズ94:スクワットのフォームの基本を知っておこう【スクワットの科学】 

シリーズ95:スクワットのフォームによって筋肉の活動が異なる理由

シリーズ96:スクワットの効果を最大にするスタンス幅と足部の向きを知っておこう

シリーズ97:ベンチプレスのフォームの基本を知っておこう【ベンチプレスの科学】

シリーズ98:ヒトはベンチプレスをするために進化してきた【ベンチプレスの科学】

シリーズ99:デッドリフトのフォームの基本を知っておこう【デッドリフトの科学】

シリーズ100:デッドリフトのリフティングの基本を知っておこう【デッドリフトの科学】

シリーズ101:筋トレを続ける技術~脳をハックしよう!

シリーズ102:腕立て伏せの回数と握力から心臓病のリスクを知ろう!

シリーズ103:筋トレは朝やるべきか、夕方やるべきか?〜最新エビデンスを知っておこう

シリーズ104:筋トレによる筋肥大の効果は「週のトレーニング量」で決まる!【最新エビデンス

 

 

www.awin1.com

 

 

 

◆ 参考論文
Lassek WD, et al. Costs and benefits of fat-free muscle mass in men: relationship to mating success, dietary requirements, and native immunity. Evol Hum Behav. Elsevier Inc.; 2009; 30: 322–328.

Abe T, et al. Sex differences in whole body skeletal muscle mass measured by magnetic resonance imaging and its distribution in young Japanese adults. Br J Sports Med. 2003;37(5):436-40.

Crossley KL, et al. What is an attractive body? Using an interactive 3D program to create the ideal body for you and your partner. PLoS One. 2012;7(11):e50601.

Brierley ME, et al. The Body and the Beautiful: Health, Attractiveness and Body Composition in Men's and Women's Bodies. PLoS One. 2016 Jun 3;11(6):e0156722.

Franzoi SL, et al. Judging physical attractiveness: what body aspects do we use? Pers. Soc. Psychol. 1987 Bull. 13,19-33.

Frederick DA, et al. Why is muscularity sexy? Tests of the fitness indicator hypothesis. 2007a Personality and Social Psychology Bulletin, 33, 1167-1183.

Frederick DA, et al. Desiring the muscular ideal: Men’s body satisfaction in the United States, Ukraine, and Ghana. 2007b Psychology of Men & Masculinity, 8, 103–117.

Lemanne D, et al. The role of physical activity in cancer prevention, treatment, recovery, and survivorship. Oncology (Williston Park). 2013 Jun;27(6):580-5. 

Dankel SJ, et al. Dose-dependent association between muscle-strengthening activities and all-cause mortality: Prospective cohort study among a national sample of adults in the USA. Arch Cardiovasc Dis. 2016 Nov;109(11):626-633. 

Liu Y, et al. Associations of Resistance Exercise with Cardiovascular Disease Morbidity and Mortality. Med Sci Sports Exerc. 2018 Oct 29.  

Sell A, et al. Cues of upper body strength account for most of the variance in men's bodily attractiveness. Proc Biol Sci. 2017 Dec 20;284(1869).

 
takumasa39 1年前
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